キャラクターの演技と状況説明

いつも創作お疲れ様です。
今回はキャラクターの肉付けについてお話ししたいと思います。
シナリオを書く際に大事な要素として、
- キャラクターの演技(表現)
- キャラクターの状況説明
この2つがあります。
よく混同されがちですが、実はまったく異なるものなんです。
キャラクターの演技 vs. 状況説明
① キャラクターの演技
例えば、こんなシーンを考えてみましょう。
Aさん「・・・・」
このままだと、Aさんが何をしているのか、どんな表情なのか、何を感じているのかが分かりません。前後の文がないと、当然ながら読者には伝わらないんです。
ここで、キャラクターの演技を少し加えることで、読者に情景を感じてもらいやすくなります。
例:
Aさんは拳をぎゅっと握りしめ、目を伏せた。「・・・・」
こうすることで、キャラの感情がより鮮明に伝わります。
② キャラクターの状況説明
Aさん「・・・・」
Bさん「きゃーぁああああ!」
この場合、Bさんのリアクションによって、Aさんの状態が説明されています。 しかし、これは「演出」ではなく「解説」に近いものになっています。
小説ではト書き、漫画ではナレーションを入れがちですが、できるだけ読者に〝感じてもらう〟ことが大切です。
より良い例:
Aさんは拳を握りしめ、唇をかみしめていた。
Bさんは目を見開き、後ずさりしながら叫んだ。「きゃーぁああああ!」
このように演出を強化することで、状況説明に頼らずとも読者にキャラの感情を伝えられます。
読者に“感じさせる”ストーリーの作り方
小説・漫画・動画・演劇など、さまざまな表現媒体がありますが、すべて「文字」がベースになっています。
逆に言えば、人を動かし、感動させる文章を書ければ、小説・漫画・動画、すべての表現媒体に通用するということ。
人を動かし、感動させる文章には、読者にアクションを起こさせるロジック(論理)があります。
たとえば、ECショップのキャッチコピーを見て、思わず商品をカートに入れた経験はありませんか?
それと同じように、ストーリーでも読者の心を動かす要素を盛り込むことが重要です。
作品のクオリティを高めるには
説明がなければ伝わらない部分は、②の状況説明で補い、その他の細かいディティールを磨いていきましょう。
なぜなら、個人作家が勝負できる範囲は 文章と画力 だけだから。
音楽・キャスト・アニメーション・音声といった要素が加わると、それはもう総合芸術の領域になります。
個人作家は、その総合芸術の影響を受けやすいため、演技と状況説明をごちゃ混ぜにしてしまいがちです。
たとえば、ハードロックを聴きながらシーンを描いたとしても、それは あなたの頭の中のイメージ であり、読者には100%伝わりません。
これは、色や質感を 鉛筆の白黒だけで表現するデッサン に似ています。
解説っぽくならない表現のコツ
読者に〝感じてもらう〟ためには、 デッサン力 を上げるしかありません。
つまり、キャラの演技をストーリーの各所に 台詞や動作(ディティール) を散りばめながら演出することが大事。
例えば、Aさんのシーンを工夫してみましょう。
Before(説明的な表現)
Aさん「・・・・」
After(演技で伝える)
前:薄い光に照らされ、影が深く落ちている。
Aさんは震える指先をこすりながら、小さく息を吐いた。「・・・・」
後:呼吸音が微かに聞こえるだけだった。
このように 前後の描写を工夫することで、キャラの感情や状況が伝わりやすくなります。
また、会話の合間に 細かい仕草や表情 を入れることで、キャラの個性がよりリアルになります。
例:
Aさんは視線を落としながら、指先でカップをなぞった。「それで……どうするつもり?」
このように、小さな動作を入れるだけで、キャラの心理が自然と伝わるようになります。
読者に伝える工夫
ただし、ディティールにこだわりすぎると、 作者だけが分かっていて読者には伝わらない という状態が生まれるので注意。
バランスが大切です。
個人的には、キャラクターの演技と状況説明が ストーリー全体の各シーンに適度に散りばめられている作品こそ、良作 だと思います。
あなたの創作を応援しています。
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