回想シーンには2種類ある
いつも創作お疲れ様です。
今回は、ストーリー作りでよく聞く言葉、〝回想シーン〟についてボクが思うところをまとめてました。
出ましたね!回想シーン!
回想シーンと聞けば、作り手としては容易にイメージできると思いますが、実は、主人公の立場や関係性、リミット・ハンディーキャップ・トラウマ・フラッシュバックなど、いわば舞台設定にモロ関係してくるお話になります。
で。結論から言っちゃいますが、回想シーンには、〝回顧シーン(長め)〟と〝インスピレーション(短め)〟があります。
回顧シーンの意味は、過ぎ去った出来事や思い出を振り返る行為であり、インスピレーションとは、過ぎ去った出来事を見つめ直し、自分自身と向き合ったり、気づきを得る行為です。
いずれもキャラクターが過去に振り返ること自体は同じ意味です。
「はいはい。そんなことくらいわかってますよ!だからどうしたの?」と突っ込まれるかもしれませんが、この意味をしっかり抑えることで、あなたのストーリー作りに役立つかもしれません。
目次
過去・未来につなぐ回想シーン
まず、回顧シーンとインスピレーションのちがいについて説明していきます。
〝回顧シーン〟とは、キャラクターの過去に何があったのか?という情景であり、読者に対する状況説明をするシーンです。キャラクターが追憶をなぞる主観的なシーンとも言えます。
平たくいえば、主人公において、過去に起きた単純な出来事です。
一方、〝インスピレーション〟とは、自分が行動した過去を振り返り、良し悪しを確かめるシーン。
いわば、キャラクターの意識には、客観性があります。
または、キャラクターが次なるアクションを起こすために内観するためのシーンでもあります。
以上のように、同じ過去の振り返りでも、時系列的に大きく用途が異なってこないでしょうか。
一つは、キャラクターが立ち止まって、過ぎ去ったことを、しみじみと佇むシーン。もう一つは、過去を分析して未解決な課題に想起させるためのシーンに用いられると思います。
すなわち、
回顧シーン→過去を振り返る
インスピレーション→未来に備える
〝回顧シーン〟は静的です。それに対して〝インスピレーション〟は、過去と現在をつなぎ合わせる連絡通路であり動的とも言えるでしょう。
また、〝回顧シーン〟とは、〝思い出〟といったニュアンスが強く、〝インスピレーション〟は、いままでモヤモヤしていたものがクリアになり、物語の展開上で読者に期待感を与えたり、緊張感を膨らますことに適していると思います。
回想シーンの配置場所
さて。あなたが描くストーリーは、主人公が○○をどうする(しようとしている)という、大まかな導線がありますよね。
ところが、回想シーンを適切な場所に挿入されていないと、「主人公がなんで○○のような行動するのか?」と読者がついていけなくなります。その説得材料の一つが回想シーンだと考えています。
意外とですね。その当たり前の〝理由〟がすっぽり抜けている作品をよく見かけることがあるんです。実に惜しいな!と思うんですが、あなたの作品はいがかでしょうか?
例えば、
とある学園に、仲の良い恋人同士、彼女(彼氏)がカップルがいました、と設定をしたとしましょう。
はい。何か抜けてないでしょうか?
そう。彼女(彼氏)がなぜ好きになったの?が抜けていますよね。どのようなプロセスで付き合い出したの?というバックストーリーです。
これが、抜け落ちていると読者は「ふーん・・・」で終わり、離脱率が上がります。
〝回顧シーン〟の回想シーンは、「この彼氏と彼女は、実は○○だったんですよ」と読者に状況説明する基本的なシーンです。
でもですね。「読者にキャラの過去の説明するなんて技が甘い」とか、「ありがちだ!」と言われるんです。いやいや「なぜ?○○なのか?」という物語のはじめに説明するのって普通ですよ。
あまり難しく考えずに素直に入れたよいと思いますし、やっぱり、物語の入口は何と言っても、わかりやすさが一番ですからね。
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〝インスピレーション〟とは、「たしかあの時・・・」とか「だどすれば、○○だ!」というキャラクターの気づきになります。
例えば
「確か、あのビルの屋上で夕日を眺めたなぁ」とか「あの時、○○と言っていればこんなことにはならなかったのに・・・」など、未来(物語の展開)へのアクションを起こさせるためのバックストーリーです。
つまり、同じ過去の振り返りでも、序盤・中盤・終盤の中で、各々一番望ましい配置はどこかといえば、
回顧シーン→序盤
インスピレーション→中盤以降
だとボクは考えます。
〝回顧シーン〟とは、読者に〝主人公がかつて○○だった〟する情景を浮かばせるシーンで、舞台設定の大枠となります。つまり、主人公の事情(基本設定)なので、物語の序盤が定位置だと思うんですよ。
あ。これは余談ですが、序盤でいきなり〝インスピレーション〝で始まることはほとんどないですね。もし、いきなりインスピレーションしたら、読者が「は?このキャラ何ゆうてんねん!」と首をかしげちゃいます。
基本的に、〝インスピレーション〟は気持ちを新たにしたり、 再生の道を歩むための起死回生のきっかけや、問題を解決するための伏線にも使われる回想シーンです。
つまり、中盤の入口の前くらい、もしくは中盤以降に描く必要があります。
主人公の過去を伝える
主人公は何故、そのような○○的な行動をとるのか?どうやらこの主人公には秘密が隠されているようだ、読者には謎要素としてインパクトを与えておきながら、物語が中盤に進むにつれて徐々に回想シーンによって明らかになっていきます。
もちろん序盤に、〝回顧シーン〟で、主人公の過去を明らかにしても悪くないですが、登場シーンでは、少しでもインパクトを与えて、読者に興味を持たせることが大切です。
ですから、あとあと素性や舞台がわかるように回顧シーンを配置すれば「なるほど、主人公は、昔、こんな経験をしているから、こんな言動をとって、こんなことを考えるようになったんだ」と、読者も納得してくれるようになります。
読者の過去と共感させる回想シーン
最後に、ノスタルジアについて少しだけ触れておきましょう。
ノスタルジアとは、時間を遡り、特定の時期、あるいは遠方に存在する特別な場所を想像し、懐かしみの感情に価値づけるシーンです。
「あー、わかるわかる!」といった読者に反応させるイメージができますでしょうか?
センチメンタル(感傷的)に浸り、涙ぐむシーンとも言えますが、あくまでキャラの主観的な感情ですが、できるだけ読者に共感を誘わせます。
共感を誘うための方法の一つとして、特定の時期と、特別な場所が、例えば、卒業式とか引っ越し、彼女(彼氏)と別れた場所など、読者と共通するシチュエーションの設定が好ましいです。
なぜなら、読者には、何かしら大切にしている思い出の時間と空間があるからです。
ちなみに、ノスタルジアという言葉は、ギリシア語で〝過去の古傷〟という意味で、〝懐かしむ〟や〝郷愁〟の感情を引き起こすと同時に、トラウマ(不快で苦い記憶)が絡んできます。
すでに過ぎ去った事なので、その頃のまたとない体験は〝切なさ〟〝寂しさ〟〝哀しさ〟という心境がノスタルジアだと思います。
それに似た言葉で、フラッシュバックという心理現象用語もありますが、これは映画や文芸技法の一つで、物語の通常のタイムラインを一旦中断し、短く、しかも小刻みに回想を挿入します。これは、主人公が課題を解決へ向かうためハンディーキャップの設定にも関係しています。
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頭に痛みをかかえて、身をよじらせ、腫れ物に触るかのような、心の古傷がズキズキするニュアンスとしてとらえたらよろしいでしょう。
やっとのところで解決できそう!そんな時、ジャストミートで問題が発生するシーンです。
ちょうど、マグマが噴火しつづけることが、トラウマの状態で、フラッシュバック(後炎)は、燃え残る炎が、あとから徐々に、心理的にキャラクターを痛めつける回想シーンです。
わかりやすく言えば、チラッ!チラッ!っと火花が飛び散っているイメージかもしれません。
しかし、そのトラウマシーンがトラウマシーンで終わってしまうと読者を萎えさせてしまします。それは勿論よろしくないので、物語に意味を持たせてあげます。
つまり、物語づくりにおいて、このフラッシュバックに「そう言えばあの時!」という思い出すシーン。巻き返しや、伏線の材料としても活用が効くこともお忘れなく。
以上が〝回想シーンには2種類ある〟についてご紹介しました。内容がややこしかったらごめんなさい。少しでも物語の参考になれば幸いです。
あなたの創作を応援しています。
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