恐怖の公式
ホラーは怖い!・・・と思うけど、ちょっぴり見たい気がする。
怖かったら見なければいいのに、何故か見たくなる。
「怖いから見ない方がいい」
「怖いから見てはいけない」
と言われるほど見たくなってしまう、そんな、人間のあまのじゃくな心理を解説していきます。
あなたも経験があるはずですよね。何故か考えたことってありますか?
ボクは、ホラーよりもスリラーの方が好きなんですが、掘り下げると〝恐怖〟が根っこにあります。
あなたの作品も、恋愛であれバトルであれ「血の気が引く」「動悸が激しくなる」「冷や汗が出る」「震える」・・・など恐怖という要素は、読者を魅了する一つのテクニックだと思います。
そもそも恐怖はどこからくるか?
実はとてもシンプルな原理で小さい頃の記憶からきています。
ちょっと思い出して欲しいんですよ。あなたの幼い頃の思い出を。
基本的に、追いかけっこ、カクレンボなんですよ。
そして、ゲームオーバーの象徴である罰ゲームです。
更に思い出してみてください。
悪いことをしたら罰として押し入れ(暗い場所)に閉じ込められたりしませんでしたか?狭い洞穴に入って、出られなく夢をみたりなど。
ゲームオーバーは、いわば自由が利かなくなる状態のことです。
皆、そんな状態にならないように逃げ惑うんです。
友だちがゲームオーバー(デッド)になり、あなたが助かっても、「次は自分かもしれない」という優越感、ワクワク感が残っており、幼い頃からの恐怖(楽しみ)が染み付いています。
見つかったり、つかまったら鬼(死)アウト(殺)にされてしまう。
逃げても逃げても、ひたすら何かに追っかけられる、何者かが追っかけてくる。捕かれるまでは、逃げることはできない。どこに隠れても居場所が見つかってしまう。
ゲームオーバーになりたくない心理は、大人に成長しても健在ですし、たまにスリル(刺激)を味わいたくなるものです。
人って平和だと退屈しちゃうんで、つい非日常的なものに目がいっちゃうんですよ。だからホラージャンルの映画も産業化される理由の一つだと思います。
恐怖を煽るというのは、小さい頃に味わった記憶を目覚めさせることにあります。
あなたの作品にもぞくぞくハラハラ感にいれることをおすすめします。
デットゾーンに追い詰めて突き落とす
恐怖の絶頂とは、鬼があなたのを捕える前のカウントダウンです。
それは、逃げ場のない蟻地獄のような状況。
ボクはこれを〝デッドゾーン〟と呼んでいます。
デッドゾーンの中に狂人(魔物)がいて、食われたら完全にアウトです。
恐怖心は、死を否定(生きたい)という本能を刺激します。
人間、死んだらどこへいくのか〝わからない〟この不明・謎が恐怖を駆り立てます。
主人公を、どうなるかわからないような状況に突き落とすんです。
このように別世界、知らない世界、ひとりぼっち、真っ暗闇、狭い空間に閉じ込められる。大切な人、大切な物(食料)が奪われる(失う)ゴールや道、生きる術を失うなど。
このように、恐怖はデッド(死)と密接に関連しています。
特に棺桶の中なんかは身動きがとれません。死は停止を意味します。
心拍停止も一つですし、人は自由が奪われて活動できなくなる状態の怖さを本能的に知っているんです。
二度と元には戻れない!どうなるのかも予想すらできないし!わからない!
わからない、というのも、鬼がどこに潜んでいるのかわからないので恐怖が煽られます。
突然、鬼が飛び出してくるかも知れないし、襲いかかってくるかもしれませんし、一時的に逃れても追いかけてくるかもしれません。
恐怖とは、その想像力を沸き立たせるカンフル剤です。
このカンフル剤をうまく演出しないと、ギャグになるので注意が必要です。
恐怖を効果的に煽る方法
どや!怖いやろ!ガオオオオ!と急にゾンビやモンスターが現れてもまったく恐怖を感じません。下手をすれば、コメディになってしまうので気をつけましょう。
恐怖を煽るポイントは〝わからない〟〝変〟から危機的状況へ誘導することです。
少しずつ少しずつ、得体の知れない〝何か〟がジワジワと近寄ってくる。
恐怖とは非日常なので、スタートラインはごく普通の日常のエピソードから描きます。
主人公は、日常の中で何か異変に気がつきます。
「ん?おかしいな?」
最初は気にならないんですが、だんだん「変だな?」と思います。
これを、何度も繰り返して、読者にこれから大変なことが起こるよ?と警告します。
そこで主人公を油断している様子を描くと効果的です。
その小さな出来事から、やがて命に関わる大きくなるころには、主人公がデッドゾーン(逃げ場がない状況)に追い込まれているわけです。
時系列でまとめてみますと、下記のように徐々にレベルを上げていきます。
①変
↓
②薄気味悪いレベル
↓
③不気味
↓
④逃げる隠れる(判断を誤る)
↓
⑤デッドゾーンに侵入
↓
⑥ぞくぞくヒヤヒヤさせる(あがく・もがく・助けをもとめる)
↓
⑦危機的状況(鬼に食われる前のカウントダウン)
とくに、
⑥ぞくぞくヒヤヒヤさせるポイントは、ひとりぼっちで、助けを呼んでも誰もいない、絶対絶命の状態で⑦危機的状況へ追い込みます。
あなたを食おうとしている鬼ですが、
何か「出てくる出てくる!」と思わせて、引っ張って引っ張って
突然、鬼が現れて「んぎゃあああああああああああああああ!」と驚かせたら完璧です。笑
恐怖とは、鬼に食われるまでのプロセスで、最初は、ゆったりリズムから、だんだん早いリズムで、何度も同じ内容を繰り返す。
と、覚えておくと良いでしょう。あなたが漫画家なら画力とコマ割りが勝負どころですが、文章表現でいえる展開リズムは一緒です。
どういうことかといいますと、、、
最初は安心している状態(ゆったりリズム)です。
何度も同じ物を警告を出しているのに主人公はそれにまったく気がついていない状態です。
危険が近寄ってくる迫るほど(早いリズム)
心臓の鼓動のリズムに合わせて、展開を早くします。
古くて有名なスリラー映画で『ジョーズ』ってご存じでしょうか?これは、音楽もかなり不気味なリズムなので迫力があります。
また、ホラー系でよくあるシーンですが、②薄気味悪い〜③不気味な現象を表現するために、人体の一部を小物を出すと効果を生み出せます。
血、手、首、頭、胴体、人の足跡、髪の毛、目、唇、舌、腕、足、指、爪。
恐怖要素の種類について考察
<ホラー要素>
非日常的なモンスターや殺人鬼などによって、主人公が脅かされる恐怖が中心。
<サスペンス要素>
未解決な事に対して原因を追求し謎を明らかにしていく要素。よくあるのは犯人を捜査したり、推理や謎、不明箇所を解明していき、だんだん素性が明らかになっていく恐怖。
<ミステリー要素>
未解決で、謎〝わからない〟ことを究明していくが、結末は解明されないという不可解な恐怖。「そういえばあれは?」と読み終わってからジワジワとくる。
<スリラー要素>
身近な存在だった人物が主人公を脅かすもの。日常からジワジワと非日常へ変化し、脅威と危機がゆっくり迫り緊張感や不安感を煽らせる恐怖。
<サイコ要素>
スリラーと併用されることが多い。狂人を中心として物語が描かれる。特にその人物が常識では考えられない行動をとって主人公を脅かします。獲物が次々に襲われ犠牲者を出しますが、知恵と勇気で立ち向かいます。
<ゾンビ要素>
殺しても殺しても不死身で、永遠に戦いが終わらない恐怖。対象が圧倒的な数で襲う集団であることが特徴で主人公を絶望のどんぞこに突き落とします。強力な武器でやっつけても時間が立てば再生するし、基本的に危険地帯から逃れるための展開。
これらの恐怖要素を、あなたの作品に盛り込める要素があれば、活用してください。
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