結構犯しやすい〝意味づけ〟と〝こじつけ〟
今日は、ストーリーの展開方法で、つなぎを持たせるための作業についてご紹介しますね。
これ結構大切です!
主人公が転機を迎えるシーン、物語のターニングポイントを考える時にやりがちな落とし穴です。
例えば、
チャプター5(5章)を予測して、チャプター3(3章)をどのように作りこむか?
↓
チャプター3(3章)の終わり方のシチュエーションが重要です。
3章が、クライマックスの5章の展開にどう活かすかを考える際に、そのシーンっが必要かどうか?そもそも意味があるものなのかどうか?作業を進めてみないとわからないことがあるんですよ。
ちょっと分かりづらいので、『天空の城ラピュタ』を例に出しましょう。
例えば、
あなたが宮崎駿監督だとします。
天空の城ラピュタの大筋が決まって、シナリオを書いています。
1章を描き終わろうとしています。
1章…パズーがシータを守る
→結果は守れない
2章…パズーがドーラと手を組んでシータを助ける
→結果はシータを助け出したが、飛行石はムスカに奪われる
3章…ムスカとドーラ一族がラピュタをみつけるための競争がはじまる
→結果はタイガーモス号は大破し、ゴリアテが優勢
4章…パズーがシータと飛行石を取り戻す
→結果はムスカが負けて、パズーはシータの故郷ゴンドラの地へ旅立つ
さて。4章で滅びの呪文〝バルス〟を唱えてムスカを倒すシーンが、この物語の最大の見せ場になると思います。
その見せ場に向かって1章を書いているとします。
あなたはクライマックスの4章につなげるために、第1章、意味ある終わり方を考えるとします。
仮に、あなたがラピュタの筆者だったとしたら、どんな終わり方が妥当でしょうか?
これが物語のつなぎを持たせる意味づけです。
宮崎駿監督はパズーとシータは、ムスカ大佐(ラスボス)の存在を知らせるために、対面する必要があると判断しました。
つまり、シータを利用してパズーを諦めさせる。
これが最終章につなげるための意味ある終わり方です。
まぎれもなく第4章に紐付けするための意味づけのパートでした。
あなたなら、1章はどんな風な終わらせ方をするでしょうか?
もしボクが宮崎駿監督なら
ロボットの兵隊を操るためのアイテムを飛行石にしちゃったと思います。
なぜならボクは当時、『さらば愛しきルパンよ』(宮崎駿→脚本・演出)で装甲ロボット兵「ラムダ」をご存知ありますか?
ボクは、その影響から引っ張られているんです。
ですから、ボクがもし宮崎監督なら、パズーがラピュタの兵隊ロボットの中に乗りこみ、飛行石で操縦してシータを助ける、という展開にしたと思います。
そして、軍隊の要塞都市の地下に、もう1体の兵隊ロボットが開発されてムスカが迎え撃つ!そこでパズーは負けるという展開です。
いやー。面白い!これはウケる!と思って、後先考えずワクワクしたとします。
でも、4章の最終決戦でムスカを倒す展開シーンをつなぎあわせようとしても、ちょっと無理がありますよね?
でも、装甲ロボット兵ラムダの印象があまりに強いため、クライマックスと帳尻をあわせようと四苦八苦します。
それこそがこじつけのパートとなります。
名無しくん
宮崎駿監督に謝れよ
ごもっとです。ボクが考えた1章の結末の案ですと、4章のクライマックスに意味づけしたいのに、こじつけになってしまうのは明らかです。
はい。そんなワケで前置きが長くなりました。
今回は意味づけとこじつけという違いについて、つっこんだお話をしていきます。
まずそれぞれの意味から。
★意味づけとは
意図する方向性に意味を持たせたり、関係性を成り立たせたり、そのつながりに価値を与えることです。
★こじつけとは
関連のない物事を強引に結びつける作業で、無理に関係づけたり、いかにも道理にかなっているかのように見せることです。
つまり、こじつけは、作家の都合(主観)で筋をねじ曲げてしまい、しかも、そのことに気がついていないという最悪なパターンです。実はボクの場合、知らぬ間に結構やらかしてるんです。
非常に痛々しいですが大切なことに気がついていないので、残念なことに軌道修正ができない状態にあります。
ラムダのことで頭がいっぱいになっているんですよ。
だから意味づけしているつもりになって作業が長引いてしまうのです。帳尻をあわせるのに無駄な時間がかかってしまいます。
ストーリー作りが慣れていない場合、意味づけもこじつけも、どちらもやってしまいがちですし、これが、初心者作家を困らせるジグソーパズルと呼ばれる正体だと思います。
特に、こじつけの場合は、困ったことに死角で起きています。
そう。見えないんです。
どのような状態の時に起きているかと言いますと、おそらく本来必要のない何か(エピソード)に囚われていて、先程の例で言えばラムダになりますが、後付けで、しかも不自然にくっつけようとしている時かなと思われます。
この作業は、創作の生みの苦しみではなく、ほとんどが時間の浪費に近いので、意味がないものに、わざわざ理由づけを探しているため、消耗が激しくストーリー作りでいう不効率だと言えます。
稀に、こじつけから、意味づけに転換できるケースもありますが、失敗に終わることがほとんどです。
自慢じゃありませんがボクはよくやってました。
なるべく、早い段階から間違いに気がつける思考法(クリティカルシンキング)もありますので、ご安心ください。
「そもそもこれって・・・」と批判してみるんですよ。
こじつけとは?
どの作家さんにもこだわりはあります。
お気に入りの展開や場面(シーン)を何とかして入れたいがために、見せ場のシーンに必死こいて考えますが、そもそも、そのお気に入りが不必要だったりするわけです。
ぶちゃけですが、必ずといっていいほどイメージしたその場面(シーン)って、どこかから拾ってきてるんですよ。本当です。
拾うこと自体は悪くありませんが、考えなしに、どこかにくっつけて満足しようとするあまりに後で迷走します。
いらない(必要ない)と気がついた時点でばっさり切りましょう。
他作品から感動したシーンを引っ張ってきてつなぎあわせている可能性が高く、物語全体に支障が出やすいのです。
章の結末を考える時は、物語全体像を俯瞰して、本来は適切な場面(シーン)を配置すべきかどうかを検討してみましょう。
そう。ボクのようにラムダ状態にならないように気をつけてください。
ストーリーを幹だとすると、それは葉っぱ(飾り)です。木全体にとれば、それほど特別なものではないのに、つい葉っぱに色をつけちゃうんです。
ストーリーの構造やロジック抜きにしたシチュエーションを優先させた場合、色のついた葉っぱに意識が奪われ物語崩壊一歩手前です。
それこそバルスです。筋が通らなくなるのが普通ですし意味づけというよりはツギハギ作業に近いかもしれません。
そして、無駄なタイムロスをして、ドツボにハマる可能性が大です。(ドツボにハマっていることすら認識できていないことも)
「あれ?なんか?ちがうな・・まぁいいか、これでいっちゃえ!」と、無意識にハメ込むんです。
ですから「ん?」と思った感覚に注視して、一旦〝間〟を置くことをオススメします。
関連記事:着想したら〝間〟を置く
意味づけとは?
一方、意味づけは、意識しなくても勝手につながるんですよ。
1場面(シーン)と2場面(シーン)をつなげると、「中盤の3場面に活かせる!」と、スコーン!カコーン!とスムーズに気がつけるはずなんです。
しかもシナリオプロットの段階で、見所シーンを考えている内に、つなぐ(シーン)に、もっと意味こめて描くことができます。
意味づけを考えれば考えるほど、「あ、これも」「あれも・・・」と関係性のパイプがどんどん太くなるイメージ。
ストーリー展開における、つなぎ目の関連性や整合性が薄ければ、手前の場面(シーン)に印象づけを意識できたり、自然に調整していけるようになります。
少なくともボクは昔ラムダ状態にあったことに気がついているので、こじつけか、意味づけかは判断できます。
ボク的に表現しますと・・・
①意味づけ→磁石
②こじつけ→接着剤
という考え方がわかりやすかもしれません。
接着剤(こじつけ)はベタベタして他の落ち葉まで拾ってくっつきやすいですが、磁石(意味づけ)は、既存のシーンが勝手にくっつきます。
ストーリーが幹だとすれば、葉っぱを接着剤でつけようとしているので、すぐに不具合が起きます。
厄介ですよね。
こじつけが起きてしまう主な原因は、優先するエピソードの順番がそもそも間違っていることに気がついていないことが多いのです。
関連記事:メインストーリーとサブストーリー
「何じゃこりゃ?でも、まあ、いいか」って曖昧にしたまま進めてしまっているなら少しだけ、間を置いてみてください。
そのアイデアは本当にクライマックスのシーンに効果的でしょうか?本当なパート必要でしょうか?
ストーリーの展開(つなぎ)を考える際には、意味づけ(磁石)か、それともこじつけ(接着剤)かを意識するだけでも、迷走したり、消耗することも防止できると思います。
あなたの創作を応援しています!
関連記事:着想で迷った時にするコト
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