恋愛物語で「愛している」という台詞はNG
恋物語をつくるコツ
クライマックスで「愛している」という台詞を使わせると読者は、かなりの確率でしらけます。
「愛しているって言って!」
「ああ、君を愛しているよ」
特に、「君だけを愛しているよ」という台詞は、女性にとっては、かなり言ってもらいたい言葉ですけど、それは現実(リアル)のお話です。
ストーリーを描く場合は違い、作中では、なるべくそういう台詞を言わせない方がベストです。
その理由を今から説明していきますね。
「愛してます」という台詞を使わずに、どうすればキャラの熱き恋を伝えることができるでしょうか?
読者に、「ああ、彼(彼女)を愛しているだなぁ」「この彼(彼女)のことが好きなんだなー」と思わせるだけでいいんです。
「愛している」なんて言葉を使わなくても、うっとりするんですよ。
例えば、『進撃の巨人』(ネタバレ注意)
ミカサがエレンに「私にマフラーを巻いてくれてありがとう」といってキスを求めるシーンがありますが、もし、そこで「あなたを愛している」という台詞を言ったとしましょう。
男性にとってはちょっと違和感があります。もしあの地獄絵のような場で「愛してます」なんて言ったら空気の読めないタダのおバカ女です。
ミカサはもう死ぬ覚悟ができているわけです。
死ぬ前にエレン言い残したことがあり、それは「愛している」という言葉ではないです。
幼い頃に両親を殺されて帰る家を失って、体がガタガタ震えて寒がっていた時に、エレンがマフラーを巻いてくれたことで、ズタボロの心を癒やしてくれてずっと感謝していたことであり、愛しているとは別物だからです。
感謝の思いをずっとエレンに伝えたかったし、ずっとエレンを特別な存在として扱ってきたわけです。
ですので、
ありがとうという言葉は、
「あなたを女として愛している」
「女としてあなたが好きだ」ということなんです。
だからエレンにキスを求めたんだと思います。
ミカサのキスシーンに「愛している」って台詞はいらないし、必要がないんです。
キャラクターが恋人対象に行動に移してきていることなので、十分読者には愛しているとことは伝わっています。
この見せ所シーンで「愛してる」って言えば必ずしらけてしまいますから気をつけてくださいね。
主人公の気持が「彼(彼女)愛している」ということが、読者に伝わっていればいいし、何より、目的(ゴール)を果たすことです。
恋愛物語のゴール(目的)は2つです。
愛する立場が最後まであきらめないことがゴール
愛される側が了承する(愛に応える)までがゴール
つまり、両者が愛し合う関係になれば完結です。
恋愛感情を演出するポイントは、恋愛したキャラ(当事者)が、何故好きになったのかが、オープニングや序盤で、読者に伝わるエピソードが必要になります。
もっと突っ込んで申し上げますと
愛する立場が、相手のことを好き(愛おしい)になる理由が伝わっていないと、読者は物語を追いかけられないからです。
その上に、「愛してる」という言葉に重みがなく、薄っぺらく感じてしまうんです。
愛のパワーは死を超えます。だから、命をかけるだけの恋人(対象)がづくりが欠かせません。
そのためには、愛される側(対象)に読者も惚れさせる魅力を作っていきましょう。
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進撃の巨人で言えば、
主人公エレンの魅力です。
エレンが、何故ミカサを助けたのかといいますと、エレンは強盗殺人犯を取り逃がしたくなかったし、早くミカサを助け出してやりたかったんです。
キャラの魅力というのは強くてかっこよくて、頭がいいとか、キレイで可愛いだけじゃありません。
その人間が持っている内面の強さと輝きです。
男性キャラであれば、誠実で純粋であるとか
女性キャラであれば、優しくて親切であるとか
実際にあなたに、好みの異性がいれば考えやすくなると思います。
関連記事:あなたが書きやすい主人公
もし、あなたの作中に恋愛要素をいれるとするなら、男性キャラでも女性キャラでも、主人公にハート(動機)をもたせることが、恋愛物語のスタートになります。
女性キャラが男性キャラを好きになる
男性キャラが女性キャラを好きになる
この2パターンと
・両思い
・片思い
この二人の関係に亀裂をいれたり、邪魔をするキャラを登場させます。
両思いの関係なら別れて、もう一度寄りを戻すための物語になり、片思いなら両思いになるための物語となります。
初恋で燃え上がるような一目惚れやアタックするタイプ、ツンデレでなかなか素直に好きと言えないタイプなど。
・・・・といっても、もし、あなたが異性に関心がない、人を本気で好きになれない、もし恋愛経験がないなら、どうすればよいでしょうか?
恋愛要素は入れないほうがよいかもしれませんが、男女の愛が描かれてない物語はちょっと退屈かもです。
それでもあなたが恋愛要素を加筆したい、というチャレンジ精神がありましたら、まず第一歩は、先程申し上げた「愛している」というNGワードを使わないことです。
恋をしたことのないあなたは、ウブではなく〝愛〟について学べていなかったかもしれません。
異性(同年代)から優しくされる経験が極端に少なかったり、逆にあなたが異性(同年代)に親切に接して、あなたのことを好意を寄せても、その気持に対して気がつかなかったり、他にもいろいろな要因は考えられますが、つまり、恋愛関係に重きを置いてないことは確かなような気がします。
また、相手のことを恋愛として好きなのか?それとも友達として好きなのか?が分からないと思います。
相手に惚れにくいタイプだったり、惚れられても感情がわかないタイプだったりします。それは生まれたもったものなので、それはそれでボクは良いと思います。
恋愛が描けない代わりに、ギャグテイストやホラーや謎解き要素をうまく物語の中へすりこんで払拭してもよいかと思います。
恋愛シーンを考えるトレーニング
もし、あなたが惚れることも得意で、惚れられやすいタイプだけど、恋愛シーンをうまく書けるようになりたいのでれば、空想(妄想)で反対の性や反対の役になって遊ぶことをおすすめします。
子どもであれば、ままごと遊び、また大人であれば演劇など、反対の性の役や、異性キャラになりきれるように、空想(妄想)してみてください。
もちろん男性役、女性役を一人芝居をしていたら、はたから見ればおそらく変人扱いされますから、お風呂に入っている時に、こっそりつぶやいたり、散歩している時に、静かに台詞を考えてみましょう。
あるいは、あなたが男性で、好きな女性を窮地から救って、エレベーターの中など、長時間二人きりになった時、どんな会話をするかシュミレーションしてみてください。
エレベーターや洞窟とか封鎖された環境で、彼女から「好きです」と言われた時、胸がドキドキしたら恋愛感情がある印です。
あなたが女性で好きな男性から、壁ドンされた時、胸がキュンとなれば恋愛感情がある印です。
あなたが男性であれば、好きになった女性キャラが、どんな台詞がかえってくるかを想像し、あなたが女性であれば、好きになった男性キャラが、どんな反応をするか交互に想像してみましょう。いきつくところはキスシーンです。
男性の気持ちになって、あるいは女性の気持ちになってみることが必要ですが、一つの指標として、「愛している」は言葉にしないで演出させましょう。
愛は行動で示めされているので、キャラが自分が彼(彼女)が欲しい、自分に必要だと願っている、求愛を求めるシーンを描けばいいんです。
関連記事:感情表現について
最後に、このブログをいつもお読みくださるために、恥を忍んで男女のセックス(性交)についても触れておきます。(恥といっても、すでにもう手遅れですが・・・)
まぁ、知っておくだけでも、恋愛要素を加えるための参考となることを願って。
男性の性欲は、女性よりも比較的強いです。これは統計として現れています。女性は汚らわしく思うかもしれませんが、男性も性欲をコントロールするのは辛いんですよ。(開き直っている野郎は除外します)
女性は、大好きな一人の男性だけに、自分だけを特別にずっと永遠に愛されたいことを望みます。
その理由として、生命学的に、男性は自分の子孫を残したい、という欲(根源的なエネルギー)があります。女性は、その種を出産して大切に子育てして家を守っていくという欲望(母性本能)があります。
男性は新しいものを開拓したり、家を建てたりする強い肉体と頭脳が必要で、女性は健康な子供を生み、正しく育て周囲にいる人たちとも賢くコミュニケーションをとり協力しあいながら家庭を守る、という男女の基本的な役割があるかと思います。
総じて男性の愛は〝責任〟を主体とした愛で、女性の愛は〝共感〟を主体とした愛を求めます。
求愛について
一般的に、やっぱりこの男よりもこっちの男が好き、こっちの女よりこっちの女がいいとか、本当に自分にふさわしい相手なのか探しますし、いろいろなすれ違いやたくさんのドラマがあります。
物語に登場する恋するキャラクターも、パートナー選びの入口が〝初恋〟で、出口が〝キス〟です。(なんか怪しい文章ですね)
もし、キスがなければ、友情物語で終わりますし、もしあなたの物語に恋愛要素をいれるのであれば、キスと結婚(ゴール)までの道のりは険しく、様々な試練や難関なエピソードがある・・・とボクは思います。
エンディングでは、基本二人が結ばれて喜びのシーンを描くことが基本だと思います。ここはパターンとかあまり関係がない気がします。
関連記事:結末の決め方
恋愛物語はキスを見せることが目的ではなく、男女愛を育む過程を楽しませることです。
くじけそうでも、あきらめそうになっても、ひたむきに歩む清らかな愛を演出させることです。
もし恋愛物語にセックスが入るとかなりアダルトチックな作風になるので、両者がキスをして物語を完結させた方が無難でしょう。
また、個人的に思うのは、恋愛とエロチズムは表裏一体で、性愛と情欲をおこすシーンもあればベターですし、物語も盛り上がると思います。
例えば、
『ドラえもん』の、のび太が、しずかちゃんのお風呂シーンをのぞいて怒られるシーンはのび太がしずかちゃんに対する恋の気持ちがあり、結婚するという未来へつながっています。
恋愛感情を起こさせる作品は、性との結びつきが強いです。
男性は、女性の下着をみただけで興奮します。女性も男性の太ももとか、胸板をみただけで反応します。それは先程申し上げました子孫を残すための欲望と子孫を生み育てて豊かにするという欲望がセットになっているからです。
関連記事:エロティズムよりチラリズム
ただし、Hなシーンが描きたい動機で書いてると、読者から見破られてしまいますから、作品の品質を落とし兼ねません。ですから恋する対象を愛する恋愛感情を中心に描いくようにしてみてください。
少年誌によくあるパターンでは、Hは女性キャラがシャワーを浴びていたり、下着をチラチラ見え隠れしたり、様々な表現があるかと思いますが、読者が退屈させないための飾りだと思ってくださいね。
[fuki-r]あんた!よくそんな恥ずかしいことが描けますね![/fuki-r] [fuki-l]ほんとですよ!炎上してもしりませんよ?[/fuki-l]ありがとうございます。褒め言葉だと思って受け止めておきます。
というわけで、
恋愛成就とは、人生の一つの結末(区切り)であり、新たな始まりで、一般的な恋と同じく、彼(彼女)といれば楽しいし、かけがいのないパートナーと出会い、嬉しく楽しいその先には、子孫を残し未来をつなげるための事業がはじまります。
長距離マラソンでゴールをくぐるまでの苦しい戦いを経て、やっと掴んだ優勝(恋の成就)は、感動を呼び起こせる重要なファクターです。
関連記事:物語の結末に余韻を残すコツ
ついつい、「愛してる」という軽はずみな台詞を使いたくなるかもしれませんが、脇役ならまだしも、主人公の演出としてはNGです。
少しむずかしい話だと感じられたかもしれませんが、今回は恋愛物語の基本構成をお伝えしていきました。参考にしていただけたらと嬉しく思います。
あなたの創作を応援しています。
おまけ
最後に、恋愛物語とは関係ないかもしれませんが、セクシャリティ(性のあり方)という問題についてボクの持論をお話させていだきます。
日本のBL(少年愛)作品は、1970年代に萩尾望都と竹宮惠子からはじまったとされています。
性のあり方に関してのボク個人の考え方としては〝愛〟というのは、まず、色々あるんだなぁ、ということを意識するだけでよいと思います。
ゲイさんやレズさんを見ても、ひとつの愛のカタチなんだと思うし、そういう生き方があると思うだけでよいと思います。
堂々と男同士で腕組んで歩いている姿をみて、ボクは「あ、同性愛なんだな」と思うだけです。
しかし、初音ミクと結婚したとか、AIりんなと恋愛中とか、そういうのは愛じゃない!と否定はしませんが、人として生きる(生命活動をする)観点では疑問を覚えます。
だって子孫は残せませんよね?人としての成長は止まってしまうと思うのです。
人を育てる喜びは、子育てだけではなく、仕事を教えて後輩の心を育てたりすることも含みます。その分苦労も多いですが、多くの人と交わることで人生という物語が豊かになるかと思います。
だからといってその人の人格を否定したりするわけではございません。ちょっと耳の痛い話かもしれませんが、
人は結婚して家庭を持つべきだという社会通念に無理に迎合することに嫌悪感を抱いており、あまり向き合いたくなくて死ぬほど辛いのであれば、逃げることもごまかすことも一つの道だと思います。
しかし、人生を豊かにするためには、自分で道を切り開くしかありません。
先程の例をとりあげれば、型破りなことをやろうとしているわけですから、バッシングを受ける覚悟が必要です。
特にまず親が心配しますし、未来に持続していかない意味では、互いが寂しくなり、家族関係も冷めてしまうのではないでしょうか。身近な友人だってドン引きするのも当然で、それを差別するな!というのはおかしな話です。
差別ではなく区別です。気持ち悪い!と思う人は多数を占めるでしょう。
性的指向が異なる人が圧倒的に多いわけですからしかたがありません。
同性愛についてのお話に戻りますが、国連サミットで採択されたSDGsが掲げる17の目標の内、ジェンダー平等という項目がありますが、日本では同性愛に対する理解が進んでいないと言われています。
ボクが思うに、理解が進んでいないと言うより、共感ができないので黙認しているだけだと思います。
みなどう受け止めてよいのかわからないし、どんなアクションをすればわからないと思うのです。ボクが学生時代のころ、男が好きな男性と初めて会話したことがありました。
なぜ男が男を求愛するのかわからないし、その感覚がわかりません。応援すべきなのかさえ戸惑うものです。
男性だからこうあるべき、女性だからこうあるべき…という概念がジェンダーといいますが、ボクは、同性愛者の方々が、男同士で暮らす生き方を選ぶことは自由だと思っています。彼らがそうしたいならそうすればいいし反対なんかしません。(反対してどうするの?)
その代わり、身内を説得させるという難題も越えないといけませんし、愛や自由には責任がかかるので、誰かのせいにしたり被害者になって煽ってはいけないと思うんですよ。
極端に言えば、家族から認めてもらえないかもしれないし、友人からも縁を切られる覚悟だっていります。誰にも相談できません。
もちろん、例外はつきもので、本当にどうしようもなくて困ったら国の機関に相談して、法で守ってもらうことも必要でしょう。
個人的な話ですが、ボクも多動性障害を持っています。仕事をミスして、リストラされフリーになった時期もありますが、やっぱり目の前の課題と向き合って生きていかなきゃいけませんし、道が絶望的に険しく、崖っぷちレベルの苦しみがあります。
自分の人生は自分で切り開くには、勇気がいりますしその辛さは半端ありません。
とりわけ同性愛に関しては、おそらくマジョリティー(多数派)は、差別してやる、いじめてやるなんて思っていないですし、性的指向が合わないから違和感が覚えてしまうだけだと思うんですよ。
また、社会体制が変わるのも、文化が広まるのも人々が彼らを受け入れるにも、きっと時間はかかると思います。
当事者ではないので一概には言えませんが、ある一部の人権運動家が社会に責任をとらせよう!という見方や政府批判は筋違いで、本人同士がそれ相応の摩擦に耐えられずに困っているだけだと思います。
そういった人の弱みを利用して、自分の主張を振りかざすのは控えなければいけないと思います。
同性と結婚する道を選ぶことで幸せになる、と本人が感じるのであれば、周りの人は、それはそれで認めてあげるべきでしょうが、夫婦別姓式が根強く、保守的で和合を主とする日本文化では受け止めることに時間がかかってしまうのでしょう。
こういった同性愛に対する差別や偏見の問題もこれからは徐々に減っていくというのがボクの見解です。
かつて1960年代後半からはじまった女性解放運動(ウーマンリブ)は女性が国会議員になるというのは当時タブー視されていましたし、いろんな議論が及んでたことを思えば。
世の中をマクロの視点でみれば残酷なことばかりですよね。異性愛者だって考えようによっては、子育てや借金、自殺や事故や病気や学資などリスクを背負うことになります。
恋愛も結婚しないと決めて、自由に生きようといる人でさえ、色々な不安を抱えて摩擦を乗り越えていく必要があります。自分が選んだ人生なのだから、誰にも文句は言えません。もちろん恋愛にも自己責任が伴いますから覚悟が必要だということ。
そう考えれば、すべてはフェアじゃないかなと思うわけで。
ボクが申し上げたいことは、自分と向き合うことはとてもつらいことですが、ありのままの自分を受け止めて納得して、楽しく開拓して生きることだと思います。
聞き苦しく思ったらすみません。もし何かピンとくるものがあれば(ないか・・・)
作品の題材の欠片レベルにも満たないとりとめないお話でしたが、最後までボクの持論をお読みいただきありがとうございました。
あなたの創作ライフを応援しています。
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