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感情表現について

2020年2月17日

キャラクターの感情表現が豊かであれば、読者を笑わせたり、泣かせたり、魅了させたりできます。

台詞ではなく感情です。

今回は、キャラクターのリアクション(感情の動き)について洞察したいと思います。

台詞は、言語的ですが、感情というのは、

・泣き崩れる
・笑い泣きする
・しかめっ面
・はにかんでうつむく
・目つきが鋭くなる
・舌打ちする、など

非言語的で描写的です。

特に、小説の物語の場合は、この感情表現力を注視していきましょう。

感情が発生する要因は、一般的に身の危険を感じた時、結果が予測できない時、過去を思い出した時、想像力を働かせた時、他者の感情的な場面に出くわした時、ルールや規範を破るなどのシチュエーションです。

物語に登場するキャラクターにおいても、何かの壁にぶつかった瞬間や、問題解決に向かう中で阻まれた時、妨害された時、あるいは何かしらの形で大きく好転した時に感情が発生すると思います。

つまり、

①舞台設定の流れの中(背景)から発生する感情
②キャラ独自のトラウマエピソードやハンディーキャップ(事情)によって発生する感情

があると思います。

主に、人間関係の交わりや衝突がほとんどです。

主人公とは真逆の考え方を持つラスボスの価値観の激しい衝突だったり、目的(ゴール)に向かうまでの過程で引き起こる〝葛藤〟が現れた時に感情が発生しています。

つまり、

対立構造のシチューション、あるいは舞台設定に絡む摩擦関係などによって感情が生み出されています。

物語の展開も、摩擦から生まれたキャラクターの感情を、読者に共感をさせています。

共感と感情移入の違いについては、別の記事でご紹介しますが、感情移入をさせる原因とは、読者が思ってもなかった出来事、想像にも及ばないリアクションにどぎもを抜かれる瞬間です。

参考記事:共感と感情移入の違い

リアクションの作り方

人生には、うまくいく時うまく行かない時があります。社会(舞台)というフィールドに身を置いた時点で、摩擦や葛藤が生まれていますよね。

これと同じように、ストーリー作りも、主人公が指標に向かうことで、嫌が応でも、感情をコントロールしているからこそ、うまく行かない時の苦脳や、うまくいった時の喜びも生まれているワケです。

つまり、

すれ違いトラップやコミュニケーションエラーを演出させることです。

目標(ゴール)に向かうキャラクターが、うまく行く場面とうまく行かない場面を交差させることです。

具体的には、キャラとキャラの間に摩擦を作ったり、舞台背景(世界)の制限やリミットによって、葛藤する状況をつくることです。

キャラクター設定でも、舞台設定の中でも、感情の動きを描写しやすくなるということです。

感情表現を配置する場所

では作中に、どこのパートにキャラクターの感情表現を配置したら効果的か?

・・・ということについてご紹介します。

キャラクターに感情(喜怒哀楽)を表現させるのは、「ここぞ!」という箇所に配置して、読者に感情移入させたいからですよね。

例えば『 進撃の巨人 』では、主人公エレンのお母さんが巨人に食べられてしまい、巨人に対する憎しみと悲しみが表現されていますよね。その後、「巨人を一匹残らず駆逐してやる」と強烈な決め台詞を残します。

このように、主人公エレンが、どのような事情(状況説明)があって、そこに至る理由が単純明快です。

その物語のパートはどこかというと、物語のターニングポイントです。

ターニングポイントとは、 キャラクターの転機を迎える場面であり、物語の分岐点です。

つまり、どのポイントで感情表現をするかといえば、何かを決断する前のシーンと、決断した後のシーンあたりに配置してみましょう。

物語を大きく方向転換させる場合、どのパートに、どのタイミングで感情表現すればよいかを掴めてさえいれば、読者に混乱させることなくコントロールできるようになります。

関連記事:ターニングポイント

物語は、感情が牽引している

これまで積み上げてきたものが一気に崩れり、成功したり、何らかの形でエピソード終わり、次のエピソードに向かいます。

行動(決断)の背景には、必ずターニングポイントがあります。

動機と理由を描写して、その動機と理由を決定づけさせるには、感情があります。

アントニオ・R. ダマシオ(米神経科学者)の研究によりますと、物事の計画や意思決定に感情は不可欠だとされ、

キャラクターの感情こそストーリー全体を司っているといっても言い過ぎではありません。

感情表現することを得意としている作家さんも、そうでない作家さんいますが、どちらにしても、物語を書く上で欠かせないことは、

あなた自身の人生の中を振り返ってみることです。

こうしてボクのブログを読まれているということは、物語を書くという目的(ゴール)があって、物語を書く前に、あなたが物語を書きたい!書きたくなった!という動機があります。

それって感情なんですよ。あなたは、何かに突き動かされて感動したんですよ。

当時、ご自分の感情を思い返してみてください。それが、あなたの物語です。

感情表現についての注意点

特に、コニュニケーションを刺激描写を得意とする作家さんなら、ついつい深い精神世界やディティールを描こうとしてしまいがちです。

残念なことに、キャラクターの複雑な感情を読者は追ってくれていないのです。

何故でしょうか?たくさんの感情を出しすぎると、読者は消化不良を起こしてしまうからです。

悩んでいる人の話を延々と聞いていても、同情はするけど、心に響かないのと同じです。

親身に聞いたとしても、相手の事情・背景や100%理解できないものですし、せいぜい「考えすぎじゃない?」って、簡単にあしらってしまう程度です。

例えば、嫉妬
嫉妬の発展形で、怒り、いらだち、悲しみ、不安などを表現したとします。

嫉妬という感情でもバリエーションがあり、人は一度に二つ以上の反応を抱いてしまいます。

ですが、その情報は厳密に言えば、読者とは無関係なんですよ。

それ以前に、物語というのは、うまくいく時うまく行かない時が交差しているので、できるだけ単純にしないと、読者の頭に負担をかけてしまうからです。

登場人物も、主人公、ラスボス、ヒロイン、サブキャラ、これだけでも4名いますし、舞台設定など、ただへさえ覚えることが多いので、酷使してしまうためです。

読者の最大の関心事は、物語で解決されるべき問いかけ(セントラルクエスチョン)が最優先です。

細やかな複合感情や回想シーンなど盛り込みたいお気持ちはわかるんです。・・・ですが物語のペースが落ちるだけでなく、読み飛ばしてしまうかもしれません。

キャラの細やかな情の動きに反応を狙わないことをオススメします。

感情とはストーリーを引っ張り、読者に刺激を与えていけるパワーがあります。それだけに、感情の出しすぎには、注意!と覚えていただけたらと思います。

極力コンパクトに、ピンポイント小出しにしていきましょう。

関連記事:読者から共感を得られない時

感情表現の分類とNG

読者は、極端は言い方をすれば、ワクワク感と、早く結末を知りたいだけです。なので、共感させる表現のポイントが必要になってきます。

感情表現には、いくつか種類があります。

①ボディーランゲージ(動作)
手で×(バツ)を作るなど。

②精神的リアクション
先読み(焦燥感)や妄想(マイナス・プラス)をするなど。

物的サイン
結婚指輪を投げ捨てるなど。

それぞれ、連想する言葉に置き換えてみましょう。

例えば、嫉妬
①ボディーランゲージ
 →爪を噛んだり自傷行為に走る
②シグナル
 →ライバルは自分と関係がないと自分に言い聞かせる
③物的サイン
 →何本もつまようじを折る

嫉妬という感情は、必ずといっていいほどライバルキャラクターが存在しますので 基本は敵対感情ですよね。

感情の種類によって異ますので、嫉妬の意味を理解した上でリアクションを描写するとよいでしょう。

例えば、
花子は、彼女に怒りをあらわにして嫉妬をした。

これはアウトです。(まんまですね・・・)

〝嫉妬〟という言語を使っていますが、キャラの台詞ならまだしも、言葉にならない非言語を文字通りに書いてはNGです。

また、ダラダラと長い文章を綴るのもみっともないです。

文が長ければよいわけではありません。かえって読者を苛立たせるリスクがあります。

短く心に響かせる文章は、読者に想像させる文章です。

そのポイントとしては、嫉妬という感情を抱いたキャラクターに、先程のボディーランゲージ、精神的リアクション、物的サインの中でベターなものを選び、キャラの感情を連想させやすくさせることです。

例えば、
花子は、洗面所の鏡を素手で割った。彼女の美しさに屈したことを意味するかもしれない。

これは、サイン(物的リアクション)を込めた感情表現ですが、花子の煮えたぎる怒りと無念さを表現しました。

このようにサインに限らず、ボディーランゲージ(動作)を複数の要素を盛り込むことで、説得力のあるシーンを描けるはずです。

100%伝わるようにしなくてもいいんです。読者に感じさせるだけで。

キャラの決め台詞

最後に、キャラクターの感情表現のリアクションの一つ、決め台詞について少し触れておきます。

いろいろな動作や表現があると思いますが、一番ストレートなリアクションが、キャラの決め台詞です。

決め台詞は、感情表現の範囲外です。

あくまで、感情の先にある後付けとなっていますし、正確にいえば、そのキャラ独自の価値観や思考パターンであり、繰り返し読者に理解してもらうためのリアクションだと思います。

今回は、感情表現の見せ方についてご紹介しているのですが、あえてボクの持論を申し上げますと、決め台詞は思考の表れであり、感情表現ではないと考えます。

つまり、
・決め台詞はキャラクターの思考を言語化しているため、感情表現とはいえない
・決め台詞はあくまで作り手の考え方、伝え方を読者に理解するための説明

キャラの感情表現は、どのような哲学をもっているのか?どんな考え方をしているのか読み手が連想しやすいリアクションであり、あくまでどんな感情を抱いているのかを出力したもの(形にしたもの)だと思います。

「これだけは言わせたい!」(もしくは、この台詞を言わせないとキャラ像がわからない)といったものを払拭させ、読者に理解を得させることが主題となりますので、感情表現と決め台詞とは別にした方がよいかもしれません。

以上、ボクが考えている感情表現でしたが、参考にしていただけたら幸いです。

あなたの創作を応援しています。

関連記事:共感と感情移入の違い