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共感と感情移入の違い

あなたが創作したキャラクターで、共感を与える物語とは何だと思いますか?一言で言えば、感動させることなんです。

当然かもしれませんが、それができれば誰も苦労しませんよね。

カナダの小説家(児童小説)アンジェラ・アッカーマン氏によれば、

彼ら(読者)がキャラクターがどんな気持ちでいるかを文字通り(台詞)に教えられることなど求めていない。むしろ自分でその感情を体験したいと思っているのだ。

アンジェラ・アッカーマン

すなわち、感情移入できる作品こそ、メッセージ性のある面白いストーリー作品であり、続きを読みたい!もっとこの人の作品を読んでみたい、となります。

しかし、読者の反応が「ふーん・・・」では、感情移入できてはいないですね。

はい。スルー没作品を描き続けていたボク自身、ありがたくも痛い経験が多々ございます。おそらくは共感レベルにも達していなかったのでしょう。(^_^;)

結局、自分の気持ちをキャラを通して言葉だけにするだけだと、やっぱりシラけちゃうんですよ。

そこで、今回、この感情移入という問題についてわかりやすく突っ込んでご紹介していきますね。

早速ですが、以前、感情表現についてという記事で、感情がストーリーを牽引しているということをお伝えしたつもりです。それに引き続き、読者に感動を与えようとする前に、まず共感と感情移入の違いについて知っておく必要があるんですよ。


名無しくん

え?共感と感情移入って一緒じゃないの?


名無しさん

ていうか、共感するから感情移入があり、感情移入するから共感があるんじゃ?

んー。ニュアンス的には確かに似ていますが、ストーリー作りでは、ぜんぜん違います。

あなたがこの違いを知っておくだけでも、どこに注力すればよいかわかるので、是非最後まで読んでみてくださいね。

関連記事:感情表現について

共感とは

エンパシーとも言われ、キャラの気持ちを理解し、寄り添うことのできる思いやりの感情です。
あなたが創作したキャラクターと、読者自身の中にある接点や類似点をみつけて喜怒哀楽を共有できた時に生まれる呼び起こすものとも言えるでしょう。

そのメカニズムは意外に単純で、人は脳内で疑似体験をして学ぶ機能が存在します。というのは、キャラの動きを、読者の〝脳の鏡〟に映し出して、まるで読者自身が実際に行っているかのよう感じるミラーニューロンシステムが働いているからだそうです。

脳科学的に言えば、読者がもともと持っている情動記憶に反応し、あなたのキャラクターの心の動きを、観察し推察して共通項にアクセスした時に出てくる反応です。

もともと読者自身にEQ(心の知能指数)が高い人が共感しやすいと言われますが、一般には、男性読者より女性読者の方が高い傾向にあるそうです。とくに、「この人かわいそう」と敏感に思える人、つまり優しい人です。


名無しさん

やったー


名無しくん

男性は優しくなんですか?

いえいえ。もちろん男性読者の中にも優しい人はいると思いますが、データ的にみるとそのような傾向が強いというお話です。

つまり、共感とは〝自分の弱さ〟を投影したストーリーパーツ(部品)であって、読者側からみると、まだ「・・・で?」の段階なんですよ。

読者は、その先が気になります。これからキャラクターがどんな行動を起こすのか?その先にある主人公の行動や結果を見た読者の反応ではありません。

また、主人公が他のキャラとの出会いによって、絆が深まるのも共感レベルです。

そして、自分の過去が洗いざらいになる転機(ターニングポイント)を迎えることさへも、感情移入とは呼べません。「・・・で?」なんです。

一か八か駆けに出る瞬間や、愛や勇気と友情から派生する主人公の挑戦や決意も共感の一つです。

関連記事:主人公の挑戦(覚悟)と決意(誓い)

読者に共感を起こさせるには、主人公が置かれた状態から、希望(願望)もしくは欲求を開示させることがポイントです。

以前、涙の公式でもご紹介しましたように、不遇な境遇で不快や痛みを被り、虐げられたりうなだれている設定が欠かせません。

その先に起ころうとするキャラクターの選択や行動「どのように?」によって、読者が感情移入させることができるのであり、共感とはその前触れとも言えるでしょう。

関連記事:涙の公式

例えば
あなたがとても大好きな異性、とても大切な人(愛する人)が、不治の病でベットで倒れた時、つらいですよね?

あなたの愛する人の病気が治らないことを知った時、死を待つしかないんです。ショックでいたたまれない気持ちになりますよね?

不治の病が発覚する前までは、愛する人との幸せな思い出エピソードが輝かしく浮かび、喜びに浸っていられたのですが、現実は残酷です。あなたが好きな人とのお別れが間近に迫っています。

読者もそれを眺めて切なくなります。

ところが、ある山の頂上絶壁に、不治の病を治す薬草があることを知りました。その山の麓に、凶暴なオオカミの群れが生息しており、峰に上がると空気が薄く気温も低いんですよ。岩場がゴツゴツしていて、プロの登山家さえ近づかない危険な山です。

頂上に登りついたとしても、その薬草があるかどうかはわからない。仮に見つかったとしても、下山して生還できる保証はどこにもありません。

しかも、あなたは山に登った経験がないド素人です。だけど、そんな危険な山を登り、薬草を持ち帰らないと愛する人を救うことができないんです。悲しくつらいですよね?

そうこうしている内に、愛する人の病状がどんどん悪化していきます。

さぁ、あなたは山に登りますか?あきらめますか?

共感というのは次のページをめくらせるためのスイッチです。すなわち、読者側は、まだ客観的で当事者意識を持っていない状態です。

もう、おわかりいただけたでしょうか?「あーわかるわかる!」「頑張れ!」

そして、まだ「・・・で?」なんです。まだまだ読者は物語を追いかけてくれていません。

この共感レベルのままだと、昔のボクのように没作品まっしぐらです。

つまり、読者を共感させられたら、感動作品がつくれるわけではないんです。

あなたの物語を読んで読者を感動までさせるには、あくまで読者に自己投影させる〝共感〟が必要なわけでして、感情移入させるための共感する背景(理由)のセットアップが必要なんです。

すなわち、共感と感情移入を合わせ持つストーリーこそが〝感動する物語〟と言えるのではないでしょうか。

で。もしもですが、あなたが「いやいや共感させること自体、無理ゲー!」だと感じていたら、下記の記事も参考にしてみてくださいね。

関連記事:読者から共感を得られない時

感情移入とは

読者が、あなたの世界観や舞台設定に没入し、キャラクターに共感した上で、度肝を抜かす瞬間を表現した時に感情移入が現れます。いずれもそのシーンは各章の終盤か、物語全体のクライマックスシーンで表現することになるでしょう。

それは、キャラクターの行動が読者の予想を裏切り、思ってたのとはまったく違う行動をして、意外性を与えられている状態なんですよ。

「まさか、そうくるか!」とか「いやーさすがだ!」とか「そうこなくっちゃ!」とか「え?どうしてそうなる!?」とか読み手に衝撃(インパクト)を与え、読み応えを与えられている状態です。

そのページをめくると、少し奇異な世界に触れつつも納得のいく感覚を得るのです。

プロ野球イチロー選手でいうと、バッターボックスに入るまでに30種類以上のルーティーンをこなしていますが、はたから見ればちょっと異常です。少なくとも凡人のやることじゃないですが、その意気込みってすごいじゃないですか。

でも、その凄みや意外性に読者が思わず称賛して絶叫している状態とも言えるんですよ。

自分の理解の枠組みをはるかに超えた情熱を持つ人物を目の前にすると、読者は、異質なものへの共感やあこがれを覚える

そう。それが感情移入の正体です。

主人公の新しい価値観に触れて、読者がその気流に乗り絶賛する感覚を与えられている状態です。

つまり、常識の範疇にあるのは共感レベルですが、感情移入レベルとは、既存の価値観ぶち壊すような、主人公の選択と行動を目の当たりにした瞬間です。

それは、これまでにない新感覚や爽快なアクションを披露(演出)を引き起こした時、読者は感情移入し感動が引き起されます。

さきほどの例え話でいえば、
愛する人の不治の病を救うために、危険な山へ薬草をとりにいく決意をしました。

主人公は、プロの登山家に泣きながら頼みこんで、途中まで一緒に登ります。凶暴なオオカミの巣(トラップ)を何とかくぐり抜けることに成功!ところが、急に吹雪が!このままだと凍死してしまいそうだ。

プロの登山家がこの中継地点でテントを張って一泊を決意。すると背後の森からオオカミの群れが現れテントをとり囲みます。主人公はあわてて銃を出して、一発打ち込んで一匹を倒すと群れは一斉に逃げていき、再び難を逃れる。しかし、いつまたオオカミが襲ってくるかわからない。

だが、その先にある峰には針のような岩場がそびえている。プロの登山家も「ここまでが限界だ!」下山を要求。しかし、主人公は目的地へ向かう決意は変わらず、護身用の武器を登山家に渡し、しかなたく「君が戻るまでここで待つ」「ただし日没までに戻ってこい」と約束をする。

上に登れば登るほど、空気が薄くなり風も強くなる。やっと頂上に辿り着き、バテた地面を見ると、薬草が発見。ところが主人公は気圧で全身がしびれ、目の奥に激痛が走る。めまいや吐き気がして、日没まで中継地点まで戻れそうにない。しかし、この薬草を生きて持ち帰らないと、愛する人を救えない。

体はもう限界だったが、どうにかして中継地点までもどる。しかしプロの登山者はオオカミを何発も打って、弾丸がきれた状態。このままではプロの登山家も主人公もオオカミに食われてしまう。

その時、主人公は常識の範疇を覆すとんでもない行動に出る。

「私(主人公)が囮になるから、この薬草を愛する人の所へ届けて欲しい!」と懇願するシーン。

そう。この絶頂クライマックスで主人公が決断したのは、プロの登山者にミッションをゆだねたのであり、それは愛する人をする目的を果たすことを意味する。

ここが読者に感情移入させる見どころシーンとなります。

つまり、主人公は愛する人のために、自分が囮になるということは、オオカミに食べられてもいいから愛する人を救いたい!という情熱です。

普通、愛する人のために死を選ぶなんて、凡人じゃできませんよね?現実ならかなり難しいと思いますよ?自分の命だって大切ですし、助かりたいじゃないですか。愛する人が死んでも、未来に愛する人も現れるかもしれないですし、いくらでも言い逃れはできますが、フィクションなのでその想いを描くことができるんですよ。

これこそ、読者の理解の枠組みをはるかに超えた情熱を持つキャラに、読者に共感と憧れともたせる瞬間で、感情移入できるシーンだと思うのです。

関連記事:恋愛物語で「愛している」という台詞はNG

まとめ

不治の病を救う、この例え物話は、ボクがこの記事の執筆中に考えたサンプルストーリーですが、

もしあなたがこの物語を描くとしたら、その動機は、〝愛する人への熱い想いが込められている〟ということが物語を書く本当の理由であり、テーマとなると思います。

もし、あなたが一番描きたかった核心部分(コア)が愛という題材であれば、筋の通せる作品に仕上がるのではないでしょうか。

強いて言えば〝愛は死をも恐れない〟〝愛は死を越える力がある〟そのテーマの善し悪しを決めるのはあなたではなく、受け手の読者なんです。

テーマとは、題材に対する独自解釈であり、あなたニズムであり、あなたの生き方そのものとなります。テーマは読者に押し付けるものではなく、感じてもらうもの、感覚的なものであり非言語的なものなんですよ。

関連記事:テーマという障害

あなたはメッセージを与える側ですのでブレてはいけません。

物語に感情移入させる要素は、描きながら考えてよいですが、できるだけ核心部分を見つけた方が作品を生み出しやすいです。

物語を描く前に、ふと〝間を置いて〟それを言語化してみるとよいプロットが構築できるでしょう。

ボクがこのブログで推奨する創作前の3つの決め事の内、誰?とは、あなた自身(主人公)であり、なぜ?は理由と目的です。

そして最後、どのように?は、あなたが痛みを伴う選択(決意)と行動(勇気)の瞬間を指します。

それも、できるだけ、あなたの実体験とリンクさせた方が臨場感がでると思います。

感情移入とは、キャラクターの決め台詞を映えさせることだけではない、ということは何となくご理解ただけたでしょうか?

あなたの身の上話(世界観)の中で、いかにスペシャルな行動で問題を解決(トライアル&エラー)を繰り広げさせるかがカギです。

読者は、あなたの世界に没入し、あなたの精神性を疑似体験したいと期待し望んでいるはずなのです。

それを認識してエンタメ作家としてレベルアップしていけるよう頑張ってください!いえボクも共に頑張ります。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

あなたの創作を応援しています。

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