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悪役は〝悪〟ではなく人間の弱さの演出

2021年1月20日

人形が蹴り落としている悪役の写真

今日は、悪役の作り方について考えてみたいと思います。

「悪キャラを登場させたいけど、悪役にイマイチ迫力がない」とか

「そもそも、悪役が嫌いだし、情がいかならいから描くことが難しい」とか

「もう少し、行動にヒネリが欲しい」とか・・・

まぁ、いろいろあると思いますが、悪役は物語を盛り上がらせるための引き立て役にすぎません。

つまり、主人公の目的を邪魔したり妨害するキャラクターで抵抗勢力・反対勢力の側に属しています。

何より読者が「こいつ嫌だなぁ」「クズだなぁ」と苛つかせるキャラクターなんですよ。悪役づくりの上手さは、読者に不快感を与えてナンボです。

思わず舌打ちしたくなるキャラを登場させないとやっぱり物語は面白くなりません。

関連記事:悪役はストーリーを盛り上げる

では、早速、不快感てんこ盛りのキャラづくりをご紹介しますね。

ポイントはまず、あなたが悪役の気持ちを理解することがスタートです。

主人公を攻撃するのは暴力だけとは限りません。特に心を傷つける言葉が必要です。

主人公を攻撃するキャラ(悪役)は、基本的に、主人公の考え方を全面否定してますので、主人公のやっていること、言っていることに対して何から何まで腹を立てているんです。

主人公は、健気に夢と希望をもってがんばろう!と周りを奮い立たせて必死の努力をしているにも関わらず、悪役は「くだらねぇ」「ケツが青い」「無理無理」「意味がねぇ」と足をひっぱります。

なぜ、テンションを下げさせて攻撃するのかというと、その姿をみてうらやましいからです。嫉妬しているから腹を立てるわけなんです。自分のないものを持っているから攻撃するんですよ。つっつきたくなるんです。

というのは、
あなたも、目の前で輝いている人、みんなから熱い目でたくさん注目が集まった時、うらやましくて、惨めな気持ちになったことはありませんでしたか?

更に、その人から正義を振りかざされたような目にあったりしませんでしたか?(イケメンで頭が良くてスポーツもできるクラスの学級員とか・・・)

あなたが弱い立場であれば、力や正論で行使された際に必ず警戒するはずです。悪役の心は〝自分の価値が下がった〟と錯覚しているんですよ。主人公を見て、恐怖(恐れ)を感じているんです。

(奴さえいなければ・・・)

だから、目の前にいるだけで気に食わないし、自分の存在が脅かされるのではないかとビクビクしているんです。目障りだから早くつぶしたいんです。

だから主人公が成功すればするほど腹が立ちます。幸せになってほしくないんです。目的を果たされると自分が困るから攻撃をしかけます。

それが人間の弱さの本質であり、良いこと、善行だとわかってても、簡単に認めるわけにはいかないし、祝福できません〝願わくば失敗すりゃいいのに〟とまで考え、手当たり次第抵抗するわけです。

主人公がゴール間近になれば、手段を選ばず汚い手を使って追い込もうとします。

じゃぁ、どんな風に?

主人公を弱らせるんです。その攻撃方法は、性格によって異なります。以前、キャラクターの性格4種で紹介しましたが、ここでは端折ります。

平たくいえば、人類には、大きく4種類の性格があると言われていますが、共通していえることは、水かけ論の攻撃になります。

関連記事:性格4種とキャラバリエーション

水差し言葉を使わせる

〝水差し言葉〟にはどんな手口(行動)があるのかというと、主人公が好調な時を狙って、しらじらしく話題を変えます。

例えば、
主人公が、達成感を味わってたり喜んでいる時、「ねぇねぇねぇ、ところでさぁ、〇〇のことなんだけど」など。

急に話をそらしてモチベーションを下げさせて、好調から不調に追い落とす手口です。また、高度なテクニックを持つ悪役キャラは、主人公の盲点をついて不安を煽ります。

例えば、
「おっしゃることはわかりますが、〇〇については?」「なるほど・・・ということは、〇〇がなきゃあまり意味がないですね・・・」など。

上品な言葉を使って、主人公に下品にふっかけます。(要するにつっこみを入れるいやらしいキャラです)嫌味を言って弱体化させ、心の中で喜びます。

更に、巧妙な悪役になると、、

「〇〇については?」「なるほど・・・ということは、〇〇がなきゃあまり意味がない気がしますねぇ。あらら。すみません、あくまで私の考えなんでお気になさらずに・・・せっかくの祝いの場を邪魔して申し訳ございませんでした」など。

微笑みながら皮肉めいたことを言って雰囲気を台無しにしてその場を立ち去ります。

これは毒舌爆弾ですね。あきらかに敵意むき出しの強力な精神攻撃です。

また『半沢直樹2』のラスボス(箕部幹事長)の有名なセリフ

「はぁ?最近、耳が遠くてねぇ・・・・」

自分の意向に合わない相手を寄せつけず、自分の都合を強引に押し付ける皮肉たっぷりの精神攻撃は、あたかも高齢者を大切しなきゃだめでしょう?という人道を履き違えた悪徳台詞は、見事なクズっぷりです。

関連記事:『半沢直樹2』1~4のストーリーの解剖分析

巧妙な悪役とは、あえて相手の感情を逆なでする効果を狙っています。主人公をひるませることが目的があきらかなので、かなりの嫌悪感を読者に抱かせることができます。

このように、読者がイラつかせるようなキャラを作ることができれば、主人公の存在感が大きく引き上がって輝きます。

主人公が輝く物語はインパクトがあります。ですから主人公に感情移入させるには、悪態をつく悪役の存在が欠かすことができません。

つまり、悪役づくりが、結末の期待値(セントラルクエスチョン)を向上させ、ストーリーを面白く盛り上がらせるのです。

関連記事:セントラルクエスチョンの考え方

注意するべきポイントは、あなたが悪役に同情しないことです。

最悪の場合、作家本人が悪役キャラクターに恋をしてしまうんですよ(笑)これだけは絶対気をつけましょう。

あくまで物語の導線は主人公のゴールにあります。下手をすれば、サブストーリーが肥大化するリスクがあります。

「悪役がかわいそうだから」「親近感がわくから」「こいつをもっと引き立たせたい」など考えていたら、読者は、あなたの邪(よこしまな)想いや欲が反映して違和感を感じさせてしまうでしょう。

一番厄介なのは物語が長引かせる(長期化)危険があることだけは忘れないでくださいね。悪役づくりは、〝読者をいらただせる〟シーンを作ることが目的なんですから。

関連記事:メインストーリーとサブストーリー

横槍を入れる

悪役は、悪い考えをもつキャラだけじゃありません。悪役本人が言っていることに責任をもっていなかったり、感じていなかったり、その自覚ないことがほとんどです。

苛立たせるキャラの作り方、ムカつくキャラの作り方は、主人公の目的に対して横槍りを投げさせることです。

横槍を入れるキャラは、関係の無い第3者が割り込んで主人公のやっていることにいちいち口をはさむのです。

しかも、本人は偉そうにして、かっこつけているんです。良いことをしていると信じているし、主人公よりも自分の方が強い!魅力がある!と主張します。可愛い子、自分が好きな子などに認めてもらいたいんです。

わかりきったことをクドクド説明したり、自己主張を延々と振る舞います。頼んでもいないのに、別の話をし始めて状況を混乱させます。ターニングポイントのシーンや大切な場面に登場させると「よりによってこんな時に・・・」と読者がムカついてくれます。

主人公やヒロインが、つっこみを入れるとダダをこね偏屈を抜かしたり、ヒステリックになり、どんどん態度が悪化します。厄介で手がおえません。(ほんとクズだな)

いかがでしょうか?読者に不快感を与えられますよね?

そして、トントン拍子で物事が運んでいたにも関わらず、主人公よりも立場の上(親・上司・権力者など)が覆し、また一から考えざる得ない、やり直しをせざる得ない状況に追い込まれる。ブチ!!(# ゚皿゚)ムキーッ!!

「このキャラ!超ムカつく!つーか人間のクズだなマジで」と読者に感動を与えます。(別の意味で)

このような悪役は、主人公の目的を邪魔するばかりでなく、逆に物語や主人公を引き立たせてくれますし、読者が感情移入しやすいのです。

水かけ論が幼稚であればギャグメーカーになります。ギャグメーカーとは、物語全体の雰囲気を盛り上がらせる残念な脇役です。

関連記事:脇役キャラクターをうまく使いこなす

逆に水かけ論のレベルが主人公の対等の反論(攻撃)であれば、物語のキーパーソンとなる可能性もありますし、きっと読者は目が離せなくなるでしょう。

ただしレベルの高い悪役は悪役ではなくなっているはずです。もはやメインキャラの仲間入りです。

つまり、主人公と議論を交わしているうちに、主人公の主張を認めざる得なくなるんです。そして嫉妬をしているんです。うらやましくて腹が立つから攻撃をしかけるのです。

そうなると、その悪役は、もうひとりの主人公の言い分、いわば物語のメッセンジャー化するので重要な登場人物になります。

関連記事:登場人物の増やし方と連結方法

はい。話をもどしますが、悪役とは、主人公の目的と理想をぶち壊すことを目論む邪魔なキャラです。

もし、主人公の目的が恋人とゴールインするとなれば、悪役はその関係を引き裂くように攻撃をします。

ですので、悪役づくりは、主人公の目的(ゴール)が決まっていないと、作ることは困難です。

創作前の3つの決め事の中にある②何故を決めておかなければ、作品の面白さは半減してしまうと思います。

関連記事:創作前の3つの決め事

ここからは、創作メンタルについて少しお話します。

ストーリーづくりの要、〝敵役〟が描けるようになると、あなたの周囲にいる人間関係が改善される、とは言い切れませんが、少しだけ心に余裕ができると思います。

何故なら、ストレスの原因のほとんどが〝人間関係〟から来るものだからです。

創作をするにはメンタルが必要ですが、意地になってメンタルを強くさせなくてもいいんですよ。メンタルを維持さえできれば。

そのコツは周囲の人たちと、何とかコミュニケーションをとってやり過ごすことです。

もし、周囲が荒れているのでしたら、作品の創作ばかりに熱中するだけでなく、身近にいる人(家族や友人や職場の人)へ気を配り、心地よく作品づくりができる環境をつくっていきましょう。(地道に・・・)

生活の中心が自分の創作ばかりになると、周囲の人をないがしろにしてしまいがちです。かえってストレスになり、パフォーマンスの低下につながります。

あなたの人間関係は、あなたが登場させるキャラクターの言動と反映されます。それは協力的なキャラだけでなく、非協力的(反対)キャラからもヒントが得られるチャンスですよ。

あなたの創作を応援しています。

おまけ

【豆知識】
周囲の人は、他人です。でも、その他人が自分を妨害していると感じた時に、敵として認識するようになります。

あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ〝You shall love your neighbor as yourself.〟というイエス・キリストの言葉をご存知でしょうか?

ボクはクリスチャンではありませんが、キリスト教徒でなくても、よく知られている有名な聖句です。この言葉に関するボクの独自の見解と、本当の意味をお伝えしたいと思います。

隣人とは自分以外の人間、他人という意味です。他人(敵)は、必ず身近にいて、隣に存在しているということです。ボクが思うに、そもそもはじめから敵は存在していないと信じています。

何もありません。あなたが見ているのはホログラム映像です。

脳が「こいつは敵だ!」「自分を妨害しようとしている」と勝手に勘違いして、そういうシグナルが感情(情動的記憶)を引き起こし、結構、無駄なことを考えて、時間を消費させ、精神を激しく消耗しているだけに過ぎません。

敵の正体に意味がなく、単にその事実があるだけです。

敵とは、他ならぬ自分が気に入らない相手のこと。自分の存在を脅かす目の前にいる相手で、存在していないのに、張り合おうとしているだけで、生体学的な解釈をすれば、恒常性維持機能が働いているだけです。

〝忙しい〟という漢字をよく見ると、心を亡くすと書いてますよね。攻撃したり防御したりすることで忙しいんですよ。物語が作動しているんです。(認知心理学では自動思考スキーマーと呼ばれ瞬間的にイメージするんです)

そして更に、こいつは敵だ!と感じているのは、あなただけじゃないです。〝あいつは自分の敵だ〟と警戒心を抱く相手でさえ、あなたのことを敵として憎しみや嫌悪感を感じているかもしれません。

いかがでしょうか?もっとゆったりと構えてください。少し間を置いて、考えてほしいんですけど、どの人間にも事情があるじゃないですか。相手にも理由(ワケ)があるはずなんですよ。

その相手は、別のある人にからみたら善人に見えている(感謝している)人だっているんです。あなたが相手に憎しみを抱いていることがすべてじゃないという意味です。

でも、あなたが苛立つ相手をそう簡単に許すことができませんよね。

だから、怒りを感じるままに怒鳴る、泣きわめく、嘆きましょう!必ずこのプロセスを通過した方がよい、というのがボクの見解です。

いいんですよ。

怒りを顕(あらわ)にして。吐き出してください。でなきゃ、本当のあなたの物語がはじまらないんです。
自分の気持を抑え込み押し殺すのはやめて、外界に発して抵抗していいんです。必死こいてあがうんです。

これって、無意味なことでしょうか?無駄なことでしょうか?

ボクは必要なことだと信じてます。だって、それが本当のあなたですもん。しかたがないじゃないですか。あなたが感じているありのままの姿を認知できないと、ただしく物語が描けません。

それ以外は我慢です。我慢できないなら表現した方が心の健康によいです。

問題はトラウマ化しないように、ブチ切れた翌日、冷静になって自分を見つめ直すこと。そうすることで、相手の言動を冷静に受け入れられるようになります。吐き出した分だけ心理的な束縛から開放され、相手を理解するスペースが生まれ、問題を問題として感じなくなります。

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あらがった後は、ピンチをチャンスに変えることを学ぶことです。それが、主人公のクライマックスシーンのヒントになります。

ボクは作家のパーソナリティが注目されている時代だとお伝えしたかと思います。

相手に対する敵意さえも本当の気持ちであるため、その本心をないがしろにしたままでは、本当の自分を愛したことにはならないと思います。

ですから、〝あいつが嫌いと感じている自分がいる〟と認め、素直な自分を受け入れることです。

良いことも悪いこともすべて受け入れることで、心にスペースが生まれます。これが心理学でいうメタ認知(メタ思考)です。

ボクなりの解釈ですが、これが、あなたの隣人をあなた自身のように愛せよという本当の意味ではないでしょうか?

だからこそボクはアップルの創始者スティーブ・ジョブズ氏も行っていた、マインドフルネス瞑想(メタ思考トレーニング)多くの作家さんにオススメしたいのです。

創作とは〝自分探し〟だと思います。ボクは創作を通して〝自分を発見する喜び〟を感じてほしいですし、それを共感しあえる創作仲間がほしいです。そんな仲間が一人でもいれば、きっと純粋に創作を楽しめるはず。

まぁ、作品づくりって、幸せを得るための一つの手段だと思うので、小説や漫画にこだわらなくてもよいと思います。自分に気づくことさえできれば、すべてうまく行く気がします。いろいろと偉そうなことを、ダラダラ綴ってしまいましたが、このブログはボクの物語のスタートラインなのかもしれません。

飯友優