片思いで終わるラブストーリー
冬に恋が動き出す⁉ラブストーリーの季節感
恋愛は、夏よりも冬の方が旬だそうです。その理由は、とにかく寒いので誰かと寄り添う相手がほしいからだそうです。あなたがもし初心者向けストーリー作りのコツを探しているなら、冬を舞台にすると感情が伝えやすくなりますよ。
バッドエンドの恋愛物語とは?
今回は、ハッピーエンドの恋物語ではなく、バッドエンドのラブストーリーの考え方をご紹介したいと思います。
バッドエンドラブストーリーと言えば、〝片思い〟か〝失恋〟しかないと思います。
ちなみに、ボクが高校の頃、クラスメイト(古い友人)が、女性教師に、一目惚れてしまって、その悩みをうちあけてくれたことがありました。
当時、ボクも片思いだったので、共感しあえた仲だったのです。(遠い過去の話です)
彼の場合、年上でしかも既婚者で教師である現実を受け入れられず、叶わない理想や、出口のない迷路を長らく彷徨っていました。
彼女の授業が始まる度に、苦くて辛くて、きっと夜も眠れなかったそうです。
生徒と教師との関係ですから、ボクは応援してあげることもできないし、当然、友人の恋は実ることはなく、結末は、片思いだけでとどまりました。
読者を惹きつける片思いの力
さて。早速ですが、あなたは、〝恋〟をしたことはありますか?〝片思い〟または、〝失恋〟おそらくは、「ない!」と言い切れないと思います。
[fuki-r]しょっぱなから恋バナかよw[/fuki-r]あなたは作家ですから、人より感受性が豊かで聡明だと思います。
両思いにしろ、片思いにしろ、必ず気になった異性と出会っていたはずですし、それは恋愛レベルに発展しないにしろ、特定の異性に惹かれることはあったかと思います。
[fuki-r]あwwwそれ以上言わんといて![/fuki-r]ちなみにボクの学生時代は、片思いで終了しました。
[fuki-l]ダメじゃんw[/fuki-l]はい。恥ずかしながら「あなたが好きです」とか「ボクと付き合ってください」って、告白する勇気はなくて、鮮やかなバッドエンドでした。
[fuki-r]ウケるw[/fuki-r]ボクは、昔から異性に惚れやすいタイプで、小学生の頃、好きな女の子と出会い、普段ピエロのように振る舞えても、その子の前だと緊張してしまい、おとなしくなってしまうのです。
その子にだけが常にスポットライトが当てられて見えるんです。ちょっと触れたり、声をかけられたり、少しでもすれ違っただけで顔が赤くなり、胸がバクバクして息苦しくなる・・・そんな揺れ動く気持ちの正体がわからず、動揺したことがありました。
あなたもそういう思い出が一つや二つあるはずです。
[fuki-l]んにゃ!わたしゃー、恋愛した覚えがない![/fuki-l] [fuki-r]つうか、恋愛なんぞ自分は向いてない![/fuki-r]↑ ・・・という人は、大変申し訳ございません。(^_^;)
恋愛は好きだけれども不覚にも〝愛〟という言葉に冷めてしまった、という方には、申し訳ないです。
異性との仲良し関係から、恋人関係に発展せずに自然消滅、もしくは片思いで終了したあなただけにお伝えしたいと思っております。
さて。そろそろ本題に入りましょう!
両思いというのは、〝心地よさ〟〝愛おしさ〟と〝切なさ〟〝憎しみ〟が同時並行し、両者が結ばれるまでの心の変化のプロセスを描く、ということを以前の恋愛ドラマの法則(その①)でご紹介したかと思います。
読者を惹きつける片思いの力
それに対して、片思いで終わる恋物語は、強い共感と、強い余韻を残し、しかも短編で完結することが多いのです。なぜならば、未解決で詩的だからです。このような構成を考える時に役立つのが、小説を書くためのストーリー構成なんですよ。
つまり、バッド・エンドは、読者に〝続きがある〟と思わせられるのです。
そのメカニズムは簡単で、失恋した人を応援したくなり、後悔という感情が読者と共鳴しあうからです。
「もしも、あの時、私が彼(彼女)に自分の想いを素直に伝えていたら・・・」とか。
「伝えられなくて後悔するよりも、伝えて後悔した方がよかったかしら・・・」など。
切なさを体現したのが、バッドエンドストーリーです。
あなたの体験やエピソードから、美しくキャラへ変換させて、物語に暗喩表現できれば、読者の心を大きく揺ぶることができるでしょう。
ストーリー的に言えば、
会いたくて会えないといったすれ違いの多い〝両思い〟よりも、むしろ極度の孤独さや複雑な想いを描く〝片思い〟や〝失恋〟の方がインパクトがあると思います。
ですから、相手に気持ちが届かないバッドエンドストーリーは、何かしら読者の心に引っかかります。それが見所でもあり、その後どうなったのかな?など、期待や想起させやすい作劇法だと思います。
寄り道コラム:ボクらが「違い」を受け入れられない理由、ちょっと考えてみたんです
【解説】東方神起の名曲『どうして君を好きになってしまったんだろう』を通じてバッドエンドの物語を深堀り!歌詞に隠された切ない恋の構造やMV(music video)のドラマの演出から、小説を書くためのストーリー構成やキャラクターの描き方まで学べる内容です!気になったらCHECK!
バッドエンド恋愛の展開パターン
では、もう少し具体的に解説しますね。バッドエンドについの全体構造(プロセス)を考えていきましょう。以下が、両思いの物語になります。
初恋
↓
試練
↓
片思い
↓
試練
↓
妨害
↓
両思い
↓
妨害
↓
キス
↓
妨害
↓
結婚
片思い物語ですと、こちらになります ↓
初恋
↓
試練
↓
片思い
↓
?
もしくは、
初恋
↓
試練
↓
片思い
↓
試練
↓
妨害
↓
?
結末は、〝?〟ブツっと切れて終わるんですよ。それが、読者に対して大きな余韻を残すことになります。バッドエンド作品の魅力は、その「?」にあります。これは漫画のストーリーを考えるためのヒントとしても有効です。
バッドエンド作品の魅力は、その「?」にあります。これは漫画のストーリーを考えるためのヒントとしても有効です。
この「?」の部分こそ、読者に想像の余地を残す「不確実性の演出」になります。物語がはっきりと終わらないことで、「もしかしてあの後、2人は再会したのかも…?」というように、読者が続きを心の中で補完したくなるのです。この効果は、創作において非常に強力な武器になります。
人類が共通して好む、ラブロマンスというジャンルは、主人公とヒロインが結ばれるのか否か?〝恋模様〟や〝恋の行方〟は、その前兆や予兆の〝問い〟とも言えるセントラルクエスチョンとなります。
ストーリー作りには、物語の展開パターンがいくつかあります。中でも一番オーソドックスで、欠かせない展開が、恋愛関係ドラマです。
言語は〝歌〟からはじまった?
『古今和歌集』に出てくる
花のいろはうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
小野小町
という、有名な小野小町の歌があります。
「ふるながめせしまに」の〝ながめ〟とは、〝長雨〟と、〝眺め〟を掛け合わせて使っています。
つまり「人生を眺め暮らしているうちに、時が経ってしまい、花の色香も失せてしまった」ということです。
わかる人にはわかるんですけど、言葉にならない気持ちを美しく再現されています。ちなみにボクは、小野小町って、かなり美人だったという記憶にあるだけで、古典授業やテストはまったくダメダメでした。(はいどーでもいい話です)
さて。先の冒頭で、〝片思い〟をしたことがあるか?ということについて、再度、お尋ねします。
心当たりでもいいですが、直接でなく、あなたが好きな相手に向けて、ボディーランゲージとか、カラオケとか、一人シャワーを浴びている時にでも、歌ったり、踊ったり、自分の気持ちを表さなかったですか?
平たくいえば、嬉しくも切なくもジタバタしている状態です。
それって、もうね。覚醒状態(恋の病)なんで、言葉にしようがないんですよ。
脳科学的に言えば、アドレナリン、ドーパミンが大量分泌し、日常生活に支障が出てしまうほどの状態です。
恋の苦しみ(痛ギモ感覚)を、歌を歌うことで、気分を紛らわしていたかと思われます。
歌に宿る恋心と言語の起源
フランスの哲学者ジャン=ジャック・ルソーの言語起源論によれば、人はまず考える前に、まず感じていると、論じられています。
そう。あなたは、気になる異性を、考えたのではなく、まずは感じた、ということです。
つまり、異性に求愛する際に、意味の伝達よりも先に「感情」があり、意味ある言葉を表す前に、歌うような調子で相手に伝えた。それが言語のはじまりと言われています。
また、日本の生物言語学者である岡ノ谷一夫氏によれば、生物には心をもっており、その心を解明するには、鳴き声を注目すべきだと説いています。
小鳥の「チュンチュン」という鳴き声というのは、文法があるとは思えませんよね。
実はですね。連絡や、警戒などの「地鳴り」と、求愛と縄張りをアピールするための声の「さえずり(歌)」(数10秒間泣き続ける)の、大きくこの2種類があるそうです。
岡ノ谷氏は、小鳥のさえずりが、人間の言語と同じくらい複雑な音節からなりたっていることを発見し、人間の言語のもとは、小鳥のさえずり(歌)だという、「さえずり言語起源説」という説があるほどなんです。
すなわち、
人間が、最初に声を発したのは、空腹からではなく、喉が乾いたからでもなく、愛し、憎み、憐れみ、怒るからである(中略)それは歌うような情念のこもったものだったのである。
『言語起源論』ジャン=ジャック・ルソー(著)
言葉のはじまりが、感情から湧き出てくる〝歌〟からはじまった、とは非常に興味深い説ですよね。
以上、片思いで終わるラブストーリーについて解説しました。
あなたの創作を応援しています。