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ドライバー型のキャラクターの作り方

2021年9月11日

以前、キャラづくりの参考に人類の代表的な性格4種キャラバリエーションをご紹介しました。

一応、復習なんですが、米産業心理学者のデビッド・メリル氏が提唱した、ソーシャルスタイル理論を応用して、創作のキャラづくりに活かそうというボクの試みなんですが、前回、アナリティカル型キャラクターに引き続き、本稿ではドライバー型キャラクター(第二弾)をご紹介しようと思います。

関連記事:アナリティカル型キャラクターの作り方

結論から申し上げますと、

ドライバー型タイプは、残り3つのタイプの性格が統合された性格です。

つまり、アナリティカル型性格、エクスプレッシブ型性格、エミアブル型性格がバランス良く配合されしているタイプ。

なんのことがよくわからないですよね。

つまりですね。

ドライバー型タイプとは、アナリティカル型タイプ(賢者)のように分析家でもあり、エクスプレッシブ(戦士)のように勇猛だったり、ムードメーカーであるエミアブル(魔法使い)のように優しく包容力がありと、マルチな性格が、ドライバー型タイプなんです。

そう。バランス感覚があり性格がハンサム(八方美人)なんですね。

ここまでくると、もはやパーフェクトで敵なしです。

ただし、3タイプから比べてみると、やはりそれほど性格の濃さ(味)が出ていないというか、意外にもドライバー型タイプは、主人公に向いていないと思うんです。(ぶっちゃけ筆者の主観ではありますが)

というのは、性格の色が、めだったものがないからです。

哲学者カントは、人間の精神の働きには、知・情・意の3つがあると説きました。

つまり、
知→アナリティカル型(賢者)
情→エミアブル型(魔法使い)
意→エクスプレッシブ型(戦士)

ドライバー型(勇者)は知情意を持ち合わせています。

つまり、

アナリティカル・エミアブル・エクスプレッシブ型の3者から一番突起している部分が〝リーダーシップ性〟〝強い責任感〟です。

何でもできちゃうのは、能力が高いからと言えますが、最大の特徴は何かと言えば、全体を引っ張るずばぬけたカリスマパワーと指導力があるということになります。

こういうキャラクターは現実には人類には稀で極少数です。

少なくとも一般ピープルとは違います。特に、難問題に対して先頭を切って突っ走るタイプですね。

古代ギリシアの天才軍略家アレキサンダーのごとく、「俺について来い!」「安心しろ!」「すべては俺が責任をとる!」「お前の命は俺が預かるぜ!」といって、強く頼もしく、部下からとても愛され信頼されるキャラなんです。正義と慈愛をバランスよく兼ね備えています。

でも、考え方によっては、エクスプレッシブ(戦士)もドライバーのようなリーダー的要素もあります。アナリティカルもエミアブルもその気になればメンバーをまとめることができますし・・・。

じゃあ、一体ドライバー型タイプって何があるの?っていうと、やっぱりイニシアチブ(率先)をとって全体を柔軟に動かせるキャラなんですよ。

例えば、
ほら。学生の頃、いたじゃないですか。学級員とか、生徒会長とか部長の人柄。そこそこ成績が良くて、みんなを引っ張る力やカリスマ性がないと、その役柄は務まりません。

男性でも女性でも、彼(彼女)のようなタイプは、物事を見抜く力(洞察力)が優れており、気がつくと自然に主導権があるんです。

人の心を平等に見てますし、まとめ上手です。

ボクは小・中・高校、まともに授業についていけなかった人ですから、まったくご縁がありませんがw

ですから、もし、このドライバー型タイプをメインキャラとして登場させるなら、創作上、あなたが思い描く舞台設定(世界の仕組みやシステム)を彼(彼女)へ付与(カンニング)させてあげましょう。

関連記事:舞台設定の3つのポイント

ところで、そんなオールマイティーでもやっぱり弱点があり、ドライバーが一番苦手とするタイプいます。

どのタイプだと思いますか?

実は、エミアブル型タイプ(魔法使い)なんです。

エミアブル型とは対極する性格なので、関係性がもつれることが多く相性がよいとはいえません。

ある程度は寛容だったとしても、ドライバーは基本クールです。エミアブルのように徹底した温和で協調性はありません。

また、ドライバータイプはロマンチストであり、大きな夢を抱く理想家です。個よりも全体を優先する傾向があり、それを、「一人よがりだ」、「独善的だ」と考えているのが、和を大切にするエミアブル型タイプなんです。

一方、ドライバー型キャラは一辺倒です。周りから、どんなに蔑視されても絶対に信念を曲げることはないですし、自分の使命をあきらめません。

ミッションを果たすための精神力がずば抜けて強いです。それとは対象的なエミアブルは、母性本能が強く、コニュニティーを維持する能力が高いので、ドライバー型とは、すぐに意見が割れてしまうのです。

そう。リーダーを支える人がいるからドライバーは威力を発揮しますが、エミアブル型がいると実行しずらくなるんですよ。そう。ある意味エミアブル型は、ドライバー型のブレーキ役となることも多いでしょう。

しかし、さすがオールマイティーキャラクターです。

まっこうから反対するエミアブルの意見を最終的には聞き入れ、自分のダメなところはダメ。あなたの意見も一理ある、と聡明な善悪観念で、自ら改める潔さ・謙虚さもあることも忘れてはいけません。

男だろうと女だろうと、失敗しても立ち上がれるし、普通とは違う星の下で生まれてきたというか、スペシャルなんですよね。

ボクが思うに、物語としてはこのオールマイティーなキャラが主人公だと物語が作りづらいと思います。

ちょっと意外でしょう?

何故かというとですね。

失敗して極端に落ち込んだり、悩んだりしないワケじゃないですか。それって誰の手も借りずに自分で解決してしまう理想的な性格な分、人間関係のドラマ曲線が生まれにくいからです。

いわば、一般ピープルよりもスケールが大きすぎるんです。

物事を抜本的に改革することを望んでいるので意識レベルが伊達じゃないです。ずっと遠くの未来を見据えているんです。下手したら完璧すぎて共感できる読者があまりいないかもしれません。

例えば、
風の谷のナウシカ』の〝ナウシカ〟とか、『ONE PIECE』の〝ルフィー〟のようなタイプです。周りに愉快でユーモアな仲間がいて初めて物語が成り立つケースです。

さて。ここからは、ボクの考えなんですが、

ぶっちゃけ、主人公の設定は、知情意3タイプ(アナリティカル・エミアブル・エクスプレッシブ)のどれかを主人公にすると物語は作りやすいかと思います。

いずれにしても、自分に一番近い性格をモチーフにすることを当ブログではおすすめしています。主人公を決める際には、ぜひ、創作前の3つの決め事の内①誰?を参照してみてください。

関連記事:誰?の決め方

それでも、ドライバーを主人公にして、物語を面白くしてみたい場合はですね。

よくありがちなんですけど、知情意の平準以下の能力に設定して、一関門ずつ勝ち上がり、どんどん覚醒させていく展開にするとよいかと思います。

あるいは、心理的に乗り越えがたい大きな壁にぶつかって、どん底(落胆)で苦労しながらも、とてつもない強敵に立ち向かう展開がよいかと思います。

また、序盤でトラウマの思い出をちらつかせながら、最終的にリベンジを果たす展開というのもよいでしょう。

関連記事:物語の展開パターン

いずれにしても、ドライバー型タイプを主人公にすると、若干敷居が高いので、個人的には無理しないでほしいですね。

というのも、話自体がやや複雑になりがちで、初心者にはドライバーの型の魅力を活かして物語を面白く表現するには、ちょっと描きにくいキャラかと思います。

もし、ドライバー型タイプの主人公にするなら、高度な戦いになる分、悪役は極悪非道で強いキャラ設定にした方が見ごたえがあるからよいと思います。

関連記事:悪役の描き方

で。ボクの提案ですが、この扱いにくドライバー型を、サブキャラとして位置づける方が、あなたの物語にうまく溶け込む気がします。

いわゆる主人公の助け舟(助っ人)役です。能力が不足している主人公が、目的を目指してあえぎながら、上層部へエスカレーションしていく展開にします。

そこに、頼りになるドライバー型キャラクターを登場させるとバランスよく物語に馴染むと思います。

関連記事:エスカレーションの設定(舞台設定)

いや、「それでもやっぱりドライバー型を主人公にしたい!」とご希望であれば、〝孤独〟をちらつかせてください。

・・・というのは、周りからちやほやされるし、周囲から理解されずらい、心理的にも孤立しやすいからです。

能力が高い分、誘惑にもなびきやすく、悪の手に染まったりダークサイドに堕ちるケースもあります。

何と言ってもこのタイプはオールマイティーヒーローですが、大悪人(ラスボス)に突然変異する可能性が高いからです。

ドライバー型性格キャラが、主人公の敵となればパワフルな対極構造が生まれ、物語全体を盛り上がらせられるかもしれません。

でも、基本は〝善〟のためなら、優れたパワーを発揮しますが、もちろんダース・ベイダーのように脆弱な内面が見え隠れして〝悪〟の道へそれていってしまうことも・・・。

あなたが、もしハッピーな結末を望んでいるなら、ドライバー型を主人公として設定するのは、リスクがあるということだけでも知っておいてくださいね。(バットエンドが好きなら問題はないと思います)

関連記事:結末の決め方

とまぁ色々とお伝えしてきましたが、

平たくいえば、ドライバー型キャラクターは、心に闇を抱えているリーダーシップのある性格だということを覚えておきましょう。

男女問わずドライバー型性格の一番の弱点についてですが、

ズバリ仲間からの信頼を喪失されてしまうことです。

うとまれたり、誤解されたり、見放されると、あまり表面には出さないけど、内面ではかなりダメージを受けます。

優しさの裏には、陰り(カゲリ)があり、ヒヤヒヤさせてくれるシチュエーションがあれば、キャラを際立たせられると思います。

そういう意味で、心理的には常に崖っぷちに立たされているような心境を描くとリアリティが増し、過去のトラウマなどに翻弄される姿は、読者にいじらしく映し出されます。

思わず共感し、虜になってしまうような魅力を感じさせられるとよいですね。うん。

また、ドライバー型タイプは上層部に位置しているかというと、必ずしもそうではありません。

例えば、
王子が奴隷によって売り飛ばされて、組織の最下層にいたとしても、誇りを持って強く生きようとします。

正しいことを発言し、勇敢に行動し、どんどん解決させることができる、まっすぐ生き生きしたシーンを描いてみてください。

関連記事:強い主人公の描き方

何と言っても、優秀な仲間から声をかけられ、逆に自ら仲間を見つけ出し、見分けることにも長けていますから、例えばノリノリのエクプレッシブ型タイプとはウマが合います。そんな気の良い仲間やパートナーとタッグを組んでうまく展開させてみるのも一つの手です。

ドライバー型(勇者タイプ)とエクスプレッシブ型(戦士タイプ)はよく似ていますが、はっきり異なる点は、は攻撃的であっても、常に冷静で状況をよく飲み込めており、洞察力が優れているんですよ。非常に大人っぽいです。

例えば、
子供の頃、ちょっと思い出してください。
ドライバー型は、〝しっかりさん〟で、エクスプレッシブ型は〝やんちゃ〟です。

〝しっかりさん〟と〝やんちゃ〟は明らかに違いますよね?親から一番叱られるタイプが〝やんちゃ〟です。よくゲンコツをくらって怒られる子ですw

ドライバー型の子供は、大人からはよく「あなた小さいのにしっかりして偉いわねー」と褒められている子ですよ。

大人にもちゃんと事情やワケを話して、エクスプレッシブ(やんちゃ)を弁護する能力があります。この行動はエクスプレッシブとは差別化すべきところです。

逆に、エミアブル型タイプとは気が合いません。ちょっとボーッとした穏やかなタイプですから、ドライバー型とは、あまり関わりたくないタイプですし、声をかけても、モジモジして黙ってしてしまうかもしれません。

「こいつ(エミアブル)は何を考えているかわからない」と、眉をひそめることも多いでしょう。

ドライバー型は、温厚で穏やかな気質とは180度違い、勝負事や冒険心が旺盛なので、はじめはエミアブルとの関係はあまり深まらないでしょう。

しかし、実は面白いことにですね・・・・

ドライバーは、このようなエミアブル型タイプと恋に落ちやすいと言うことです。

人って、自分に持っていない性格を欲しがるもので、自分の存在価値を受け入れてくれる存在、母親像(父親像)を潜在的に求めているのからだと思います。

エミアブル型タイプは、仕事やミッションの共同パートナーは向きませんが、包容力のある女性(男性)とは恋愛対象になりやすいとボクは考えてます。

一方、分析家であるアナリティカルの意見は、ドライバー型タイプは、重宝したり助言を求める傾向があります。

というのは、アナリティカル型と同じく、ドライバー型にも傾聴力があるんですよ。このアナリティカルの存在のおかげで、正確に状況判断し、部下などに行動を促すことができるからです。

アナリティカル型タイプは、基本マイペースで、自己肯定型が多いですが、逆にドライバー型は、自己犠牲型が多く、目的や指針を強く持っていますし、全体の益のためなら自分を犠牲にすることさえ本望と考えているんです。

なかなかいませんよね。こういう性格の人って珍しいです。ボクもあこがれます。

短所としては、性急で白黒つけたがりますので、基本的にどんくさくてはっきりしないのが嫌いです。あまり人を頼らないで自分で判断できますから、悪く言えば〝短気〟と言えるでしょう。

上から目線の人を嫌いますし、適切な指示を受けたとしても、突っぱねてしまうことから、可愛げがない(生意気)と思われがちです。

しかし、失敗すれば、すぐに反省しその失敗を次に活かし立て直すことができます。誰の手も借りず、自から律することができるので、立ち直りが早いのもドライバー型タイプの特性と言えるでしょう。

物語を面白くするには、能力が優れてはいるけど、自信がないシチュエーションを作劇してみてください。

具体的には、舞台設定でリミットトラウマの回想エピソードうまく盛り込んでみましょう。おそらく、物語の要である個別課題のミッションとなるでしょう。

関連記事:リミットを与える

最後に、ドライバー型タイプは、物語上、どんなタイプでもなれることをお伝えしておきます。

もし、あなたにドライバーがイメージしずらいとしても、あなたの中に「誰かの役に立ちたい!」という気持ちがあるなら、その時点でドライバー型を描ける素養がある証拠です。

例えば、
あなたがエミアブル型タイプだったとしましょう。エミアブルは温厚ですし穏やかですね。でも本当にそれだけか?と言えば実はそうじゃない思います。

あなたの内面に、いざ危機や脅威に見舞われた時、そう。例えばですね、災害が起こった時、見ず知らずの人が「助けてー!」とあなたに向かって叫んでいたとします。

さぁ、あなたはどうしますか?

ドライバー型タイプのような性格でなかったにしても、放置できないと思います。何か手を打とうと考えるはずですし、行動せざる得なくなると思うのです。

それは、誰にも中にもある〝良心〟です。その良心が勇気を奮い立たせてくれるのだとボクは考えています。

また、仮にあなたがアナリティカル型性格だったとしても同じく、頭をフル回転させて、人助けをしたい気持ちはどこかにあるかと思います。

行動型のエクスプレッシブ型なら、言うまでもなく、体を張って人助けに燃やすでしょう。

それは、あなたの中に、理想や夢を求めるヒーローの精神があるからです。

どんなに、能力がなくても、みすぼらしくても、あなたが大切なものを守ろうとする〝良心〟を描ければいいんです。些細な事件に巻き込まれても、当事者になったつもりでリアルに想像してみてください。

そのシーンを思い浮かべて

~でありたい自分
~が理想とする姿

その気持ちをシーンやシチュエーションのアイデアにお役立てください。

先に挙げたドライバー型性格は、勇猛果敢でちょっと人間離れしてて、イメージすることが難しく思ったかもしれませんが、このヒーロー精神があれば、どのタイプでもドライバー型タイプは描けると思います。

以上、ドライバー型のキャラクターの作り方でした。

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