物語のアイデアは〝センス〟より〝切り口〟が大切
いつも創作お疲れ様です。
今回は、アイデアの出し方についてご紹介しようと思います。
創作あるあるなんですけど「このアイデアいいなー」と思っても、実際、書きはじめると意外につまらなくて続かなかったり、違うアイデアに目移りしてしまい企画が頓挫(途中下車)してしまったり。
そうそう。なかなか「これだ!」「いける!」っていう発見がないと、小説や漫画の物語アイデアを出すのって、とても難しく感じますよね。
ボクもよくあります。
バンバン出てくるっていうのはそうそう滅多に浮かんでくるものはないと思います。
でもですね。あなたが出すアイデア自体、「しょぼいなー」とか「センスないなー」と感じたりしてしまうのは、ちょっと別の話だと思いますね。
というのは、〝創作が続けられないのは、物語のアイデアにセンスがないから〟ではないと、ボクははっきりと申し上げたいのです。
名無しさん
え?センスいらないんですか?
はい。センスがいるとかセンスがいらないとか、そういう話ではなく、物語のアイデアというのは、元々は〝種〟から派生したものなんです。
名無しくん
種ですか?
はい。アイデアの種がないと物語が浮かばないし、創作バリュー(ジェット噴射みたいな)が弱いので、描き続けられないだけなんです。
名無しさん
要は、起爆剤みたいなものですか?
起爆剤といえば、起爆剤ですね。あなたにとっての刺激物になるような、具体的なWHAT(何?)と言えます。
名無しくん
その刺激物とか起爆剤とか物語の種とやらを教えてください。
はい。先程、「物語アイデアにセンスがいらないか?」とボクに聞きましが、つまり、センスがないから物語が面白くならないし、描きづらいということですよね?
名無しさん
はい。
物語ってね。実は加工次第で面白くなるんですよ。
一番の問題はあなたが選択した〝材料〟が本物かどうかになると思います。
物語を料理に例えると、余った具材で何か料理できないか、と言えば、それは味付けに工夫をしたり、調理方法次第では、立派なオリジナルメニューになるものです。
名無しくん
料理とストーリー作りと同じにしちゃだめっすよwww
いえ。物語も、情報(キーワード)の加工によっては、面白く味付けできるのと、同じ理屈だとボクは考えています。
例えば、
手元にある具材が、きゅうりだったとします。(いつも唐突ですみません)
昔のボクでしたらマヨネーズをつけてボリボリ食べるだけだったんですが、それだと味気ないですよね。
もっと、このきゅうりを使って美味しく食べられないでしょうか?
きゅうりだけで料理となれば、おかずとか、おつまみでしょうね。ですから、いかに調味料で味付けするかがポイントです。あなたオリジナルで!
まず、包丁できゅうりを食べやすいサイズにカットした後、密閉袋に、ごま油とお酢と醤油を混ぜ入れて、冷蔵庫に1時間ほど保存したら出来上がります。仕上げは、入ごまや唐辛子などの香辛料を少々かけて食べてもよいでしょう。
おそらく美味しいと思います。
もっと美味しくするためには、先程の調味料+梅+鰹節を混ぜてみましょう。味が引き立って、食べたらやみつきになるかもしれません。
もともと鰹節は、きゅうりと相性もいいですし、梅が合わさると酸味が加わります。
このように、きゅうり自体、何か特別に感じられる材料ではないですが、限られた材料だけで料理に活かすことなんです。
この場合、きゅうりが物語の題材になります。
物語づくりも同じで、元々あなたが気になる題材があれば、それにいろいろなキーワードを調合していくだけだと思います。
調合された料理、あるいは加工された情報の奥にある、あなたオリジナルの世界観のことです。
あなたに起爆剤が現れるかどうかは、それをやるかやらないかの話だと思いますよ。やれば、美味しい物語が調理できまし、やらなきゃ美味しい物語は作れないということになります。
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名無しくん
それって、やっぱりセンスが入ることではないですか。
いえ、あなたが持っている従来の感性や価値観を一旦はぶち壊して、実験思考を施すための勇気と覚悟がいると思います。それとセンスは別なんですよ。
名無しさん
思考実験?
つまり、物事のどこに着眼を置いて、魅力を感じているか?それをあなた自身で発見することです。
名無しくん
んー、難しいですね・・・
はい。センスあるとかないとかは、ひとまず横に置いておきましょうw
誰もが、はじめからセンスがあるものではなく、センスって磨くものじゃないですか。
名無しくん
いや、やっぱり自分には無理っぽいですw
例えば、
あなたが小さいころ、補助輪をはずした自転車に乗る時、何度も転んだはずです。転んでも何回も繰り返し練習していくうちに、気がついたら乗れるようになりましたよね。
数をこなすうちに、磨かれるものですから、自転車に乗る(題材を元に調理をする)ことをせずに、「私はセンスがないから創作ができない」とあきらめないでほしいのです。
そもそもアイデアの種とは、あなたが〝ある物事に魅力を感じる感性〟から湧き上がるものです。そして、それが物語として成り立つかどうかは、あなたの着眼点(きっかけ)なんです。
平たく言えば、
材料から物語にシフトさせていくには〝切り口〟が必要です。
何が描きたいか?なぜ描くのか?が一番重要であり、すらすら描ける作家さんというのは、センスの良いアイデアが浮かぶからではなくて、やっぱり無性に描きたいからなんですよ。
その無性に描きたくなる原動力を探し出すことがコツになります。
名無しさん
その描きたい気持ちって、〝描くモチーフ〟が存在していること?
はい。おっしゃるとおりです。つまり、あなたが「アイデアが浮かばない」と言うのは、モチーフを見出せていない可能性が高いと思います。ですから、ご自分をよく観察してみたり、自分探しをおすすめします。
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もう少し具体的にいきましょうか。
ボクの場合、
学生の頃にですね。エアーライフル(エアーガン)をこよなく愛するミリタリーマニアの不思議な友達がいました。
「銀河英雄伝説めっちゃ面白いよ!超おすすめ!観たらいいよ!」(Die Neue Theseではなく旧作の方です)と彼から誘われたことがあって、はじめは、とっつきにくくて小難しい作品だなと思って観てみました。
だけど、それがですね。見た後から、ジワジワとまた観たくなってきて、再度レンタルして観ていたら、めちゃめちゃハマったんですよw(銀英伝知らない人はすみません)
ボク自身「うおおお!何これ!すげー面白いじゃん!」って刺激を受けたんです。
何ていうのかな?今までの自分の価値観とか感性が変わった瞬間というか、キャラクターどうこうではなく(絵とかは好みがあるから、まぁそれは別として)率直に申し上げて物語の内容に魅力を感じたんです。
少なくとも、ボクにとって、そんな過去を振り返ってみると、今の自然体の自分(アイデンティティ)を見出してきていると思います。
とまぁ、それをきっかけに、横山光輝の『三国志』の漫画をはじめ、戦国時代を舞台とした小山ゆうの『あずみ』、明治維新の『お〜い!竜馬』とかも読みながら、内面の進化に連なっていったと思います。
その時代にどんな歴史があり、どんな背後関係があったのか自然に興味が湧いてきて、NHK大河ドラマも観て楽しめるようになりましたし、本来、学生時代にまじめに勉強していればよかったんですけどねw
学校の授業も、漫画とかアニメで教育すりゃいいのに!って本気で思っちゃいました。
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ボクは、このきっかけに出会う前までは、ドラゴンボールのような、バトルシーンとかアクションシーンとか、戦いが好きだったワケですけど、あれからちょっと感性が進化したんです。
戦争・バトルものの何が面白いか?って言いますと、やっぱり心理戦というか、全体を見渡す先見性や、戦術よりも〝戦略〟で勝敗が決まってくるなぁ、と何となく理解できたんですよね。
「実はそれって深くてすごく面白いじゃん!」ってボクは感じてしまったのですよ。
名無しさん
なるほど、その感性が、あなたの刺激物というわけですね
はい。すでにあなたの中にも埋まっているわけです。
現在、ボクはヒストリカルファンタジー小説も描きますが、刺激された当時、戦国ものを物語にしようなんて思ったことはないんですよ。振り返ってみると、「ああ、やっぱりボクってそうだなー」って思うんです。
で。
ここからはアイデア出しの、IF思考という手段ですが、仮にあなたがボクのように「何かピン!とくる」ものがって、〝戦国もの〟を物語として描くとしたらいかがでしょうか?
名無しさん
えええええ?
もしも、あなたがボクが感じた感覚を得られたとした場合です。
その感性や価値観がある土台の上に、例えば〝戦国〟というキーワード活かして物語にしたいなら、まず、やるべきことは、きちんとアイデア整理をしないといけないないんです。
名無しくん
どうやって整理するんですか?
はい。まず戦国という題材では、歴史ものジャンルに分類されます。
ここで、注意しないといけないのは、戦国をテーマとは呼びません。あなたが戦国についてどう思うかがテーマになります。
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そのテーマは、読者に伝わらなくてもいいんです。自分の作品で伝えたいことは、わかる人にはわかる!っていうスタンス、メタファー(隠喩)で構わないのです。
伝えようと思った瞬間、息苦しくなるので、創作する内に萎えてしまいますから、あなたの作品を読んだ読者が「おそらく、これがテーマなんだろうなぁ」と感じさせられれば十分なのです。
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それよりも問題は、どう面白く味付け(加工する)かが大切です。
作家が持つ独特の視点で物事を見ているので、楽しみながら書くというより、すでに書かずにはいられないんですよ。
例えば、
武田信玄と上杉謙信の川中島の戦いが有名です。
武田信玄と上杉謙信はビックネームですから、おそらく知らない人はあまりいないかと思います。
両者が対決して、どちらが勝ったのかは歴史解釈はいろいろありますし、はっきり、わかりません。しかし、ボクは上杉謙信が勝ったと思っている派です。
この武田信玄のライバルだった上杉謙信って、実は女武将だったという説があるのですが、ご存知でしょうか?
え?上杉謙信って女だったの?って聞くと、ちょっと驚きませんかね?
真相は正しくても間違っていてもどちらでもいいんです。
ま、ちょっとググればわかることなんですけど、大切なのは、あなたが「上杉謙信は女だ!インパクト強いしその方が面白いじゃん!」ってあなたが作家として納得しているかなんですよ。
これってセンスとかあまり関係していないと思わないですか?
つまり、アイデアを順番に整理してみると・・・
①ジャンル⇒歴史
②題材⇒戦国
③テーマ⇒上杉謙信の女将軍説
いかがでしょうか?
以上が、物語アイデアの〝切り口〟ってことになるんですよ。
あなたが「いける!」「これだ!」って思えば、これで材料(具材)が揃いました。このコア(核心部分)が創作バリューとなります。あとは物語の味付け作業です。どんな物語にするのかは、調理次第ですし、はじめてセンスを磨く段階に入るんですよ。
アイデア出し自体にセンスが入るという発想ではなく、興味をもった分野から、〝切り口〟を探してみてください。できるだけあなたが興味・関心のあることです。上杉謙信でも何でも構いません。
そのWHAT(何?)が、何故それを描くのか?に繋がります。
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物語のアイデアは外にあるのではなく、自分の内の中にあると思います。
内の中から見つけるとは、自分の興味分野をどんどん深堀りしていくんです。きっと面白いモチーフが見つかると思います。
ピン!とくるものを探し当てて見てください。
関連記事:ジャンルを決めたらコアを掘り当てる
何度でも言いましょう。自分が「面白い!」と思えるものと出会って、物語となる〝切り口〟を見つけることが大切です。
ジャンルは歴史にこだわらなくても構いません。自分の育ったルーツや、尊敬する先生や先輩などの出会いや別れなど、あなたのエピソードから〝切り口〟を探すことができれば、それは物語の〝刺激物〟となり、〝種〟となり、強いては創作における〝起爆剤〟となります。
その起爆剤があれば、ファンタジーやバトルものやスポ根でも応用できるようになると思います。
以上のことから「センスがない!」とは、別の話だと申し上げました。
名無しさん
なるほど。センスとは〝物語の種〟をどう味付けしたら面白くなるかを磨くことなんですね!
はい。おっしゃるとおりです。あくまでアイデア出しとは、頭を使うのではなく、非論理的で構わないのです。単純にあなたの感性を信じるであり、先に挙げた、梅干しと鰹節を加えると美味しくなりそうだなーという「ピン!とくる」直感を鍛えることに尽きると思います。
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その直感力を鍛えるには、これまでの自分の価値観をある意味、わざとブチ壊したり、自分を捨てる勇気と覚悟も必要になるかもしれませんし、〝切り口〟を見つけ出すには、変化を恐れず果敢に挑戦し続ける意識を持つことが大切だと思います。
以前ご紹介したエレファントシンドロームを脱却して、あなたの意識を拡張させ、視野を広げてみることが望ましいでしょう。
アイデアの出し方がうまくいけば、プロットのフレームを作ります。すなわちセンスを磨きやすい作り方であり、このブログで一番ボクが伝えたい、創作前の3つの決め事(①誰?②何故?③どのように?)です。
以上、物語のアイデア出しで悩んでいましたら、参考になれば幸いです。
あなたの創作を応援しています。
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