ストーリー作品の分析シリーズ②
『ドラゴンボールZ』(ナメック星・フリーザ編)鳥山明
何故、人気が出たのか?ボクなりに考察しましたので、お付き合いしていただけたら嬉しいです。
前編では『サイヤ人編』べジータがラスボス
後編では『ナメック星・フリーザ編』フリーザがラスボス
というのがざっくりした構成になっています。
前編の戦闘では、突如、宇宙から襲来してきたベジータたちによって神様(ピッコロ)が殺されたので、シェンロン(龍)が消滅してしまいます。
ドラゴンボールを失ったため、神様(ピッコロ)の故郷のナメック星に行って、仲間たちや地球のドラゴンボールを復活させるまでのお話が後編のフリーザー編なります。
ここで注目すべき点は、
主人公がギリで倒したべジータ以上の強敵異星人が存在しているという舞台設定です。
ナメック星でも、ドラゴンボールの争奪戦を繰り広げるわけですが、戦闘力(ランク)と、気を消す&回復(リミット)の要素がありました。
この展開力とゲーム性は、目を見張るものがありました。
つまり、ベジータはフリーザ帝国軍の氷山の一角だった、ということで戦闘スーツデザインも統一されていて、もし、こいつらが地球を狙わられたらそれこそ最後。
序盤は、御飯とクリリンとブルマの先遣隊が、地球からナメック星へ移動するシーンになります。
ナメック星に到着しても簡単に目的を果たせません。何故なら、邪悪な宇宙帝王フリーザ(ラスボス)が到着していたからです。
強敵がウヨウヨしている中でドラゴンレーダーというアイテムで、目的を果たさないといけません。
初っぱな状況が最悪なので「どうなっちゃうの?」的なワクワク感があり、鬼ごっこや隠れん坊要素をうまく活かしています。
次に、ランク制とリミット制についてです。
これは以前、主人公側、ラスボス側に、リミット(制限や限界)を与えることで作品を盛り立てることができることをお伝えしました。
ゲーム要素の一つとして相手の戦闘力を計測する「スカウター」があります。
これは戦闘力が分かるだけではなく位置と座標も教えてくれるレーダーの役割もあります。
つまり、帝王フリーザのスカウターに探知されたら終わり(ゲームオーバー)です。
ところが、ゴハンとクリリンは戦闘力は低くても気を消すことができるし、しかも敵が近づいたらすぐに気づけます。
この能力で、強敵から目をくらますことができたり、隠れながらドラゴンボールを探すことができ、対立構造の劣勢のバランスをとりつつ、物語を盛り上げています。
しかし、ゴハンとクリリンにもやむなく限界がきます。
気を感じたりコントロールできるようになったべジータが現れました。条件はゴハントクリリンと同じです。
べジータもドラゴンボールで夢を叶えたい野望をもっていました。
いわゆる、三つ巴(みつどもえ)構成で話が展開することで、目が離せなくなります。
主人公側でも、ラスボス側でもない、もう一つの主人公がストーリーを荒らして盛り上げてくれます。
御空の敵であるはずのべジータが、次々にフリーザ軍をぶったおしてくれる痛快なシーンも、この作品の見所ですね。
しかし、やがてベジータにも限界が来ます。
ドドリアやザーボンという護衛幹部が倒されたことで、フリーザは次の手を打ちました。
ギニュー特戦隊を招集し、一気にかたをつけようとするのです。
そこで、ベジータはゴハンたちと同盟を結び、壮絶なバトルを繰り広げます。
最終的に、宇宙船内の高重力下で猛特訓を積んだ主人公、悟空が現れて窮地を救出します。
その後も、御空がギニューに身体をのっとられたり、とんでもないハプニングやピンチに見舞われます。
その後も、山あり谷ありでハラハラドキドキするような展開があります。
はい。ここで、ちょっと思い出してみてください。
ゴールを中心として、うまく行く時と、うまくいかない時の起伏がありませんか?
そう。主人公たちは、フリーザの不老不死を絶対に阻止しないといけません。ドラゴンボールでシェンロンを蘇らせるという中心軌道(主軸)はぶれずに、あとは、ひたすら戦闘を繰り広げて、強さや次元が上がっていることです。
スーパーサイヤジンという大きな謎引きと、序盤で助けたナメック星人の少年デンデの回復能力。フリーザの5段階の変身レベルアップと伏線収集もかなり秀逸なものでした。
特にこのフリーザ編では、シンプルでわかりやすく、尚且つ様々な娯楽要素が複雑に絡みあっているがお見事です。
これこそ、人気を博すことのできた大きなポイントだっだとボクは思います。
このフリーザ編の分析を通して、あなたのストーリー構成に何かのヒントとなれば嬉しいです。
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