セットアップパートの作り方(その①)
こんにちは。いつも創作お疲れ様です。
以前、中盤のプランニングパートの作り方や、トライアル&エラーパートの作り方を解説させていただきましたが、
今回は、物語全体の流れの中の序盤、セットアップパートの作り方についてご紹介したいと思います。
セットアップパートとは一言で言いますと舞台設定を紹介するパートのことです。
舞台設定は、とどのつまりWHAT(何?)を指しているわけで、このWHAT(何?)は、このブログの主題である創作前の3つの決め事の(①誰?②何故?③どのように?)中にちゃっかり隠れています。
どこだと思いますか?
実は、①誰?と②何故?の狭間に隠れており、主人公の目的に該当しています。
①主人公(WHO)②目的(WHAT)+理由(WHY)
主人公が目的完遂に対する葛藤と対立(リミット)、あるいは、その世界の脅威と危機(リミット)などに該当します。
もっと広い意味で言えば、このWHAT(何?)とは、あなた独自の世界観を表しており、あなたの世界で何が起きようとしているのか?という状況解説のことを指します。
関連記事:舞台設定は、あなたの内面を象徴する世界観
セットアップパートの作り方のコツはですね、細かいディティールではなくて、読者を引き込ませるための材料や要素がバランス良く噛み合っているかにかかっています。
読者からの視点から見れば、それ(あなたの物語)って「何なの?」です。
外人さんが腕を広げ、手の平を見せて理由を知りたがっている表情を思い浮かべてください。
「WHAT?」(ふぉあっつ!?)
「それって何?」(いっつ、ふぉわぁーい!?)
簡単に言えばですね、
「それ(あなたの物語)って、要するにどんな話になりそうなの?」とか「主人公が何をしようとしているの?」と問われて、うまく説明できているパートか否かにかかることです。
以前、ご紹介しました、ストーリーフックであり、物語の引っかけ所になります。
関連記事:ストーリー作品としてのフック
もし、このWHAT(何?)の質が低ければ、いくら華々しいクライマックスシーンを魅せたくても、読者を物語の結末まで引っ張ることが難しくなると思います。
平たく言えば、目的がはっきりしないと、お客さんは興味を持ってくれない、ということになります。
つまり、
①そのWHAT(何?)が、第一にまずわかりやすいか?
②シンプルに状況解説ができているか?
がポイントだと言えます。
物語の入口の作り方でもご紹介したように、できるだけ簡潔に興味や関心もたせることができるかがセットアップパートの作り方のコツになります。
細かい設定を描くことが好きなあなたなら、はじめの序盤で情報をてんこ盛りにしたい気持ちはわかりますが、必要な部分だけをトリミングしてうまく映し出すといった編集的なセンスが要するかもしれません。
せっかく読者が、はじめてあなたの作品を読もうとしてのに、入口のハードルが高いと(あなたの世界を理解するのに時間がかかりそうな感じ)「あーもういい!」っといって離脱者が続出するというわけです。
関連記事:入口の作り方
とにかく、めんどくさそうに感じさせないことです。
シビアなことを言えば、「めんどくさそうな話だな」とお客さんが感じれば、あなたの物語にはまず入って来ないと思ってください。
1988年、米認知科学者であるドナルド・ノーマン氏は、初めて〝ユーザビリティ〟という概念を打ち出しました。
「めんどくさそうな話」は、ゲームコントローラーそのものが複雑すぎるのと同じで、つまり、物語の入口(ユーザビリティ)が低ければ、人は興味や関心が薄れてしまうことが科学的に証明されていることを覚えておきましょう。
「取扱説明書を読めばわかるよ」的な、状況説明であれば、読者は入口で戸惑います。
システム開発に対する研究から生まれたユーザー・センタード・デザイン(UCD)も、一言で説明しますと、作り手が、どのようなデザインするかというよりも、読み手(使い手)がどのように解釈するか?を踏まえて、どの場面シーンからスタートすればよいかを決めることです。
UCDの概念は、プロダクトデザイン、サービスのデザインや、物語創作のストーリーデザインにも幅広く活用されています。
ヒット作のほとんどは、序盤の段階で誰が何をしようとしているのかが明確なんです。そして、どうなるのだろう?という読者への問い(セントラルクエスチョン)や、期待値を上げるための見せ方やアングルが秀逸です。
更に言いますと、あなたが選んだ題材そのものが、読者との親和性や拡張性が高ければ好ましいでしょうし、物語の入口のハードルを下げることができて、最後まで読んでくれる確率は高まると思います。
もう少し具体的にお話します。
セットアップパートの作り方とは、引き込ませる材料が具体的であることがポイントです。
つまり、 WHAT(何を?)という材料の中に
①人・物→葛藤と対立
②事→脅威と危機
・・・というインタラクティブな要素を含み、主人公が願う理想や思い描く未来を手に入れるための個別課題の克服と、全体課題を解決のためのプロセスを想起させることがまず一つ。
そして、理想を阻んでいる障害や壁(WHAT)をどう乗り越えるか?というセントラルクエスチョンを想起させることがセットアップパートの基本的な作り方になります。
関連記事:セントラルクエスチョンの考え方
セントラルクエスチョンとは、読者に指し示すための〝問い〟であり、主人公(主役)の使命、が具体的であるかどうか?がセットアップパートのポイントなんです。
主役の使命と世界観を短めに伝える構成がヒントになります。
はい。小説も漫画ストーリーも最低1話~2話で、できるだけ短くです。
ボクは、はっきり申し上げますが、この2話くらいまでが、勝負だと言っても言い過ぎではありません。
関連記事:ストーリーの動力源は〝ツカミ〟
できる限り合理的に、効率的に短縮し、読者に届けやすいシチュエーションを準備することです。
といいますのは、ボク自身このパートの作り方でどれだけ失敗してきたかわからないからです。
というか、その時の意気込みだったり、結末がどうなることさえ考えずに見切り発進することで、物語がグチャグチャになり、どこから手をつけていいのか全くわからない状態だったからです。
あなたには、昔のボクのような苦しい目にあってほしくないので、このセットアップパートのみならず、ボクが提唱する創作前の3つの決め事(スリーベース理論)をものにして取り組んでくださることを望んでおります。
関連記事:創作前の3つの決め事
そして、最後ですが、セットアップパートで重要なのが〝ラスボス〟というキーワードです。
このラスボスっていう言葉。。。
これはファンタジーで登場する魔王とか、バトル系で戦闘力の高いラスボスのことを言っているのではなくて、恋愛ものであれば、告白場面とか、キス場面といった主人公におけるラストミッションの概念だと思ってくださいね。
わかりやすく〝ラスボス〟という言葉に変換しているわけです。(わかりにくいか・・・)
ともかく、泣いても笑ってもセットアップパートで欠かせないのが、〝ラスボスの存在〟だと覚えていただきたいのです。
関連記事:ラスボスとは何か?
ラスボスは最終章に考えるのではなく、冒頭にそのシチュエーションを置かないと、何(WHAT?)の話かわからなくなるんですよ。
続きの記事は、近々ご紹介したいと思いますので、楽しみに待っててくださいね。
あなたの創作を応援しています。
関連記事:セットアップパートの作り方(その②)
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