舞台設定
舞台って、ファンタジー、宇宙、中世ヨーロッパ、戦国時代、学園、世紀末、いろいろありますよね。
あなたがもしヨーロッパが好きならおそらく、そこそこ詳しいと思いますし、ファンタジーなら、エルフやゴブリンの習性なんかもよくご存じでしょう。
しかし、読者がその世界のルールや物語についてこれないと、最後まで読んでくれるかどうかはわかりませんよね。
でも、ご安心ください。あなたの作品を最後まで読みやすくするための舞台設定の方法を、ざっくりご紹介します。
まずはじめに、現実にあるもの以外はすべて非日常(空想)と定義します。
そこで、まず、あなたがこれから描こうとするストーリーが、
①現実世界
②非日常(空想)
・・・を確定させることが、舞台設定の一番目のタスクになります。
それを決めた上で、ボクの見解を先に申し上げます。
現実と空想を比べたら、読者がついてきやすいものは非日常(空想)より、現実世界の方が共感を得られやすいということです。
江戸時代でいうなら『世話もの』です。
歌舞伎や人形劇(浄瑠璃)が盛んだった一昔前(江戸時代)に、12世紀後半の武家社会に起こった「曽我物語」や「源義経」など、特にヒーロー(英雄)物語を扱うのが定番パターンでした。
そのような時代物に、反旗を翻した「世話物」(せわもの)は、当時の現代劇と言えます。
登場キャラクターが、ヒーローとか聖女でもなく、町のどこにでもいる大工や魚屋、侠客や遊女、長屋の衆など様々な人々です。
江戸に起こる身の上話が、当時「世話もの」ブームが巻き起こりました。
視聴者と、身近に感じられる分、共感が得られやすかったのかもしれませんね。
だからといって、現実世界がよくて、空想世界が悪いという話ではなく、日常もの(現実世界)が物語に読者がついてきやすくなるということです。
舞台設定は制限をあたえること
私たちが住む地球は、3次元世界です。必ずルールや決まり事(道理)があります。
学校や職場に行くのにも歩いていきますし、バスや電車に乗ると運賃がかかります。
人災や天災によって生命が脅かされているのも、一つの制限ですし、悪いことをすれば犯罪として裁かれるのも道理ですし、極端な話、〝人は必ず死ぬ〟ということも宇宙的なルールといえるでしょう。
山登りをしている途中で天候が悪くなれば、危険なので下山しないといけませんし、海では水深100メートル以上潜ると人は水圧に耐えられませんし、宇宙は真空なので、酸素がなくなると死んでしまいます。
そのような物理法則の知識を応用すれば、ストーリーが作りやすくなります。
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非日常舞台(ファンタジー)でも、エルフと人間の力のレベル差は明かですし、ドラゴンが砲火する高熱のファイヤーは剣では太刀打ちできません。何事にも制限やルールが存在しています。
あなたが描く世界舞台にも、制限やリミットを意識すると、面白い物語が考えやすくなります。
非日常舞台でも入りやすくする方法
読者にとって、入口はできるだけやさしく、ルールがわかりやすい方がいいですよね?
例えば、あなたが空想世界の生き物、ドラゴンが人間を支配している魔法世界を描きます。
初っぱなからドラゴンが人間を支配する舞台を紹介すると、読者は話に溶け込みづらいと思います。
魔法世界でドラゴンが人間を支配している世界は非日常なので、ちょっと解説が必要になります。
ところが、日常の学園ものをオープニングに持ってきます。学園であれば、生徒や教師のいる学校システムを説明しなくても日常に存在するものなので、多少は取っつきやすくなると思いませんか。
【非日常】むかーしむかし、人類はドラゴンを支配していたけれど、〜というドラゴンが反乱を起こして、逆転してしまった。
このようなエピソードが、オープニングだと、読者は話に溶け込みづらいかもしれません。
【日常+非日常】ある高校生が突然、教室ごと異世界にワープして、ドラゴンが人間を支配する世界でサバイバルが始まる。
・・・といった感じであれば、現実世界が入口なので、少しは溶け込みやすいし効果的だと思いません?
あるいは、少しありがちかもしれませんが、
【非日常+日常(強)】ドラゴンが人間を支配する魔法世界に魔法学校の階層組織(ヒエラルキー)を設ける。
というのもよいかと思います。
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つまり、普段から日常の社会制度に馴染んでいる読者にとれば、いきなり魔法の世界の物語に入っていくには、心に距離ができるかもしれません。
そこで、ボクが思うに非日常なんだけど、日常を取り入れて緩和させるとよいと思います。
例えば、
ロボット戦争もので、各国のロボットがオリンピック競技で競わせる。
このように、ロボット事態は非現実的ですが、オリンピックなどの現実の社会制度と取り入れた舞台設定の方が、入りやすくなると思います。
まとめ
読者がついてきやすい舞台設定をするコツとしては、非日常世界(ファンタジー)でも、現実世界の科学的な要素などを、少しでも入れるとよいでしょう。
とはいうものの、ライトノベルやゲームでも、現実と空想を行き来する異世界物語が溢れているので、読者もそのテイストは、慣れちゃっているかもしれませんし、必ずしも空想世界は共感は得られない、と言いきることはできません。
ただ、異世界にもちょっとした日常を取り入れることで、なるほど感を与え安心感があるかもしれません。
現実に存在する身近な要素があればあるほど、ストーリーに深みや厚みを増すことは確かで、客層も広がっていくと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの創作を応援しています。
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