舞台設定の3つのポイント

作り手として舞台設定をまとめていく上で、以下の3つがポイントになると思います。
①この世界で何が起こっているのか(起きようとしているのか)
②この世界で誰がどのように解決していくのか
③解決するためにどのようなハンデやリミットがあるのか
↑オープニング(序盤)で、読者にわかりやすく教えておくことです。そして、主人公による成功のための計画(プランニングパート)・試行錯誤(トライアルアンドエラー)・ラスボス(クライマックス)という3つの構成の流れについてご紹介しますね。
・・・と、その前に新作を企画する際に、舞台設定(背景)をいかに作り込むか?とか、舞台よりもキャラクター設定が先か後か?など議論されているのをよく見かけます。
①舞台設定から決めてキャラは後で考える
②キャラを先に決めてから舞台を考える
さぁ。あなたは、どちらでしょうか?
クライマックスから考えるか?オープニングから作るか?、卵が先か鶏が先の似た質問ですが、ボクの見解は、あなたが描きやすい方でよい と思います。
寄り道コラム:舞台設定

でもですね・・・
実は、優れた舞台設定が、作品の評価が上がったり読者が魅力を感じてくれるとは限りません。
舞台設定を考える上で、ぜひヒントにしていただきたいのは、パーソナル(個)とソーシャル(全体)という二つの要素を意識して考えてみることがポイントです。
あなたが着想した設定が
個に関わってくる設定なのか、全体だけの設定なのか、これらを振り分けるのがコツです。
パーソナル(個)の設定から考える場合
主人公が置かれている位置や立場などです。これが明確になれば、この世界で何が起こっていて、何を解決しようとしているのか読者に伝わるはずです。
例えば、
学園ものやスポーツものであれば上下関係がありますしファンタジーものであれば、階級やランク優劣などの位置づけが必要ですよね。
いずれも主人公の置かれた立場を設定することで、その世界で暮らす住人設定までも考えやすくなると思います。
ソーシャル(全体)の設定から考える場合
ルール(規則)やリミット(制限)やハンディーキャップなどです。これが明確であれば、この世界で何が起きようとしているのか?どのようにすれば、こうなるという脅威と危機が読者に伝わりやすくなります。
もっとも、全体と個の両方が影響しあっていれば、ベストだと思いますが、もう少しアイデアを練らないといけません。
個人的に思うのは、あなたがソーシャル(全体)の設定を先に考えているとするなら、ボクの憶測なんですけど、おそらく社会的な矛盾を強く感じており、その経験と知識を物語として形にしたいとお思いではないでしょうか?
その舞台で、正義を貫くキャラクターの葛藤や対立、脅威と危機を描きたいのではないでしょうか?
まぁ。外れているかもしれませんが、仮にそうだとしてですね。
ソーシャル(全体)から考えていく場合には、その舞台世界の摩擦(派閥.etc)や脅威・危機(滅亡.etc)があります。
いずれも、理想とはほど遠いディストピアかジェノサイドに行き着く設定であれば、読者にインパクトを与えられますよ。
その状況に対抗する主人公の能力・武器・思考パターン(価値観)を考えるとプロットが作りやすくなると思います。
小説を書くためのストーリー構成を考えるときにも、この「舞台の脅威」と「主人公の対抗軸」が明確だと、物語の芯がブレません。
キャラクターの価値観や、その考え方に至る理由(エピソード)も並行して考えることをおすすめします。
斬新、且つわかりやすいソーシャル(全体)の舞台設定があり、そこにキャラクターを配置することで、はじめて読者さんが感情移入させることができます。
パーソナル設定も、ソーシャル設定も、主人公がこれから何をしようとしているのか?を読者に対立の要因となる背景を示すことが舞台設定の作り方のポイントになります。
そのような3つのポイントをおさえた舞台設定を、状況説明する序盤の物語(オープニングから中盤まで)をセットアップパートと呼んでいます。
このセットアップパートが、セントラルクエスチョン(CQ)となり、読者の期待値を高くさせるフックの役割を果たします。
物語の核を作るうえでは、漫画のストーリーを考えるためのヒントとしても応用できますし、脚本家志望のための創作テクニックとしても重要なスキルになります。
もし、新しい物語を考える際には、戦略的に役立てていただけたら嬉しいです。
では、そこからどう物語を組み立てていくのか?構成の流れ!
ここで重要なのが、
「プランニングパート」
「トライアル・アンド・エラーパート」
「ラスボス(クライマックス)」という構成パートの使い分けなんです。
まずセットアップパートでは、前述の舞台設定3要素
①この世界で何が起こっているのか(起きようとしているのか)
②この世界で誰がどのように解決していくのか
③解決するためにどのようなハンデやリミットがあるのか
を読者にはっきり示すことで、物語の「セントラル・クエスチョン(CQ)」を立てていきます。
そして次にやってくるのがプランニングパート。
これはクライマックスに向けて、主人公が打開策を探し始める部分なんですが、ここで重要なのは「状況がすぐには好転しない」ということ。むしろ、追い詰められていく中で、糸口を探してもがく姿が描かれます。
でも、それでも何とか光を見つける。キーマン(伏線となる人物)や重要な情報にたどり着き、ようやく「希望のカケラ」を掴む。そんなタフなパートです。
とはいえ、希望のカケラを手にしたからといって、すべてが順調に進むわけじゃありませんよね。
ここで登場するのが、中盤のトライアル・アンド・エラーパートです。
寄り道コラム:トライアルアンドエラーパート

【解説】ストーリー中盤がグダグダになりがちな人、必見です!物語にスリルとリアリティを与える“トライアル・アンド・エラーパート”を徹底解説!初心者向けストーリー作りのコツから、ヒントまで、創作に役立つ視点が満載ですよ!キャラの試行錯誤こそが、読者を物語に引き込む最大の鍵かもしれません!気になったらCHECK!
これは、主人公が「考えるだけでは解決できない」と気づき、実際に行動を起こしていくフェーズなんですね。
「ダメ元でもやってみよう」「これでどうだ?」「…やっぱりダメか」「でも、確か○○は…それなら○○を試せば…!」といった試行錯誤の連続です。
この過程では、読者に「次はどうなるの?」「失敗するの?成功するの?」というドキドキを与えることができ、各章の結末をブラックボックス化する効果もあります。
つまり、「この物語、先が読めない!」という魅力を中盤で最大化するのが、このパートの役割なんです。
そして最後はクライマックス。
ここに登場するラスボスっていうのは、ただの強敵ではありません。
むしろ「主人公の信念や目的に真っ向から反対する存在」なんですよ。
だからこそ、ラスボスとの対決は、肉体的な戦いだけじゃなく「信念vs信念」のぶつかり合いになります。
主人公が「自分はこう生きたいんだ!」という思いを貫けるかどうか、その最終試練がクライマックスなんです。
つまり、良い舞台設定というのは、「主人公がもがく必然性」と「ラスボスと対峙する意義」を生み出す装置でもあるということです。
寄り道コラム:ラスボスとは何か?

物語の舞台設定からクライマックスに向かって、
・状況を読者に伝える(セットアップ)
・主人公の戦略・試行錯誤を描く(プランニング・トライアルアンドエラー)
・信念のぶつかり合いで決着をつける(ラスボス)
この3つの構造が舞台設定とキャラ設定にきちんと連動していると、物語がグッと読み応えのあるものになりますよ。
というわけで、
設定の「個」と「全体」、そして「構成の流れ」を意識して、あなたの世界を組み立ててみてくださいね。
ところで、さっきから、セットアップ、セットアップパート・・・言葉が乱射してますが、実はこのワードは、米脚本家シド・フィールドによって理論化されている、三幕構成の脚本兵法なんですよ。セットアップパートは、主人公とその周囲に関する必要な情報が紹介されて、主人公の目的・理由 (問題) も設定されるパートなのです。ぜひ、読み進めていただけたら幸いです。
あなたの創作を応援しています。