ストーリーの伏線
伏線とは終盤のどんでん返しで、つじつまが合うように、物語の節々にある場面(シーン)のことです。
「伏線を貼る」ってよく聞いたことがあるかと思いますが、具体的にどのように伏線を貼りますか?
名無しくん
んー、高度すぎて自分には無理っぽい・・・
名無しくん
いや、その辺はさっぱり・・・
作り手としての感覚は、読者にプチ暗示をかける感じなんです。
名無しくん
プチ暗示?
はい。読者は、
「あのシーンって、こういう意味だったのか!」
「あのシーンはここでつなげるためにあったのか!」
・・・など、納得していただく材料とも言えます。
その説得材料がないと整合性、つまり「なるほど!」「面白い!」ってならないんですよ。
伏線の用途としては、主人公がクライマックスの大ピンチによって、読者もろとも失望しています。その心理状態から一気に好転させて、どんでん返しを作劇するためです。
ここぞ!という落とし所。
名無しくん
いまいち、どうやってその伏線を物語に設置すればよいかわかりません
名無しさん
私にできればいいんでしょうけど、ややこしくて使えそうにありません
ですよね。まずは簡単な仕組みから解説しますね。
・・・と、その前に、あなたが物語をクライマックスまで描き進めてきた段階ではなく、できれば新企画(新作)のイメージしている段階の方が伏線は作りやすい、ということをあらかじめ申し上げておきます。
伏線のアイデアは、クライマックス中の大ピンチありきなんです。
つまり、終盤の大ピンチと本編中の伏線は紐付けられています。
ストーリーは、どこから手をつけるのかというと、クライマックス+結末+伏線を同時に考えるんですよ。
さて、もう少し具体的にいきましょうか。
例えば、ボクがたった今、適当に作ったファンタジー系バトル物語のあらすじです。笑
↓
王都が魔王を中心とするモンスター軍団に占領され、姫が捕まっています。更に、国外からも新たなモンスター軍団の大群が迫ってきています。そんな中、主人公は王都奪還するため姫を救うために奔走するのでした。
はい。物語は終盤に差し迫りクライマックス場面です。
主人公がラスボス魔王と向き合います。これまでに、気難しい仲間を手を組んだり、武器もそろえ、中ボスも倒し攻撃がはじまりました。
いよいよです!ところが!そんな時に限って、破局の大ピンチに襲われます。
具体的には
・ラスボスを倒すためだった聖剣が石にされる
・仲間が戦闘不能となる
・信頼していた仲間が逃げ出す
・姫が人質になる
・主人公のエナジーはゼロ
・逃げ場がない
・国外モンスター軍団が迫ってきてて時間が残り少ない
・今まで倒してきたモンスターや中ボスが蘇る。
など。
その艱難をどのように主人公が切り抜けるか?あるいは切り抜けさせるか?です。
最悪なエグすぎる状況の中、主人公の精神もズタボロになります。
「・・・うぐぅ、もう魔王に勝てないかもしれない」
「もし、ここで負けたら姫は・・・王都が・・・」
万事休す。読者も目が離せません。
さて、ここからどう挽回するかですよね?
例)姫が「待った!」の号令がかかります。その瞬間、ラスボスの魔王が、主人公にひざまつきます。
勝ちでも負けでも引き分けでもない展開。
全キャラクターが驚きます。
さすがに読者も「え?」「はい?何それ?」「どういうこと?」となりますよね。
理由が知りたくてしかないです。
実は、すべて夢でした!・・・では、まったく説得力ありません。(笑)←極端な例えですが、作者のご都合主義的な展開では「何じゃそりゃ」と怒らせてしまいます。
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はい。ここからが具体的な種明かしです。ストーリーの落としどころを作ります。
実は、王都内に繁殖した魔王を中心とするモンスター軍団は、姫のペットで、しかもお婿さんを選ぶためのプログラムだった・・・
・・・ということにします。
でも、読者は「お婿さん選びのために戦ってきたわけ?」と納得がいかないと思うんですよ。だって、何のために仲間たちと必死こいてバトルをしてきたのか酷いじゃないですか。バトルものがコメディータッチに変わってしまうのも許せません。
そんな受け取る側の読者の気持ちも考えて、主人公はモンスター軍団を倒すという目的自体は、変更する必要はありません。
お婿さん選抜というのも、種明かしの一つとしてもよい、という意味です。
ただ、王都を占領したモンスターは、善玉モンスターだったということにします。
密かに姫が小さい頃からモンスターを飼いならしていた・・・
・・・ということにしても良いでしょう。そして更なる展開ですが、、、
外から攻めてくる悪玉モンスター軍団を、主人公と善玉モンスターと協力し合って、王都を守り、敵を討ち果たす
このような、結果と結末(ストーリー構成)が固まったら、序盤、中盤パートの節々に伏線(言動や場面)を盛り込みましょう。
メモです!メモ!
伏線の材料を作るための具体的な方法ですが、まず作るタイミングについてです。
最終章で大ピンチが確定された後になります。
主人公がラスボスを
・どのように倒すか?
・何によって倒すか?
・別の倒し方があるか?
・・など、バトルの結末が明確になった時点で、全体的なストーリーパート(序盤、中盤、終盤)の中の場面シーンを注視してみてください。
以下の2点を意識すれば伏線材料を探し出しやすくなるはず。
①主人公が、うまくいかない時、どんでん返しのヒントを探す
②ラスボスがうまくいっている時、どんでん返しのヒントを探す
伏線の材料は、人の台詞だけでなく、物でもいいですし、事でも構いません。
この辺りは、まるでパズルを組む感覚ですが、つじつま合わせをする作業になります。
更に、伏線を探すポイントは、主人公の目的と反目的を重ね合わせながら、人・物・事に着目してください。
必ずどこかにあります!きっと見つかりますから!
それでも、探すことが難しいようでしたら、頭をやらかくするためのオズボーンの発想法で考えてみるとよいでしょう。
①他に使い道はないか(転用)
②他からアイデアが借りられないか(応用)
③変えてみたらどうか(変更)
④大きくしてみたらどうか(拡大)
⑤小さくしてみたらどうか(縮小)
⑥他のものでは代用できないか(代用)
⑦入れ替えてみたらどうか(置換)
⑧逆にしてみたらどうか(逆転)
⑨組み合わせてみたらどうか(結合)
もし、伏線のアイデアが複数、思い浮かんできましたら、読者が一番納得のいきそうな展開(無理なく腑に落ちる)アイデアを選んでみてください。
もしかしたら、
「あ!これがいい!」
「めっちゃいい!」
「これ、いける!」
その瞬間、あなたは〝いい作品になる!〟とピンとくるかもしれません。伏線で練られるストーリーは、作り手にも必ず火がつきます。
あなたの創作魂に火がついたら、必ずやっていただきたいことがあります。それが、物語の要約文(スリーベース)の明文化です。
そのスリーベースを土台としてプロットを膨らませられたら、あとはシナリオ制作による肉付け作業のスタートするだけです!
伏線のアイデアというのは、決して思いつきではなく、
手品でいうところの種明かし(心臓部)でロジック(論理)があります。
つまり、ストーリーの設計が良ければ、良い作品が生み出しやすく、逆にストーリー構造がいまいちだと描く気になれませんし、手応えは出にくいかと思います。
この伏線をちゃんと練られている物語はクオリティーが高いといえます。あなたが肉付けをはじめる前に、いかにこの伏線アイデアを絞り出せるかが要になると思います。
素敵な作品が完成できるようにお祈りしてます!
本日もお付き合いいただきありがとうございました。わかりづらかったら申し訳ございません。ストーリーの伏線!是非この機会にトライしてみてください。
あなたの創作を応援しています。
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