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読者から共感を得られない時

2019年11月28日

ストーリーづくりで、あなたが読者に読んでもらいたい場面、「そこそこ!」「ここだよここ!」とキャラクターが活躍したり、あなたが一押しする感動シーンがあると思います。

作家として、誰もが作品の見所を感じて欲しいですし、読者を喜ばして一人でも多くファンを増やしたいものです。

しかし、あなたの作品に共感してくれる実際の読者の数は、割合からすると、60%以下が目安だとお考えください。

ショックを受けなくて大丈夫です。

そもそも、読者がその場面(シーン)にたどりつけず、最後まで読んでくれていない、という、いわば離脱者も含んでいますから。

せっかく真心こめて書いたストーリーを最後まで読んでくれないなんて痛々しいです。

ちなみに何故、共感度が60%だといえるのか?

ある学界研究によると、人が言語で人に伝えるとき、相互の理解不足や価値観によってコミュケーションエラーが起きていると言われているんですよ。

対面では、表情や身振り手振りなどで、エモーショナル(感情的)な部分を、ニュアンス(印象)として受け取ることはできますが、正しく伝わっているかどうかは全体の60%だと言われています。

リアルに会ってお話をして、たとえ話した内容を文章化して渡してたとしても、あなたの真髄やか骨子は100%伝わるなんてことは稀なようです。

作品(文章や漫画)は会話ではなく、一方方向に伝えるツールですので、読者はそのツールにチャンネルを合わせてくれてますから、注視している分、確かに伝わりやすいでしょう。

ですが、現実的に見積もって60%以下だと思ってくださいね。

はい。前置きはさておき。

読者が、あなたの作品を最後まで読んでくれない原因は何だと思います?

共感できるように、あなたも頑張って物語を構築していたかと思いますが、何が足りないと思いますか?

おそらく、あなたが伝えたいテーマ自体に、そもそも魅力や刺激を感じていないか、オープニングの出だしの時点で失敗しているか、のどちらかになります。

まずは、テーマについて考えてみましょう。

小説も漫画も、基本的には、大衆を喜ばせるためのエンターテイメントで、文芸の類なんです。

文章作家は表現者です。もっと分かりやすく言えば、あなたは文学的な芸能人だとお考え下さい。

小説は童話で、漫画は風刺画がはじまりだと言われています。ですから、児童教育とも言えますしジャーナリズムとも言えます。

作品自体の中に、エンタメ以外に、情操教育的な主題テーマや、キャラによるジャーナリスト的発言させるといった要素があるとして、その割合は作家の価値観によってさまざまです。

エンタメ要素だけでは中身がないですし、主題(人物、組織、国家など)の愚かしさを暴きだし嘲弄する風刺的要素だけでも堅苦しいです。いわゆる〝つまらない〟というレベル。

どちらの要素も格上げしていく必要はありますが、何よりもこの2つの要素をバランス良く取り入れている作品は、ロングセラー化される確率は高く、大衆から受け入れられているようです。

あなたが描こうとしている主題テーマ(風刺的要素)を無理にエンタメにしようとしていたり、その逆も然りで、不協和音が鳴っていることに気がついていないかもしれません。

いえ、そもそも風刺やエンタメ要素とか普段意識してませんよね?

意識できたとしても、どうすればいいか、さっぱりわからないと思うんですよ。

ではどうするのか?

ボクの見解では、作品の全体の内、エンタメ(読者をワクワクさせたり笑わせたりする)要素と、風刺との割合は、8対2と考えます。

つまり、楽しませる8、伝えるを2、の配分でちょうどよい思います。

しかも、2というのは読者には、伝わっても伝わらなくてもいいというスタンスです。(これはまた、後で解説していきます)

次に、オープニングについて考えていきましょう。

先ほどは、主題テーマの不適合から共感が得られず離脱者がでてしまうことでしたが、それでもベターな状態にするには、オープニング(入口)の描き方次第で、通読率が上昇します。

関連記事:オープニングの作り方

それと、以前の記事でも挙げたフックについて触れたかと思いますが、

興味を引かせる演出が薄かったり、期待値をあげさせ方の工夫が弱かったり。

主人公が何をしようとしているのかわかりずらかったり、その世界で何が起きようとしているのかが不明確だったり、すなわちセントラルクエスチョン(CQ)の読者に対する問いがあいまいな場合です。

あなたのテーマや素材は優れているのですが、読者に魅力を感じさせるためのフックがないと、次のページをめくってもらえなくなり、主人公の見せ場まで引っ張っていけなくなります。

それを解決させるための、考え方のひとつとして・・・

同情です。つまり、主人公に対する哀れみです。

関連記事:涙の公式

オープニングの初っぱなから、主人公が

「彼女ゲッート!俺っていつだってナイスガイだぜ!ラン♪ラン♪ルー♪」などと絶好調なシーンだけ描写しても、読者は哀れんでくれません。(別の意味で哀れむかもしれませんが)哀れむどころか苛立ちを覚えてしまいます。

読者は、あなたの作品を読んで、快感を得たいのに不快を与えては失礼ですよね?

オープニングで同情させるとは、主人公に対して「かわいそうだ」と思わせる事情や場面を与えることです。

事情とは、なぜ?の決め方の中の具体的な〝背景〟です。

・コンプレックス
・トラウマ
・借金(お金がらみの悩み)
・彼女(友だち)がいない(人間関係)
・技術が足りない
・戦闘力が低い

いわゆる個別の悩みや課題が提示されていない。

このように、極力身近なもので、わかりやすい背景であればあるほど読者に共感させやすいです。

★場面とは、

主人公の悩みとは裏腹に、逆説的な描写をして演出させます。これによって、読者に同情を誘発させることができます。

例えば、
彼女のいなくて悩む主人公は、女にもてたいという多くの男性に共通している悩みですし、共感を得やすいです。

そして同情させるための場面ですが、


ある日、主人公がラブストーリー映画を見終わった後「自分もあんな恋をしてみたい」と強い願望を描きます。ところが町中を歩いていると、男女のカップルが抱き合ってキスしているのを、たまたま目撃します。主人公は涙ぐみ、いたたまれなくなりがむしゃらに走り出す、といった感じでしょうか。

「あーわかるわかる!」

「がんばれ!」と思わず読者が応援したくなりませんか?

スリーベースのお話にあるように、①誰?とは、あなたの分身です。

ストーリーとはキャラの葛藤があります。

もし、あなたが特別に愛する異性や対象と出会っていなければ、どんなアクションを起こすかシュミレーションをしやすくなりませんか?

主人公のモチーフは進撃の巨人の主人公エレンではダメなんですよ。(もし、大切なお母さんが何者かによって殺された事情があれば別ですけどね)

あなたオリジナルの主人公をつくるには、動機があなたじゃないと弱いんです。

借り物でなく、あなたの自身そのものであれば、目的や理由(動機)も強くなりませんか?

着る服はブランド品でなくても、自分の身丈にあった服を選ぶのと同じく、あなた自身が抱えているコンプレックスやトラウマ要素を主人公とオーバーラップさせた方が、断然、〝強い〟キャラを表現できると思います。

〝強い〟とは、ブレずに描きやすく読者からも共感を得られやすい、という二重効果があるということです。

はい。今日のまとめです。

読者から共感を得られない理由は、

①テーマ自体に不適合がある
②オープニングの見せ方に問題あり

です。

①の対策は、楽しませる8、伝えるを2。②の対策は、主人公に同情させるための事情や場面を与える

この2点を意識して創作を楽しんでください!応援してます!

関連記事:共感と感情移入の違い