気になるテーマからアイデアを絞り出す
アイデアの出し方で、〝地球環境〟〝少子化〟〝エネルギー問題〟〝コロナ〟〝民族浄化〟などの社会問題に対して自分はどう思うかを中心に創作しようとしても、
「物語にする意味ないですよ、それは論文です」「ノンフィクションではなくフィクションを作りましょう」
と以前にお伝えしたかと思います。
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はい。題材に関する対するテーマ(自分の考え方)は、無理やりこじ開けるものではありません。
テーマを絞って作品にしようと思わなくていいのです。(優しすぎるんですよ)
創作に取り掛かるか否かは、現時点のあなたが、その事(事象)に関心・興味があることが条件だと思います。
「あるっちゃあるけど・・・何でかなぁ」とぼんやりしているなら、作品アイデアを出力の段階ではありません。その題材についてもう少し勉強するべきじゃないでしょうか。
「なるほど、この題材にはこんな裏事情があったのか!」
「ふむふむ。この件の本質は、おそらく〇〇なのかもしれない!」
「よし、〇〇について調べてみよう!」
とか。
ニュースに出演するコメンテーターや、本屋で売られている著名な評論家の意見や考え方でもなく、今、あなた自身が純粋に考えていること、あなたが、生で経験・体験してきたこと以外の事象は〝外界〟と呼んでいただきたいのです。
巷に溢れ返っているこの〝外界〟が、あなたの身の周りで起きていたり、強く矛盾を感じている場合は、きっとあなたのオリジナルのアイデアとして絞り出しやすくなるでしょう。
逆に外界と、自分の関心事が、離れているならアイデアを絞り出にくいと思います。
例えば、
あなたの親子関係は良好ですが、ある報道番組で、親殺し事件のニュースを目にしたとします。
「身内が殺し合うなんて悲惨だな」
「どうして親子が仲良く暮らせないんだろう」
「どうにかならなかったのか?」
・・・とあなたが感傷的になっても、これは〝自分〟とは関係がないことですし、物語のアイデアとして使えるものは少ないです。
外界の情報が一方方向から入ってきたものをキャッチしただけで、あなた自身から出る自発的なものではないからです。
アメリカで黒人が差別されて暴動が起きているニュースを観ても、あなたが虫歯だったら、歯が痛みの方が気になるし、早く治したいのです。
一般論としては、
「身内同士で殺し合いはよくない」
「まして親を殺したりするのはもっての他」
これは、誰もが納得できる普遍的なテーマかもしれませんが、あなたオリジナルストーリーのアイデアや原動力にはなりえません。つまり、これだけだけでは、事の表層を謎っているだけで、作品としてなんの面白みも感じません。
ボクの言いたいこと、何となくご理解いただけるでしょうか?
じゃぁ、親殺しなどの題材からどのようなテーマを絞り出せばいいの?ってことですが、殺傷事件にいたった因果関係をフォーカスするのではなく、要因の本質を追求してみるのです。
そもそも、親子の対立は何故起きるのか?がヒントになります。
このヒントから、ストーリーとなる切り口を深堀りしていきます。
最近の言葉では、クリティカル・シンキングと呼ばれ、物事の本質を捉える考え方です。
親は、子を正したり守るために、真剣に叱ったり否定することが多いですが、子にとっては自分の生き方を頑張って模索して歩んでいるので、黙って見てて欲しいですし、信じてもらいたいですよね。
親は、子がじいちゃんばあちゃんになっても変わりません。
だから親って子の判断が誤っていたら注意します。
逆に子は優しく受け止めてくれる存在を求めます。
となると、子供にしてみれば、
・自分を理解して受け止めてくれる人が良い人
・自分の行動を否定したり束縛する人が悪い人
という葛藤と対立が、生まれてきます。
寝食をともにし、一つ屋根の下で暮らしている者同士なのにです。
つまり、
真実を教えて、大事に想ってくれる存在が悪くなる。
自分の気持ちを優しく受け止めて肯定してくれる友(理解者)がありがたわれる。
当たり前っちゃ当たり前なんですが、このねじれをテーマとして扱ってみても面白いと感じませんか?
もしも、普段からあなたの親が口うるさくて干渉的だったら反発しますよね?
しかも、親が決めたルールに従わなければ、家を追い出されるという脅威と危機があります。
これは
・親の支配から逃れたい
・少しは自分の意志を尊重して欲しい
という願望が、テーマ(軸)になり得そうですし、強いキャラクターづくりの切り口になっていくかもしれません。
もし、あなたが、ある何者かに縛られているとしたら、あるいは巨大な組織から監視されている立場だとしたら、自由になるための手段を考えるでしょうし、仮にもし、あなたが物語の主人公だったら、冒険を試みるにちがいありません。
そこまで行かずとも、現実にあなたが何かブレイクスルーして成長をしたい!成し遂げたい!と思っていたとしょうましょう。
ちなみに、何かの束縛から逃れ、自由を得たい!と望んでいることをアウェアネス(意識や気づき)と呼びます。
その気づきは、情報をアクセスし行動のコントロールが利用できる状態で、あなたがイメージするキャラと、あなた自身がシンクロナイズされ、違和感のない主人公が創造できる状態にあると思います。
〝親の愛情〟という名の支配であったり(実際は支配ではないけど)、癒着や依存した組織がかえって自分を怠惰にさせている本質を作品として映し出せないでしょうか。
主人公(あなた)が成長して、親や先輩や上司に認めてもらうまでのお話とか、自分を大切に想ってくれている人物(ラスボス)が認めることがゴールにすれば、テーマ性のある作品として仕上がっていく可能性は高いです。
この記事の概念図です。参考にしてみてください。
先ほどの親殺し事件のニュースは、情報の表層でしかありません。
それを無理にアイデアを絞り出す必要はありませんが、気になった題材からヒントを出して、自分風にアレンジしながらアイデアを出せていけるといいですね。
例えば、
主人公の親(父親)が、政府の大臣だったり、軍隊のリーダーだったり、一国の命運を担う王様だったり、魔王という設定でもいいのです。親が「良かれ」と思ってやったことが、返って子が反発する、対立構造が物語の軸にするとか。
これで白いキャンバスができました。
物事の本質と、あなた自身の内面からアクセスした希少な経験や体験(知識)をドッキングすれば、あとはこの白いスペースに、物語を被せて肉付けしていくだけなんです。
あと重要なこと!
物語を肉付けするためには、考えるべき要素を忘れてはいけません。
↓★子が親に反発する理由
★父親側から見た子への思い
主人公の強い意志(信念)を表現するには、主人公が親のような存在に対して、反発・抵抗するだけでは、読者を引きつけることはできません。単なるわがままです。
あなたと照らし合わせて〝親に対抗する理由〟を構築しましょう。
親と子というのは、対極の価値観をもっていますので、いわば理念の対決です。
主人公が肯定論を差し出せば、一方は必ず反論をしてきます。
親でなくても構いません。友だちや先生、部下からも、あらゆる側面において反対する抵抗勢力です。
つまり、否定側(親)の気持ち、主人公と真正面から向き合うキャラ(ラスボス)の全うな考えもあるはずですから、あなたの考えとは相反する価値観も考慮した上で、物語を考える必要があります。
この記事があなたの創作に少しでも役立てれば嬉しいです!
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