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悪という効果的な設定

2019年9月15日

いつも創作お疲れ様です。

悪を効果的に描こうとするなら、まず、様々な人間や社会の裏の世界を学ぶことをおすすめします。

では、悪役よりも先にまず、“悪”そのものについて知りましょう。

人間の脳は、ポジティブなことよりもネガティブな事に反応します。

これは、アメリカの社会神経学者ジョン・カシオッポによる情報処理を司る大脳皮質の電気的活動の実験よれば、ポジティブな刺激よりもネガティブな刺激の方が反応することが明らかにされています。

忍者ハットリくん』や『怪物くん』で有名な漫画作家、藤子不二雄A先生も、「ネガティブ因子を増幅させてプラス要素に転換する!それがドラマだ!」と残しているほどです。

人間がネガティブなものに強く反応する理由は、自分を害から守るために、男は危険と隣り合わせの狩りをしたり、女は他者との距離を調和させたり、人間の脳の構造は、大昔の祖先の思考パターンから受け継がれているからなんだそうです。いわゆるDNAですね。

ネガティブなシーンを見ちゃうと、防衛本能(恒常性)のようなものが「うわっ!」「なにそれ!?」って強く反応してしまいます。

例えば、
天空の城ラピュタ』の冒頭で、少女シータが飛行船から落下する衝撃的なシーンがありますが、このネガティブパワーで視聴者の関心を引っ張っています。

人間は、状況の変化にストレスを抱えやすいので、悪いシチュエーション(事故、殺人、離婚)など、冒頭にアンチテーゼを置くとストーリーづくりには効果を発揮します。

先程の『天空の城ラピュタ』で言えば、何やら、悪者(ムスカ)につかまってて、さらに悪乗りするやつら(ドーラ一族)が、少女の持つ飛行石をねらっているぞ、、、、かわいい少女が襲われている!逃げろ!隠れろ!

あ!!!飛行船から落ちちゃった!!!大丈夫なの?助かるの?

・・という衝撃的なシーンですが、専門用語でエスタブリッシング・ショット と呼びます。

ストーリーに興味を引かせるためには、オープニングの多くは、状況説明しつつ、ネガティブな要素と悪(問題・課題)からスタートするシーンが多いのです。

関連記事:オープニングの作り方

人は悪いもの(ネガティブな事象)に、必死に抵抗しようとする行動(防衛反応)に注目しますから、主人公に対する共感が高まります。

悪や悪の社会を鮮明に描き出すことで、物語の中に読者を引きこませることができるでしょう。

悪と悪社会

悪の世界とは、自然にできるワケではなく、一部だけの人間がすべてを牛耳っている状態で抵抗してもすぐに抑えられしまい、にっちもさっちも行かない自由が奪われた世界です。

自己を満たすためだけに、横取りしたり、巧みな罠をしかけたり。そのような人間模様で互いがののしりあって戦い続ける世界です。

つまり、悪の世界には、悪さをする人(キャラ)と、その人間関係によって形成される悪社会というものがあります。

①悪の人(トップリーダーやチンピラたち)
②悪の世界(悪の人によって形づくる集合体や組織)

悪といっても、ざっくり個別と全体が存在しています。

キャラに悪を演じさせる

善に対して、悪は強烈なパワーを持っています。

ストーリーづくりは悪役からつくる、といっても言い過ぎではありません。

読者は、ネガティブに強い反応を示すだけに、悪に対する反発心が強烈にインプットされていきます。

それに向かい打つ主人公が、魅力的に映ります。

例えば、一部の人間が、核戦争が起こさせようとしているなら、それを命がけで家族やすべてを犠牲にして阻止しようとする姿って凛々しいです。

その主人公の凛々しさや美しさを、喜んで踏み倒そうする悪役を描きましょう。
大切なものを守ったり、愛するもののために戦おうとしている主人公の弱点を、猛攻撃をしかけます。

相手の弱みをつかみ、さあ、どうすると選択肢を与え、どっちに転がっても地獄へ向かうような巧みなトラップを画策させましょう。

要するに、卑怯な手を平気で使わせるんです。

悪魔は狡猾です。

ずる賢く自分の都合よく操作しようとします。

そして、良いことをしようとしている人たちが、嘆く姿を見て喜びを感じるのです。

そこに良心の呵責がありません。葛藤もないのが悪でサディストです。

その手口で主人公を痛めつけます。

裏を返せば、悪や悪社会の描き方が弱いと、主人公の見所シーンに対する感情移入が弱くなるということですよ。

前にも、主人公をとことんいじめるということを解説したかと思いますが、作者であるあなた自身が、かわいそうだと思えるくらい、ネガティブ(嫌がらせ、いじめ、濡れ衣を着させる)要素を、主人公にぶつけてみてください。

過保護ではいけません(笑)「これでもか」というくらい、とことんドン底に叩き落としましょう。

関連記事:悪役の描き方

 

あなた自身が悪魔になって悪なる世界を創造する

以前、お話した登場人物の増やし方の中で、①誰?の主人公には、ラスボス(ダークヒーローが)いましたよね?

あなたの理想とは真逆の姿、闇の自分にフォーカスを当てていきます。

・罪悪感がなく良心がない
・責任を誰かになすりつける
・自分の行動に責任をとらない
・口がたっしゃで表面は魅力的
・他者に冷酷であり、共感しない
・平気で嘘をついたり騙したりする
・やたら自尊心が高い

いわば「そんな自分にはなりたくない」と拒絶する要素。

あなたが拒絶する気持ちを持っているなら、その対極にいる主人公(ライトヒーロー)を表現しましょう。

さて。もし悪に徹して生きるとするなら、あなたはどんな行動をとるかをイメージできますか?(もちろん本当にそうなってはいけませんが・・)

冗談ぬきで、あなたの中に、もし強烈な怒りや悲しみを社会にぶつけるとしたら?そんなことをイメージしたことはありますか?

何もかも、善人を破壊し、滅びつくすでしょうし、自分の都合のいい社会や世界をつくるでしょう。

それを、リアルに想像してみましょう。(なんか怪しい文章ですね・・・)

あなたが悪の世に君臨する皇帝なら、どんな部下を選びますか?人を痛めつけても平気で、人の苦しみを喜ぶ人物を配下に置きますよね?

その方が都合がいいからです。だって責任をとらなくていいんだもん。

「オレは指示してない」
「お前が勝手にやった」

そのようにいい訳をして、あとは、切り捨てればいいことです。
「絶対に証拠は残すな」

悪を極めた人間は、平気で他人に罪をなすりつけますし、悪の行いを知りながら誤魔化して完璧に隠し通します。

いやー恐ろしいですね。完全犯罪ですよ!
もっと恐ろしいのは、その行動を本人は悪だと知っているんです。

つまり、偽った人生を正しいと信じていることが悪のはじまりであり、悪をはびこらせる行いが悪行であり、悪行によって、黒にすべて塗り替えられ、誰もどうすることもできない堕落した集合体を悪なる世界です。

善側は不正ができないような社会を創りたいでしょうが、その対極にいる悪側も、善を100%懲らしめて安心したいのです。

いかがでしょう?悪に徹しているキャラや世界をイメージできますか?

洋画のマフィア映画などを鑑賞しながら、ずる賢さやエグさを注意深く観察してみると面白いですよ。

自分の配下が優秀で能力が高ければ、いつか粛正することを目論みますし、自分の保身のためなら手段は選ばず、子供だろうが女だろうが、根こそぎ奪いとります。そして苦しむ姿を見て喜びます。

そして、善を二度と立ち上がらせないように、こっぱ微塵にしてしまいます。

根っからの悪の世界は半端ありません。その世界の魔王となって演じて、このような地獄絵図(悪の世界)を思いきり描いてみましょう。

あ、この記事を読んでて胃がキリキリしたらスルーしてください。(ごめんなさいね)くれぐれも筆者が根っからの悪なのでは?と誤解しないでくださいね。笑

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闇の主人公(ダークヒーロー)の作り方

あなたの理想像(ライトヒーロー)を、痛めつけ、懲らしめるように設定するには、まず、ダークヒーローが言いそうな決め台詞を拾い集めるとよいと思います。

例えば、
「理想論だ!」
「綺麗事だ!」
「戯言だ!」
「とっととあきらめろ!」
「絶望しろ!」
「俺の考え方に屈して支配されろ!」
「お前の負けだ!」

すみません。ベタですよね。もっと他にもあるかもしれません。

あなたが何かに失敗した時、誰かから、そのように責められたり罵倒されたらどんな気持ちになるでしょうか?

その悔しさに立ち向かうのが主人公であり、それを応援したり、支えようとするのが仲間であり、それを邪魔しトラップを仕掛け役と実行するのが悪なる表現です。

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この対極構造をあなたの物語に取り入れ、葛藤と対立を描きましょう。

また、あなたのネガティブな内面もストーリーのネタづくりにできるかと思います。

なぜなら、主人公が戦うのは内的な葛藤を描くし、外界にいる脅威に立ち向かう構図があるからです。

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主人公(理想)ばかり目がいくと、ついつい悪役(ダークヒーロー)が弱くなり、物語がのっぺりして、切れ味がなくなりますので、バランスを意識してみてくださいね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

あなたの創作を応援してます!

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