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笑いの公式

2021年6月27日

いつも創作お疲れ様です。

今回は、恐怖の公式に続いて、笑いの公式をご紹介しますね。

関連記事:恐怖の公式

まずですね。

あなたが好きな相手に笑いを提供して楽しませたいと思う時ってどのようにイメージしてますか?

あなたが人を笑わせるというのは、相手を喜ばせたいからですよね?

現在、あなたのお話を聞いて笑ってくれる相手は過去に何人いましたか?

おそらく笑ってくなかった人は、絶対にいないと思うんですよ。少なくとも人生の中で数人は笑わせることに成功したと思います。

それはあなたが、作品を通して喜びを与えたり、泣いたり笑ったり感動させたいと望んでいるからです。

ですから、安心してください。

何もしていないのに相手が何故かクスっと笑ってくれたり、あなたの何気ない仕草を見て笑ったり、相手は、あなたの想像以上にユーモアだと思ってくれているんです。

ただ、ギャグをかまそうと構えたり、ウケを狙うと白けてしまうので気をつけましょう。

笑いの公式の基本は、まずあなたが相手にどんな印象を与えているのかを知り、つっこむタイミングや、どこにボケを入れたら笑いを誘えるのか洞察してみることからです。

世の中には笑いの天才は溢れていますが、あなたのお話を楽しく聞いてくれる相手は数人でも構わないですし、それがあなたの持ち味ですから大切にしてほしいんです。

ギャグを相手に伝えたい場合、「笑ってくれたらいいなぁ」くらいでいいんですよ。

笑わかそうとすると、返ってつまらないですし相手の反応はダイレクトですから、内心ショックを受けてしまいます。

笑いというのは、かなり頭や神経を使います。

仮にしらけたとしても、そのシチュエーションも自虐ネタや脇キャラのおかずにしてください。

個人的にはダンディ坂野の笑わせ方が好きです。ゲッツ!一筋で完璧にブレません。貧乏くささを合わせ持ち、いかに大衆をシラけさるかが、このお笑いタレントの生命線だと思うからです。

はい。さて、笑いとは何か?

ほとんどの人は、人間関係などで皆ストレスを抱えてるので、週末に映画を見に行ったり、趣味に勤しんだりするわけですよね。

何か楽しいことがないかな?
何か面白いことがないかな?

・・・とあなたの作品を期待して読みにきていると、想像してみてください。

読者は、あなたの作品で笑って楽しみたい、あるいは笑って気を紛らそうとしているんです。

読者の欲求を満たす要素こそ〝笑い〟であり、〝笑い〟や〝喜び〟や〝癒やし〟を提供できる作品がエンターテイメント性の高い作品だと思います。

笑いといっても、腹を抱えて笑えるギャグテイストだったり、物語の切り口のユニークさ、皮肉めいたものやエロっぽい下ネタ、あるある話で思わずクスっとするものだったり、いろいろな種類がありますよね。

今回は、笑いの中でも大半をしめる〝ギャグ〟そのものの作り方についてご紹介します。

・・・といいましても笑いを誘発するギャグレベルというのは、あなたの主観であったり、作風にもよって異なりますし、読者によって白々しく感じてしまったり、これこそがギャグの作り方だと定義つけることは難しいですが、100点中60点以上読者に、笑いに誘える作り方があります。

はい。まず、ギャグの概要からなんですが、

ストーリーもののギャグは、基本的に主人公の失敗談や苦労話が多いです。

つまり、誰かが、ドジを踏んだり、しくじりったりすることが、原則的に笑いスイッチになります。人の失敗を見て喜ぶのは人間の本能ですから。

失敗談や苦労話だけで笑える物語(おもしろさ)が作れるというわけではありません。失敗つづきで読者をうんざりさせてばかりでも良くはありません。

どうすべきでしょうか?

主人公に重い使命を背負って生きている中で、ちょっと息抜きにとんちんかんなキャラを登場させたり、時々、思いもよらぬ不意打ちをくらって、緊張ムードを緩和させることで、物語全体にゆらぎが生じます。

それによって、読者に「フフッ」と笑いに誘えるようになるんです。

いわゆるギャップってやつです。

ギャグというのは、ぎゃはははは!バカだ!何やっているんだ!コイツ!といったキャラクター固有の笑いもあれば、〝勘違い〟〝行き違い〟〝摩擦・衝突〟といったキャラクター間のすれ違いで引き起こす笑いもあります。

主に、性格の違いによって摩擦を引き起こすあるあるな笑いです。

キャラクターには人類で4つのタイプが存在していることを以前解説しましたので、興味がある方はご覧ください。

関連記事:性格4種とキャラバリエーション

ギャグのポイントは、何をやらかしたかがではなく、〝誰が何を〟やらかしたかです。

いわば、キャラ作りあってのギャグなんですよ。

例えば、
あなたがもし男性ならば、小学生の頃、道端に落ちていた犬の糞を、石ころと見間違えて蹴っ飛ばした姿を見たとしましょう(下ネタですみません)

犬の糞を蹴飛ばしたキャラが、大好きな女の子の足に当たって、ビンタされてフラられてしまったとしましょう。

でも、それだけだと、読者は面白くないんです。なぜでしょうか?

読者が心から笑えない原因は、ギャグに説得力が足りないからです。

つまり、そのキャラに魅力を感じていないということになります。

ですから、何かをやらかしたキャラクターに共感を呼ぶような前後関係がないと、笑いレベルは向上しないんです。

例えば、
糞を蹴っ飛ばしたキャラは、クラスの学級員(不思議ちゃん&優等生)で、家では子ネコを飼っています。飼い猫に対してはとても優しくて、両親は離婚して祖父母の家で暮らしている。普段は真面目くんで、好きな女の子に犬の糞をぶつけたあとは、涙ながらに反省をする姿。

彼女への謝罪文を書いて先生に添削してもらうと「普通に謝ればいいんじゃないか?彼女だってもう気にしていないよ」と突っ込みが入る。
彼は過去に父親から言葉の暴力を振るわれて、ドジや何か失敗すると萎縮してしまう癖がついていました。ついつい相手の顔色を伺いなら生きて来たため、謝罪文をかけば、相手に許してもらえると本気で考えている。

先生から「普通に謝れば?」と指導を受けても、何故かソワソワして納得ができない。次に失敗しないように、道を歩く時に糞が落ちていないか念入りに調査するといった挙動不審状態になってしまうなどなど・・・・

誰がみても、くだらないことに、真剣に行動するだけがギャグ表現ではなく、前後関係をセットアップするのがギャグ表現のパッケージと言えるでしょう。

キャラづくりのコツは、背後関係(トラウマ)を設定が大切です。

キャラがやらかした刺激イベントによって、極端なくらいに変化の理由が描かれてないと、笑いのクリーン・ヒットができないと思うんです。

つまり、読者が許せるキャラじゃないと笑いを誘うことが難しいんですよ。

仮にですね、あなたに嫌いな相手、もしくは関心のない相手がいたとして、一発ギャグを披露されても、全然楽しくないじゃないですか。

でも、あなたが好みのタイプや共感する相手が一発ギャグを披露したら、面白くなくても思わず笑ってしまいますし、つっこみたくなりますよね?

問題は、やらかしたキャラに読者に愛着を持たせれれるかが鍵です。

〝あちゃー〟っていう思わず目を閉じたくなるような失敗。「しょうがないよなー」「かわいいなー」「わかるわかる」と同情を誘えるかどうかがギャグ表現のポイントだと思います。

読者が「このキャラ、バカだけどなんか好きだなぁ・・」と、失敗した後の自虐も、読者に妙な安心感や親近感を与えられるからなんですよ。

親近感が湧けば〝また何をやらかしてくれるんだろうか〟と期待してくれるようになりワクワクさせることができます。

ここまでの話が〝同情ギャグ〟です。

逆パターンを言えば、〝スカっとギャグ〟です。

真面目君や真面目ちゃんでなく、意地悪や、いじめっ子役に対するツッコミと皮肉ですね。

フジテレビのスカッとジャパンというテレビ番組をご存知でしょうか?

いやみったらしく、憎たらしいキャラを登場し、善良でおとなしいキャラをいじめているシチュエーションを作ります。

そこに、問題を解決してくれる第3者が登場し、いじめられたキャラを救うと同時に、憎まれキャラに赤っ恥をかかせるんというギャグシーンです。

悔しがる姿を見ても滑稽ですし、読者に笑いを誘うことができるでしょう。誰もが見ても、ウザキャラがズッコけるのは爽快ですしと、心がスカッとして笑えるのが〝スカっとギャグ〟です。

『水戸黄門』パターンのように、悪者を成敗する瞬間、悪者が「くそう!皆の者、殺っちめぇ!」と、もがきあがく姿が滑稽です。

読者に抱かせる〝滑稽〟(こっけい)という感情は非言語的表現ですが、今までいばり腐ってた相手がドジを踏んで、不幸と悲しみ、苦しみに見舞われた時に引き起こし、読者に喜び(笑い)を彷彿させることができるんですよ。

関連記事:感情表現について

人類が共通の喜び(笑いとギャグ)のその特殊な感情は、ドイツ語でシャーデンフロイデと呼びます。中国では〝幸災樂禍〟という四字熟語にがあり、日本語でいうと「ざまぁ見ろ」です。

世の中、善人や正直者が損をし、不条理がまかり通ることが少なくなってきましたから、このスカッとギャグは時代的にウケやすいと思います。

先に挙げた同情ギャグやスカッとギャグも含めて、作中に登場するキャラをどのようなシーンに配置して、どのような台詞を使いこなすかによって笑いを誘いだしやすくなります。

何故でしょうか?

物語とは〝感情〟によって牽引されているからです。

さて。申し訳ございません。いつものように前置きが長くなりました。

やっとここから本題に入ります。100点中60点以上読者が笑いに誘える法則についてです。

この法則とはお笑い芸人でもかなり有名なテクニックですが、〝キンカンの法則〟と呼ばれています。

先に挙げた、〝同情ギャグ〟と〝スカっとギャグ〟を掛け合わせてお考えください。

いわゆる緊張(キン)と緩和(カン)です。覚えやすいでしょ?


①引き→何?何それ?何がはじまるの?
②締め→それで?どうなるの??
③緩み→なーんだ!笑

以上の3つのポイントを前後にリズムをつけて緊張感のある場面にキャラを配置します。

例えば、
お坊さんのお経、そして線香の煙が漂っていた。遺族らは下斜めうつむいて静かである。

彼は目をつむってじっとこらえていた。

手を握ってぶるぶると震える。

隣席の女性が同情して声をかけようとするが、彼の目を見た瞬間、その心情を理解できた。

悲しみをこらえて、今にも得体の知れない何かがこみあげてくる様子だった。

女性がハンカチを渡してあげようとした瞬間、彼の中から1オクターブ高いおならが響いた。

・・・・という感じで。(すみません白けましたか?)

少々下品な例えで申し訳ないですが、以下のようなキーワードを組み合わせたパターンです。

・緊張→お葬式
・緩和→おなら

心理的には、息を長くとめて一気に吐き出す感じで、緊張からほぐされた時の脱力感を生むことで、読者は笑わざる得なくなるということです。

以前の記事でインパクトの与え方でご紹介しましたように、ギャップ設定がポイントになります。

例えば、『進撃の巨人』
母を失ったエレンは、巨人をこの世から駆逐することを誓った訓練兵の入隊式の場面ですが、人類にとって、これまでにない危機に見舞われている最中にあり、人々が生きるか死ぬかの緊迫している中、とても浮いているキャラが登場しました。

名場面、サシャ・ブラウスの芋食いは強烈なインパクトがありましたよね。最終章であらゆる意味でメッセンジャーとして担っていく重要なキャラクターになっています。

関連記事:登場人物のインパクトの与え方

原作者の諫山先生のギャグは、くだらないことにズラズラと御託を並べ、笑いを引き伸ばす手法が施されていると思います。

また、あなたの作中におけるギャグシーンの挿入は、思いつきでも構わないのですが、できるかぎり場面の節目節目に設置できればベターだと思います。

具体的には全体の流れで退屈しそうなシーンや、各エピソード毎のアクセント代わりに挿入したり、やはり多少はタイミングをうまい具合に図っていた方が、物語全体は盛り上がっていくと思います。

笑いを誘うコツは、間の取り方がとても大切ですので、トリガーを参考にするとよいと思います。

ボクは健康系と、ほのぼの系ギャグの4コマ漫画を2本連載させていますが、常に4コマ目にオチを意識して作業をしています。このオチをつくるためにも、3コマ目のトリガー(引き)を意識しております。

関連記事:引き(トリガー)

最後に、ギャグのセンスという観点で少し触れておきますね。

ギャグ要素を取り入れる場合、あなたが思い描くストーリーの質と、ギャグレベルのとバランスがとれているかどうかがポイントになります。

つまり、
・ストーリーテイストが軽い場合→バカバカしいギャグ
・ストーリーテイストが重い場合→さりげないギャグ

いわゆるギャグの濃さってやつです。

ギャグの濃淡レベルでは、バカバカしいギャグ(爆笑)と、あっさりギャグ(クスクス)です。

ストーリー自体に、ダークで重々しい題材を扱っていたり、キャラの目的(ゴール)に深刻さの厚みが半端ないテイストであれば、さりげないギャグシーン(クスクス)や上品のあるギャグを挿入しても、さほど笑いを取ることは難しいでしょう。

重々しいストーリーだからこそ、バカバカしいギャグの方が浮きます。

以前、インパクトの与え方でもご紹介したように、笑いも同じくギャップの法則に当てはめることができます。

重々しい雰囲気の中で、思い切り馬鹿げたギャグにした方がインパクトがあり、ギャグメーカーの存在を引き立たせることができるんですよ。

関連記事:インパクトの与え方

つまり、笑わすことができれば何でもいい、というものではありません。

ギャグにも腹をかかえて笑えるレベルと、そのストーリーの相応しいギャグレベルがあります。

ストーリーテイストとうまくマッチングさせることで、ギャグのセンスは磨かれていくと思います。

ギャグシーンが思い浮かばない!というあなたに少しでも参考になれば幸いです。

あなたの創作を応援してます!

関連記事:ストーリーは感情移入!映画は体感させるもの

【おまけ】お笑い芸人と個人作家の違い

芸人とは、お客さんの前で披露するから、笑いがダイレクトに返ってきます。

しかし、個人作家さんは、キャラクターをこんな風にリアクションをすれば笑うだろう・・・という予想に過ぎません。

芸人さんは、お笑いネタを考えて体を張ります。会場で披露して反応をみて、これはウケた、ウケないというデータが構築していきます。

小説や漫画の個人作家さんの場合は、読者(お客さん)があなたの作品をみてウケたかどうかはわからないんですよ。

だから、自分のギャグのセンスが磨かれているかどうかなんてわからなくて当然です。

どうすればよいでしょうか?

ボクはズバリ申し上げますが、ギャグのセンスを向上させるには、作品以外の形で、自分がコミュニケーションする相手に笑わせられるかを意識しているかがポイントだと思うんですよ。

つまり、お笑い芸人になったつもりで、相手を喜ばすことができるか?ということに尽きると思うのです。

身近な人で構わないんです。親・兄弟姉妹、友人や恋人でも、相手を笑いに誘うことをちょっと意識して会話を楽しむんです。

そうすることで、作品にも影響が現れてくるとボクは考えています。

コツは自分が楽しかったこと、面白かったことを話すだけではなく、そのエピソードにオチを考えるんです。

例えば、
あなたの失敗談であれば
「実は昨日ね・・・どこどこでね・・・・」
「ふむふむ」(相手)

・・・というところから始まりますよね。

クライマックスシーン(失敗シーン)まで聞いてもらいます。
「で、どうなったと思う?」
「え?どうなったの?」
など、失敗する前の引き(トリガー)の間をとります。

結果、どんな失敗したかをババーンと公開しますよね。
実はこれだけだと笑わせられないんですよ。

問題はその後のオチです。オチがないと相手を楽しませることができません。
自虐とか皮肉など下りのような要素がないからです。

先に挙げた緊張と緩和です。

それが笑いのセンス向上の秘訣だと思います。

あなたの作品が、感動と涙と笑いを兼ね備えられ、読者にとって癒やしの物語となりますよう健闘をお祈りしてます。


最後までお読みいただきありがとうございました。

あなたの創作を応援しています。

このシリーズでは、次回、涙の公式についてご紹介しようと思います。お楽しみに!^^

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