読む気がしない作品はセットアップパートで失敗している
オープニングが命!ストーリー創作で最初に意識すべきこと
今回、以前ご紹介しましたセットアップパート①②について、もう少し高いレベルで解説しようと思います。
これまでボクのストーリー創作論(創作前の3つの決め事)では、まず①誰が②なぜ③どのようにの要約文を決めてから、最後にオープニングを作りましょう!とおすすめしてきましたよね。
で。シビアなことを申し上げますが、作品が「死んでいる」と判断される理由、つまり、他作品のオープニングを眺めながら思うことを正直にお話します。
ぶっちゃけ、〝すでに死んでいる作品は、入口で失敗している〟です。
ケンシロウの名言「お前はもう死んでいる・・・」じゃないけど、読者の目は年々厳しくなってきています。
その背景には、ネットやスマホの普及でコンテンツビジネスが飽和状態にあり、読者は、より満足のいく作品に瞬時に出会いたがっているからです。
読者の離脱を防ぐための最重要ポイント
そんな中、物語の始まりで失敗していたら土俵にも上がらないばかりか、永遠にアクセスすることのない藻屑と化してしまうことでしょう。
時々ボクも、アマプラやネトフィリで映画を視聴しますが、最初の10分以内で、物語がわけがわからないと、次のチャンネルを探ししゃいます!
逆に、よい作品は素麺をスルスルと食べるように喉越しがよく、初っ端、どんどん引き込まれて続きが読みたくなる作品です。
そんな作品を描いてみたい!と思ったあなたに必見です。
読者の「それで?」が引き出せるか?
まず、入口に失敗しているとは、何かとはっきり申し上げますと、読者が作品を読み始めて「それでどうなるの?」という反応が得られていないことなんです。
この要素がないというのは、かなり致命的なんですよ。実に痛いのです。かつてのボクもそうでした(^_^;)
いくら秀逸なクライマックスを準備していても、入口で読者に躓かせては、非常にもったいないのです。
もう、おわかりいただけますよね?
オープニングでお釈迦だということは、次の展開に読者を引っ張れないことですから、残念ながら、はじめがお釈迦だと全部お釈迦になるんですよ。
よく、終わりよければすべてよしという言葉がありますが、ストーリーづくりの場合、終わりもよければ、はじめもよくないといけないのです。(厳しい世界ですね)
頭の痛い話で申し訳ありませんが、ご安心ください。ボクがあなたの作品を少しでも読者を引っ張れるようエスコートしていきますので!
まずですね。一番大切なことは、読者を引き付けるストーリーフックがあるか?です。(もし、お忘れでしたら、再度、記事を読んでみてくださいね)
つまりフック(ひっかけどころ)で、読者が何もひっかからないことを、ボクは「ストーリーフックがない」と表現しています。そう、読者が「なにもひっかかるところがないから」スルー状態。
これは、オープニングの記事でご紹介しましたように、
①わかりやすく
②シンプル
③すばやく
など、要素があるか?です。難しいかもしれませんが、頑張ってチャレンジしてください!もし、お忘れでしたら、再度、記事を読みなおして頑張ってみてくださいね。↓
関連記事:オープニングの作り方
主人公の目的が明確であること
物語の入り口でいちばん大切なのは、「主人公の目的・理由がハッキリしていること」だと思うんです。
これはもう、どんなジャンルでも、どんなに特殊な世界観でも共通する、物語の土台みたいなものですよ。
というのもですね、読者は「なぜこの人が、今ここで物語を始めるのか?」という“理由”がわからないと、どこに注目して読めばいいのかがわからなくなっちゃうんです。
例えば、戦場の真ん中で剣を構えてるシーンがいきなり始まっても、「えっ、この人なんで戦ってるの?」「そもそも誰?」ってなりますよね。それって、物語としてはかなり不利なスタートなんです。
つまるところ、「主人公の目的」──つまり「何をしたいのか?」っていう指針がないと、読者は物語の流れに乗れないんですよ。(これはボクが実験結果済みです!ホント!)
目的がはっきりしていると、「なるほど、この人は◯◯を目指してるんだな」って理解できるし、そこから自然に「じゃあ、なぜそう思ったの?」っていう理由にも関心が湧いてきます。
目的があるから理由が生まれる。理由があるから読者が共感する。これって、すごく大事な流れなんですよ。読者の心に「何がはじまるの?」というワクワク感や、「それでどうなるの?」という期待を生むためには、まず主人公の“スタート地点”と“ゴールの方向”を見せてあげる必要があるんですよ。
初公開!読者を引き込む隠されたテクニック
えー。実はですね。ここから、隠されたテクニックをあなたにだけ教えちゃいます。あまり言いたくなんですが、特別ですよ?(^m^)
読者をより引っぱり上げるには、ストーリーフックの他にも、考えておかなければならないことがあります。
それは、複数の伏線です。
例えば、オープニング(状況説明)を描く際に、結末に向けての情報を配置するんです。冒頭で「主人公の家の屋根裏には、誰も入ってはいけない」とおばあちゃんがボソッと言った一言が、ラストでどんでん返しに繋がる——実はそこに、消えた双子の兄が閉じ込められていた!なんて展開。そんなふうに、一見なんでもないおばあちゃんの一言(情報)が、後で強烈なパンチになるのが伏線の魅力なんです。
オープニング(状況説明)を描く際に、結末に向けての伏線を配置するのです。伏線に関する詳しい記事については、また別の機会にご紹介しますね。
これをボクは、情報クラスターと呼ばせてもらっています。
クラスター爆弾ってご存知ですか?クラスター爆弾とは、ひとつの容器(親爆弾)の中に数個から何百個もの子爆弾が入った爆弾のことで、一つの容器が破裂すると子爆弾が散らばるんです。それをちなんで名前をつけました。(どうでもいいけど)
で。物語の情報を分散して、読者に興味をもってもらうんです。1個だと面白くないので、2~3個くらい用意しておいた方がいいかもです。
例えば、ある恋愛ストーリーの冒頭で
「主人公のスマホに何件か無言電話がある」
「親友が最近様子がおかしい」
「通学路に新しい花屋ができた」という3つの情報をさりげなく置いておくんです。
そして、読者は『えっ、どれが本筋に関係するの?』と気になって読み進めたくなる仕掛け。実はその花屋の店主が黒幕で、親友は脅されてて、無言電話は警告だった——みたいな展開を後から明かすと、「あの冒頭、全部意味あったんだ!」とビックリさせられるんですよ。
このように初心者向けストーリー作りのコツとして、この情報クラスターの考え方を取り入れると、より読者の興味を引く入口が作れるようになりますし、小説を書くためのストーリー構成にも活用できます。
さらに言えば、この考え方は、漫画のストーリーを考えるためのヒントとしても有効なんです。
例えば、情報①、情報②、情報③があるとします。その内、情報③が正解だとしたら、答えがわからないように、ミスリード(答えを遠ざける)をしていくんですよ。
ミスリードという言葉をご存知ですか?
少々わかりにくいかもしれませんが、読者に、情報①か、情報②が重要な伏線だと思わせたりして仕掛けづくりをしていきます。一方情報③の方は登場人物も読者も「まさか、んなわけねーだろ」的な情報を流し、関心をそらしていくわけです。
このように、脚本家志望のための創作テクニックとしても「情報クラスター」は役立つんじゃないかと思います。
情報クラスターを平たく解説すると、一つは読者を撹乱させることが目的です。まぁ、かき乱すという言い方の方が合っているかな。
撹乱させて何をさせるかというと、物語の行方や展開をわからなくさせるというのもの。
いくつか情報(エピソード)をつくって、
「このキャラの登場によって何が起こるのか?」
「この出来事はあとでどんな展開がまっているのか?」
など、作品の世界へズブズブ入っていけるように、姑息な仕掛(手段)です。そして、さきほどの情報③(正解)は、しれっと遠ざけておきつつ、読者をストーリーの中へ中へ引きづり込むんですよ。げへへ。
さらに、視点をずらすことで撹乱は加速します。
例えば、ある事件を描くときに、目撃者の証言、警察の捜査メモ、被害者の日記——と異なる情報源から少しずつヒントを出していくと、読者は「どれが真実?」と混乱しつつも夢中になって読み進めてしまうんです。そこに作者がしれっと真実(情報③)を混ぜておく。気づかれなければ大成功「あんたやるな」と読者にニヤリとされる、という構造です。
セットアップパートに、ここまでの要素が盛り込んであればオープニングは満点です。(あ、すみません偉そうに・・・・)
あなたの創作を応援しています。
関連記事:ミスリードの作り方