作品タイトルの付け方
あなたの大切な作品の立て看板だからこそネーミングに迷いますし、誰もが悩みどころですよね。
小説・マンガに限らず、ライトノベルでは、長いタイトルや、オシャレな4文字タイトルなど、時おりのブームによって様々です。
スタジオジブリのアニメ映画『もののけ姫』(1997年)という作品タイトル決定にまつわる逸話をご存知でしょうか?
宮崎駿監督は、男の子を主人公にした映画を作りたくて、本当は『アシタカせっ記』というタイトルにしたかったそうなんですよ。『もののけ姫』は予備案だったのです。
でも、スタジオジブリのプロデューサーが、監督の許可なしに、『もののけ姫』の方が売れそうだから、というマーケット上の理由で、独断専行で発表したため、「もう監督辞める!」とブチ切れた有名な話があります。
まぁ、個人的にはプロデューサーの読みどおり『もののけ姫』でよかったと思います。
いずれにしても、タイトル付け方の本質は、あなたならではのオンリーメッセージを凝縮したエキスをしぼり出す作業なので、今の市場に影響されたり、ウケやゴロのよいタイトルとか、迷走しがちなのもわかる気がします。
ただ、作品タイトルの付け方にもコツがあります。また、タイトルを付ける頃合い(タイミング)なども気になるところですよね。次回、その辺りもご紹介させていただきます。
関連記事:仮決めタイトル
さて。長いタイトル、短いタイトルはどちらがいいか?
・・・は別として、付け方にはザックリ2種類あります。
①直接的タイトル
②間接的タイトル
直接的タイトルとは、
主人公の名前や、登場する舞台やモノの名前です。
それ以外は、すべて間接的タイトルとして定義します。
例)
直接的タイトル→機動戦士ガンダム
直接的タイトル→ゴジラ
直接的タイトル→NARUTO
間接的タイトル→スターウォーズ
間接的タイトル→ロード・オブ・ザ・リング
間接的タイトル→鬼滅の刃
機動戦士ガンダムとか、ゴジラとかNARUTOが、直接的タイトルであることは何となくおわかりいただけると思います。
スターウォーズが間接的タイトルだというのは、直接的タイトルで言えば『ダースベーダー』になると思うんですよ。
ロード・オブ・ザ・リングなら『フロドの冒険』、鬼滅の刃なら『炭治郎』とか、そんなタイトルになるかと思います。
結論を言っちゃいますね。
この直接的、間接的のどちらが良いかというと、ぶっちゃけ・・・
直接的タイトルよりも、間接的タイトルの方が良いと思います。
名無しくん
ええええ?「ナルト」とか「アキラ」とか「レオン」とか、直接的タイトルの方が、インパクトあって、すぐに覚えるからいいじゃないですか!
名無しさん
「何だろうこれ?」と思って読む人もいるかも知れませんし、実際、直接的タイトルをつけて有名になった作家もいるじゃないですか!
はい。タイトルの付けた方はあなたの自由ですよ。
思いきって直接的タイトルを付けても問題ありません。
ただし、直接的タイトルって、中身を見てみないとわからないんですよ。
つまり、読者に対するインパクトや心理的影響は固有名詞ですので「何?」「What?」という刺激だけで終わっちゃいます。
ところが、間接的タイトルの場合、タイトルを見るだけで刺激を増幅させやすいということです。
名無しくん
刺激を増幅させるってどういうこと?
はい。どういうことがと言うと、お化け屋敷の看板が、
「こわ〜いおばけ屋敷」
「恐怖の〜」
とかの直接的タイトルより、
例えば
「血の手形」
「見たらその日の夜に追ってくる」
「入ったら二度と出られない〇〇」
「呪いの人面魚をお持ち帰り」
・・・などの間接的タイトルの方が受け手に響くイメージが増幅するので怖くていいんですよ。
名無しさん
たしかに!不気味さが増しますね!
興味や刺激を引きつけるには、直接「○○○」ではなく、
間接的に、「○○○の〜」、「〜な○○○」という感じで、
名詞句の前後に置く接続詞をいれると効果的です。
要するに、
・直接的タイトル→一単語(固有名詞)
・間接的タイトル→一文(ワンフレーズ)
良い作品タイトルは、このワンフレーズで読者の期待値を上げています。
仮に、あなたが本屋に入ると、背表紙のタイトルを見て、あらすじが見えそうな本を手にしないですか?
タイトルの時点でスルーされれば、読者の目に触れることはありません。
一人でも多くの人に楽しんでもらうために頑張って創作しているのにもったいないと思います。
読者は忙しいので、直接タイトルのように〝見てみないとわからない〟っていうのは〝見てみたら面白さがわかるよ〟ということになります。
それって読者に「見てくれ!」と要求しているのとボクは同じだと思うんですよ。
読者に理解を求めるエンタメ作家で成功した試しはありません。〝中身をみなくても面白そう〟と感じさせるタイトルが間接的タイトルです。
読者にゼロから考えさせるのではなく、イメージさせやすいようなタイトルを提示した方が親切だと思いませんか?
それが、読者へ対するあなたのパフォーマンスの力量になると思います。
物語のオープニングが入口は入りやすくという法則を考えた場合、直接的タイトルで勝負に挑むのは大きなリスクだとボクは考えています。
次回は、タイトルの付け方のタイミングについてご紹介しますね。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたの創作を応援しています。
最近のコメント